賃借権は、賃貸借契約にもとづいて他人の土地や建物を一定期間利用することを認められる権利である。賃借権は契約に依存する「債権」であり、当事者間でのみ効力を持つ点に特徴がある。このため、賃貸人が土地や建物を第三者に売却した場合、その第三者に対して賃借権を主張できるかどうかは、対抗要件の有無に左右される。
賃借権は物権である地上権とは異なり、土地そのものに結びつく権利ではなく、契約関係にもとづく利用権に過ぎない。もっとも、建物の賃借権については、登記を備えることで第三者に対抗できる場合がある。また、借地借家法によって賃借人の保護が図られており、正当事由なく賃貸人が契約を終了させることが難しいなど、強い保護が与えられている。
実例
Aさんが所有する土地をBさんが借りて駐車場として利用する場合、Bさんは賃貸借契約にもとづく賃借権を取得し、契約期間中その土地を使用できる。
また、CさんがDさんから住宅を借りて居住する場合、Cさんは建物の賃借権を有し、賃料を支払うことを条件に建物を使用することができる。
よくある質問
Q:賃借権は第三者に主張できる?
A:賃借権は債権であるため原則として第三者には対抗できない。ただし、建物賃借権については登記を備えることで第三者に対抗できる場合がある。
Q:賃借権は相続される?
A:相続される。賃借人が死亡した場合、賃借権は相続人に承継され、契約にもとづく権利義務が引き継がれる。
Q:どのような場面で賃借権が使われる?
A:住宅の賃貸、土地の利用(駐車場や店舗用地など)、事務所や倉庫の使用など、日常的かつ広範な用途で用いられる。土地や建物を長期間利用する場合でも、地上権のような物権ではなく賃貸借契約による賃借権が選ばれることが一般的である。















