藁の上からの養子(わらのうえからのようし)は、他人の子を自分の子として出生届を出す行為であり、法律上は虚偽の届出として無効とされる。戸籍上は実親子のように見えても、実親子関係も養親子関係も原則として認められない。虚偽の出生届は公正証書原本不実記載罪にあたり、刑事罰の対象となる可能性がある。
現在では、正式な養子縁組や特別養子縁組の手続きを経ることで、適法に親子関係を成立させることができる。相続紛争を避けるためにも、正しい手続きを経ることが重要である。
藁の上からの養子が行われた背景
従来の日本社会では、以下のような理由で藁の上からの養子が行われてきた:
本来、養子縁組は家庭裁判所の許可や正式な手続きを経て成立する。しかし、藁の上からの養子では、これらの手続きを経ず、虚偽の出生届を提出することで戸籍上は実親子のように見せかける。戸籍制度が厳格化される以前には一定数行われていたが、現在は違法行為として扱われる。
具体例
典型的なケースとしては、以下のような状況が挙げられる
- 不妊の夫婦が親族の子を引き取るケース
夫婦に子どもがいない場合、親族や知人の子を「自分の子」として出生届を提出する
戸籍上は実子として記録されるが、実際には養子縁組の手続きを経ていない - 出生の秘密を隠すケース
未婚の母が出産した子を、既婚の親族が実子として届け出る
子どもの出自を隠すことが目的 - 相続紛争で顕在化するケース
育ての親の死亡時に遺産相続が発生し、実子である他の兄弟姉妹が「親子関係不存在確認の訴え」を提起する
長年育てられた子が、突然法的な親子関係を否定される
現代における正しい対応方法
- 通常の養子縁組
家庭裁判所の許可を得て養子縁組を行い、戸籍に「養子」として記載する。これが最も標準的な方法である。 - 特別養子縁組
藁の上からの養子の問題を解決するために、民法では特別養子縁組という制度が創設されている。通常の養子縁組では養子と実父母との間の親子関係は存続するが、特別養子縁組では実父母との親子関係が基本的に終了する。
特別養子縁組の特徴
実親との法的な親子関係が終了する
子どもの年齢制限がある(原則15歳未満)
試験養育期間が設けられている
家庭裁判所の審判で決定される
この制度を利用することで、「実子として育てる」という目的を、適法な形で実現できる。
よくある質問(Q&A)
Q1. 藁の上からの養子は相続人になれるのか?
原則として、虚偽の出生届では親子関係が認められないため、相続人にはなれない。ただし、平成18年以降の最高裁判例により、一定の条件下で権利濫用として親子関係の否定が認められない場合がある。
Q2. 藁の上からの養子であることが後から判明した場合、どうすればよいか?
養親が存命であれば、正式な養子縁組を結ぶことができる。養親が死亡している場合は、法的手段が限られるため、早めに専門家(弁護士・司法書士)に相談することが重要である。
Q3. 特別養子縁組と藁の上からの養子の違いは?
特別養子縁組は家庭裁判所の審判による正式な手続きで、実親との親子関係が終了する。藁の上からの養子は虚偽の出生届による違法な方法で、法的には親子関係が認められない。















