遺言書とは?

1.まずは遺言にはどんなやり方があるのか?

 遺言。一般には「ゆいごん」といいますが、法律用語では「いごん」と読みます。

 読み方はさておき、ひとことで遺言と言ってもいろいろな種類(民法で定められているもの)があります。

  ①公正証書遺言     (民法 第969条)

  ②自筆証書遺言     (民法 第968条)

  ③秘密証書遺言     (民法 第970条)

  ④一般危急時遺言   (民法 第976条)

  ⑤難船危急時遺言   (民法 第979条)

  ⑥隔絶地遺言         (民法 第977条)

 一般的に「遺言書」と言われた時のイメージは①~③で、④、⑤、⑥は、日常からは少々かけ離れた特殊なケースの「遺言」となります。(緊急時に略式で行われる方法です。「・・書」ではありません。)簡単に内容を下記に説明しますので、興味のある方はご一読ください。

・一般危急時遺言

 遺言者が病気やその他の理由によって死亡の危機に瀕している場合に、特別な方法ですることができる遺言です。証人として3人以上の立ち会いがあれば、その1人に遺言の趣旨を口授して、緊急時遺言ができます。

・難船危急時遺言

 遺言者が乗っている船舶が遭難などにより、遺言者本人について生命の危機が迫っている場合に緊急的に作成される遺言書をいいます。 この遺言を作成するためには、証人2人以上の立ち会いのもと、遺言者本人が口頭で遺言を行い、立ち会いの証人がその遺言者の趣旨を筆記し署名・押印することによって作成します。

・隔絶地遺言

 伝染病により隔離された者の遺言と船舶中にある者の遺言。 一般隔絶地遺言と船舶隔絶地遺言がある。 一般隔絶地遺言は伝染病等のために隔離された人ができる遺言。 警察官1人と証人1人以上の立会いが必要です。

.遺言書の作り方

①公正証書遺言

 普通方式の遺言の一種ですが、証人立会いのもとに公証人(公証役場にいらっしゃる方です。)によって作成され、公証役場にて保管(保管期間は、おおよそ遺言者が120歳を迎えるくらいまで。また災害等に備え、原本と電磁的記録とを二重で保管します)するものあり、遺言の存在および内容の真正確保の点からみて最も安全確実とされています。ただし,相当の費用を要する点、また内容の秘密を保てない点が欠点です。なお偽造ないしは変造のおそれがないので、遺言執行に際し家庭裁判所の検認を必要としません。細かい条件は下記のとおりです。

1)証人二人以上の立会いがあること。

2)遺言者が遺言の趣旨を公証人に口授すること。

3)公証人が、遺言者の口述を筆記し、これを遺言者及び証人に読み聞かせ、又は閲覧させること。

4)遺言者及び証人が、筆記の正確なことを承認した後、各自これに署名し、印を押すこと。ただし、遺言者が署名することができない場合は、公証人がその事由を付記して、署名に代えることができる。

5)公証人が、その証書は前各号に掲げる方式に従って作ったものである旨を付記して、これに署名し、印を押すこと。

 以上の手順を経て作成されますので、最初に書いた通り「内容の秘密」は保てません。(少なくとも公証人及び証人には内容が分かってしまいます。)また、気軽に書き直しができないのも難点の一つです。

②自筆証書遺言

 遺言者本人だけで作成できる遺言書です。以前は遺言の全文と日付(作成日は明確な確定日付を記載する必要があります。「〇月吉日」みたいな書き方では、後述の秘密証書遺言と同様、無効になります。)を遺言者が自筆して作成するものでした。 が、2018年の法改正で一部変更となっています。新法では、財産目録の部分については自署することを要しないこととされ、ワープロで作成したもの、あるいは不動産の登記簿全部事項証明書などを別紙目録として添付し、その全てのページに署名捺印することにより、これを有効な自筆証書遺言の一部(補完書類)として許容することとされました。本改正により、手書きしなければならない部分が減り、作成面のハードルが下がりました。この法律は本年(2019年)1月13日より施行となっています。

 なお、公正証書以外の遺言(自筆証書遺言・秘密証書遺言)を執行する際には、事前に家庭裁判所の検認を受ける必要が有ります。(検認を受けないと遺言の効力が発揮されません。)この検認制度に関しても新たな制度が新設され利用しやすくなります。

※検認制度に関する新設制度                                    

 上記に書きました新しい制度ですが、来年(2020年)7月10日から施行となります、この制度では、遺言を法務局で保管する事が可能となっています。まず、遺言者は自ら作成した遺言につき、遺言書保管所として指定された(住所地・本籍地・所有不動産の所在地を管轄する)法務局に対して、当該遺言の保管申請を行なうことができます(代理申請不可)

 法務局の遺言書保管官は、所定の方法により、遺言者の本人確認を行った上で、当該申請を許可した遺言書につき、遺言書の画像などの情報を磁気ディスク等に保存しますが、遺言者はいつでも保管された遺言の閲覧を請求することができ、同様にいつでも自らこれを撤回することができます。

 また、遺言者の死亡後、その関係相続人等(相続人や権利関係者、遺言書に記載された者など)は遺言書保管官に対して、遺言書保管ファイルに記録された事項を証明した「遺言書情報証明書」の交付や遺言書原本の閲覧を申請・請求することができることとされています。そして、当該法務局に保管された自筆証書遺言については検認手続を要しないことになっています。

③秘密証書遺言

 この方法だと、遺言書の内容や存在を秘密にすることができますが、現状あまり使われている事例を見ません。あまり、遺言の内容を秘密にしたいと思う必要性は少ないのかもしれません。遺言のやり方ですが、遺言者は署名(自筆)、押印した遺言書を封筒に入れて封印し、公証人に提出し、証人2人以上の立ち会いのもとで氏名・住所などを申述します。公証人が日付と遺言者の申述内容を封筒に記載し、公証人と証人が署名捺印する。遺言書は遺言者に返却され、公証役場には封筒の控えのみ保管されます。遺言を執行する際には家庭裁判所の検認を受ける必要があります。細かい作法は下記のとおりです。

1)遺言者が、その証書に署名し、印を押すこと。

2)遺言者が、その証書を封じ、証書に用いた印章をもってこれに封印すること。

3)遺言者が、公証人一人及び証人二人以上の前に封書を提出して、自己の遺言書である旨並びにその筆者の氏名及び住所を申述すること。

4)公証人が、その証書を提出した日付及び遺言者の申述を封紙に記載した後、遺言者及び証人とともにこれに署名し、印を押すこと。

 なお、遺言書は何度でも作成(作り直し)が可能です。もちろん、複数の遺言書を作成した場合は、最後のものが最終的な遺言書となります。そのため、遺言書の作成日は明確な確定日付を記載する必要があります。(「〇月吉日」みたいな書き方では、遺言書が無効になります。)

.遺言書の探し方

①最初は身の回り

 今までの話とは逆に、相続人の立場から。実際に身近な人が亡くなった場合、遺言書を残しているかを確認するためにはどのようにすればいいでしょうか。

 やはり、まずはお亡くなりになった方の身の回りを探すことになります。もし仮に、遺言書らしき書類が出てきた場合、封をされている場合は開けないほうがよいでしょう。特に相続人が複数いる場合、変な疑い(変造等)をかけられると厄介ですので、出てきたものは裁判所の検認の場で開封するのが正しいやり方となります。

 では、出てきたものが単なるメモ書きに近いものや、お手紙の場合どうすればよいでしょうか。最終的に「遺言書」と判断されなくても、お亡くなりになった方の「気持ち」が書かれている場合があります。遺産分割協議をするにしても、何かの参考や考慮すべきポイントになる可能性がありますので、大切に保管しておく方がよろしいかと思います。

 ご不明な点がありましたら、私どものような専門家にご相談頂いた方がよろしいかと考えます。

②公証役場の遺言検索

 前項に書きました通り、公正証書遺言に関しては公証役場に保管されています。この遺言書に関しては、公証役場で保管の有無を検索できます。

 実際に、お亡くなりになった方が保管を依頼した公証役場以外の場所でも、日本全国の保管されている遺言書を検索できるのでご安心ください

 検索ができるのは相続人(若しくはその代理人。我々司法書士もお客さまからの委任によって検索をすることが可能です。)その他利害関係人が可能です。

 必要書類は、相続人が検索する場合は下記の3つです。

1 遺言者の死亡の記載がある資料                戸籍謄本、除籍謄本等

2 照会者が遺言者の相続人であることを証明する資料     戸籍謄本等

3 照会者の本人確認資料                               免許証等

※ご自分で検索に行かれる際は、事前に公証役場へご確認ください。

尚、検索自体は無料です。

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