遺言書の内容どおりに財産を分けないといけないの

遺言書は、亡くなった方の最後の「想い」なので、最大限尊重されるべきものであり、原則最優先されるべきです。しかし、遺言書のとおり相続すると、相続人や受遺者にとって不都合が生じてしまう場合や全員が納得いかない場合などがあります。
そこで、相続人や受遺者の全員が合意をすれば、遺言書の内容と異なる形で遺産分割も認められるとされています。

遺言執行者が指定されている場合は?

遺言書に遺言執行者が定められており、その遺言執行者が相続人以外の人である場合は注意が必要です。
遺言執行者には、遺言書に書かれた内容を実現する役割を果たす義務があり、相続人は遺言執行者が遺言書の内容を実現するのを妨害してはいけません。(民法第1031条)
遺言執行者がいるにもかかわらず相続人が遺言に反して相続財産を処分しても、その処分行為は無効となります。
ですが、遺言執行者が遺言と異なる内容の遺産分割に同意することにより、有効と解される場合もあります。

遺言執行者の同意なく、相続人全員で遺言と異なる内容の遺産分割協議がなされた場合

上記で述べた通り、遺言執行者の同意がなければ、遺言の内容と異なる遺産分割協議は原則として有効とはなりません。
被相続人の最後の意思を実現させることが遺言執行者の権利であり義務でもあります。
そのため遺言の内容の実現を妨げる行為がある場合は、是正するのが執行者の業務となり、遺言に反する遺産分割協議は無効であると主張して、遺言の内容を忠実に実行するのが原則です。

しかしながら、遺言の内容どおりに遺言執行がなされても、その後に相続人らにおいて処分行為(贈与や売買)をすることは贈与税や流通税の負担が余計にかかるなど、手間も無駄も増えます。
そのため、実務的には、その実質的妥当性を考慮して、遺言執行者の同意なく相続人らで遺言と異なる内容の遺産分割協議に基づいて相続登記を行った場合において、遺言執行者が遺言に記載されたとおりに移転登記手続をするように求め事案で、遺産分割は無効であるが、相続人間で贈与や交換しているものとして有効な合意とした裁判例もあるようです。

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