法務局で遺言書を保管できる?自筆証書遺言を安心して残す方法

最終更新日:2026年3月11日

法務局で遺言書を保管してくれるの!?

「遺言書を書いておきたいけれど、自宅で保管するのは不安」
「紛失したり、家族に見つかってしまったりしないだろうか」
「亡くなった後、相続人がちゃんと見つけてくれるだろうか」

実際、自筆証書遺言は自宅で保管されることが多く、紛失や相続人による廃棄・隠匿・改ざんといったトラブルが起きる可能性が指摘されてきました。

こうした問題に対応するため、2018年(平成30年)に「法務局における遺言書の保管等に関する法律」が成立し、2020年(令和2年)7月10日から法務局が自筆証書遺言を保管する制度がスタートしました。 ここでは制度の仕組みや手続き、メリット、注意点を初めての方にもわかりやすく解説します。

目次

法務局で遺言書を保管できる制度とは

これまで自筆証書遺言は、自宅の金庫や机の引き出しなどで保管されるケースが多くありました。そのため、紛失してしまったり、相続人の一部が遺言書を隠してしまったりするリスクが問題となっていました。

そこで創設されたのが、法務局による自筆証書遺言の保管制度です。遺言書を法務局に預けることで、国の機関が原本を安全に保管し、画像データとしても管理されます。これにより紛失や改ざんのリスクが大きく減り、遺言者が亡くなった後も相続人がスムーズに遺言書の存在を確認できるようになります。

さらに、この制度を利用して保管された自筆証書遺言は、家庭裁判所で行う「検認手続き」が不要となります。従来は自筆証書遺言が見つかると家庭裁判所で検認を受けなければ相続手続きに進めませんでしたが、その手間が省かれるため、相続人の負担も軽減されます。

自分で書いた遺言書を安全に保管できる点と、相続手続きがスムーズになる点が、この制度の大きな特徴です。

遺言書の種類と利用状況

遺言書には法律上いくつかの方式があります。具体的には、公正証書遺言、自筆証書遺言、秘密証書遺言、一般危急時遺言、難船危急時遺言、隔絶地遺言などがあります。

ただし、実務で利用されている遺言書のほとんどは公正証書遺言自筆証書遺言の二つです。公証人が作成する公正証書遺言は法的に確実性が高く、トラブルが少ない反面、費用がかかります。一方、自筆証書遺言は費用を抑えて作成できる点が大きな特徴です。

法務局の保管制度が始まったことで、自筆証書遺言の弱点であった「保管の不安」が大きく改善され、今後は自筆証書遺言の利用がさらに増えると考えられています。

法務局での遺言書保管手続き

法務局で遺言書を保管してもらうためには、遺言者本人が直接法務局に出向き、保管の申請を行う必要があります。代理申請は認められておらず、遺言書保管官が本人確認を行います。これは、遺言書が確かに本人の意思で作成されたものであることを確認するためです。

申請できる法務局は、遺言者の住所地、本籍地、または所有している不動産の所在地を管轄する法務局です。全国どこの法務局でも利用できるわけではないため、事前に管轄を確認する必要があります。

提出する遺言書は封をしていない状態で提出します。本文は全文自筆で作成し、日付・署名・押印が必要です。財産目録についてはパソコンで作成することもできますが、その場合でも署名押印が必要になります。

申請が受理されると、法務局は遺言書の原本を厳重に保管し、同時に画像データとしても管理します。

遺言者が生きている間にできること

遺言者は生前であれば、保管されている自分の遺言書を閲覧することができます。また、保管の申請を撤回し、遺言書を返還してもらうことも可能です。

申請が撤回されると、法務局は遺言書を返還し、保存していたデータも削除されます。なお、遺言者が生きている間は、本人以外が遺言書を閲覧することはできません

遺言者が亡くなった後の手続き

遺言者が亡くなると、相続人は法務局に対して遺言書の閲覧請求や写しの交付請求をすることができます。法務局が閲覧や証明書の交付を行った場合には、相続人・受遺者・遺言執行者などに対して、遺言書が保管されていることが通知されます。

この仕組みによって、遺言書の存在を知らないまま相続手続きを進めてしまうといったトラブルを防ぐことができます。

手数料について

法務局の保管制度を利用する際には、遺言書の保管申請、閲覧請求、遺言書情報証明書や遺言書保管事実証明書の交付請求など、それぞれの手続きに手数料が必要です。

保管申請の手数料は比較的低額に設定されており、公正証書遺言に比べて費用を抑えられる点も特徴です。

遺言書の内容は専門家に相談を

法務局の保管制度は、遺言書の形式が法律の要件を満たしているかを確認する仕組みですが、遺言の内容の妥当性まではチェックしてくれません

例えば、不動産の分け方、遺留分への配慮、相続人同士のトラブル防止などは、専門的な知識が必要になることがあります。形式が整っていても内容に問題があると、相続争いの原因になってしまうこともあります。

2026年現在、パソコンやスマートフォンで作成した遺言書をオンラインで保管する「デジタル遺言書制度」の導入も検討されています。遺言制度は時代に合わせて少しずつ進化しており、今後も制度の動向を確認しながら、自分や家族にとって最適な方法を選ぶことが大切です。

最新の制度や実務のポイントを踏まえたうえで遺言書を作成したい方は、どうぞ清澤司法書士事務所にご相談ください。初回相談は無料で承っていますので、安心してお話しいただけます。

この記事の執筆・監修

清澤 晃(司法書士・宅地建物取引士)
清澤司法書士事務所の代表。
「相続」業務を得意とし、司法書士には珍しく相続不動産の売却まで手がけている。
また、精通した専門家の少ない家族信託についても相談・解決実績多数あり。

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