投資用マンションを相続したらどうすればいい?

もし遺産分割協議の結果、自分が投資用マンションを相続した場合、どうしたらよいでしょうか。

引き続き管理・運用するか、それとも売却するか…。必要な手続きや特例、損をせずに売却する秘訣などをご紹介します。

目次

投資用マンションを相続したら必ず名義変更(相続登記)を

遺産分割協議の結果投資用マンションを相続したら、売るにせよ手元に残すにせよ、まずは名義変更(相続登記)が必要です。

不動産の相続登記の義務はありません。そのため「放置をしておいても問題ない」と思う方も数多くいらっしゃいますが、相続登記を放置にはさまざまなデメリットがあります。

また、売却する場合は亡くなった方の名義のままの不動産を売る事はできないため、名義変更は必須です。

売却せずに引き続き所有するという場合でも、トラブルを予防するために早めの名義変更をおすすめします。

不動産賃貸事業の引き継ぎ(売る・売らない関わらず)

売却するにせよ、そのまま所有するにせよ、投資用マンションを相続した場合には不動産賃貸事業として果たさなければならない責任が生じることを覚えておきましょう。

マンションに居住者がいる場合にはオーナーとしての責任を引き継ぐことになり、亡くなった方が事業収益を得ていた場合には申告と納税の義務があります。

賃借人(投資用マンション居住者)への通知

投資用マンションの所有者が変わった場合は、賃貸している方へオーナー変更の案内や、家賃の振込先の変更などを通知しましょう。

準確定申告(亡くなった方の所得の申告)

亡くなった方に所得(不動産賃貸事業による一定収入など)がある場合は、その年の1月1日から亡くなった日までの収入につき準確定申告が必要となります。

準確定申告は、相続人が相続の開始があったことを知った日の翌日から4か月以内に申告と納税をしなければなりませんのでご注意ください。

この申告で納めることとなった所得税・消費税は、本来は被相続人が納めるべきものですので、債務として相続財産から差し引くことができます。

投資用のマンションなどを所有されている場合は、家賃収入がありますので準確定申告が必要になるでしょう。

投資用マンションの売却で損をしないためには

相続した投資用マンションを売却する場合、税金に関する知識と適切なタイミングが大切です。

相続した不動産は早めの売却で税金が安くなる!?

「相続税の申告期限である相続開始から10ヶ月後の翌日から3年以内」にその不動産を売却した場合は、譲渡所得の計算において、支払った相続税のうち、その不動産にかかる部分の相続税を「取得費」として加算できるという特例制度があります。

これを「相続税の取得費加算」と言います。

相続税の取得費加算の特例とは

「相続税の取得費加算の特例」とは、相続した不動産を相続申告期限から3年以内に売却したときに発生する制度です。支払った相続税のうち、その不動産にかかる部分の相続税が取得費に加算されます。

この特例は、相続により取得した土地、建物、株式などを、一定期間内に譲渡した場合に、相続税額のうち一定金額を譲渡資産の取得費に加算することができるというものです。

(注) この特例は譲渡所得のみに適用がある特例ですので、株式等の譲渡による事業所得及び雑所得については、適用できません。

譲渡所得税としてかかる金額は、譲渡価格から取得費、譲渡費用、特別控除を引いた金額となるので、取得費が高くなると、自然と譲渡所得税が低くなるのです。

特例の条件

相続税の取得費加算の特例を使うためには、以下の条件が必要です。

  • 相続や遺贈により財産を取得した者であること。
  • その財産を取得した人に相続税が課税されていること。
  • その財産を、相続開始のあった日の翌日から相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日までに譲渡していること。

まとめ:相続不動産の売却で損をしないために

相続における不動産の売却は「タイミング」が重要です。
しかし売却に最適なタイミングは、税金をはじめ、さまざまな事情によって異なってきますので、見極めるためには専門的な知識と経験が不可欠です。

ベストな売却タイミングを事前によく検討し、それに向けて納税資金対策や生前贈与など、必要な対策を早めに講じていくこともとても重要です。

損をせずに相続不動産を売却したい方へ

さまざまな条件を見極めて、良いタイミングに好条件と価格で投資用マンションを売却をするには、専門家の知識が必須です。

とはいえ「不動産のことなら不動産屋に」と、安易に不動産業者に任せるのは少し待ってください!!

不動産業者は不動産取引を主業務としているため、オーナーの利益よりも自分達の利益を優先してしまう可能性があります。

その点、司法書士は相続人の代理人として不動産の売却ができますが、不動産業者とちがい副次的な業務としておこなっているため、一歩引いて「相続人の利益のため」の視点で動くことができます。

投資用マンションをご家族に残したい方、相続して処置に悩んでいる方は、一度清澤司法書士事務所までお気軽にお問い合わせください。

この記事の執筆・監修

清澤 晃(司法書士・宅地建物取引士)
清澤司法書士事務所の代表。
「相続」業務を得意とし、司法書士には珍しく相続不動産の売却まで手がけている。
また、精通した専門家の少ない家族信託についても相談・解決実績多数あり。

ご家族にこの記事を教えたり、記事を保存したい場合、下のボタンで共有・保存できます。
Tweets by tokyo_souzoku