相続・贈与マガジン2020年2月号

2019年12月に発表された「令和2年度税制改正大綱」により、所有者が分からない土地でも、実際の使用者に固定資産税を課すことになりました(2020年4月から)。「相続・贈与マガジン」2020年2月号では、資産税の変更の注目ポイントを解説しています。

2020年2月号目次

12月12日とは?数字で見る相続

2019年12月12日、自由民主党と公明党が「令和2年度税制改正大綱」を発表しました。

一般的には、「ベンチャー企業への投資で法人税軽減」「年間所得500万円以下の未婚のひとり親への寡婦(寡夫)控除の適用」などが注目され、資産税に関しては、2020年4月1日から始まる「空地空家に対する課税徴収の措置」が注目を集めています。

これまでは所有者がわからない土地に関しては、固定資産税を課すことができませんでした。しかし、この措置によって、実際の土地の使用者を所有者とみなし、固定資産税を課すことになります。

2020年2月号の「相続・贈与マガジン」では「令和2年度税制改正大綱」における資産税の変更点を一部抜粋して掲載しています。ぜひご一読ください。

相続対策の種類によって変わる確定申告時の要件や必要書類とは?

もうすぐ確定申告の時期がやってきます。相続対策によって、子どもに預貯金や株式を生前贈与したり、不動産を売買したりなど、1年で大きな資産が動いたときには、贈与税や所得税の確定申告が必要となります。

今回は、贈与税・不動産譲渡所得税・不動産取得税などについて、要件や必要書類も交えてご紹介します。

贈与税・不動産所得税などの確定申告時の要件とは?

一口に相続に関する確定申告といっても、相続対策の種類によって確定申告時の要件や必要書類が異なります。

(1)贈与税

贈与税の課税方式には大きく分けて①暦年課税と②特例控除を受けられる贈与税(相続時精算課税や住宅取得等資金贈与など)の2種類があります。

それぞれにおいて、確定申告が必要な要件は以下の通りです。

①暦年課税

暦年課税方式では、贈与された額が年間受贈者1人当たり110万円を超える場合は申告が必要です。逆にそれ以下の場合は申告する必要はありません。

②特例控除を受けられる贈与税(相続時精算課税)

今回は、特例控除を受けられる贈与税のうち「相続時精算課税」について紹介します。

贈与した額から2,500万円を上限に非課税となる相続時精算課税制度。この制度を活用する場合は、110万円以下であっても贈与が行われた年は翌年2月1日から3月15日までに贈与税の申告が必要となります。

相続時精算課税の初回の申告時には、受贈者の戸籍謄本、戸籍の附票、それから贈与者の住民票または戸籍の附票などの書類が必要です。

(2)不動産所得

不動産所得の課税対象額は「総収入金額-必要経費」となり、課税対象額が20万円を超える場合は確定申告が必要です。

青色申告の場合は、確定申告書Bという用紙のほかに、不動産所得用の青色申告決算書が必要です。白色申告の場合は確定申告書Bと収支内訳書が必要となります。

(3)不動産譲渡所得税

不動産を売却して利益が出たら、譲渡所得の申告が必要です。利益が出なければ基本的に申告は不要ですが、同じ年にほかの不動産を売却した場合は損益通算ができます。こうした場合には、確定申告を忘れないようにしましょう。

不動産譲渡の申告には、税務署から送付される譲渡所得の内訳書、売買契約書や固定資産税精算書、売却したときに発生した経費の書類のコピー、不動産の全部事項証明書などが必要になります。

(4)不動産取得税

不動産を取得した場合、確定申告の時期にかかわらず各都道府県から送られてくる納税通知書に従って納税する必要があります。

確定申告時に漏れがないように、それぞれの要件を確認して準備をしておきましょう。

「令和2年度税制改正大綱」における資産税の変更点

自由民主党と公明党が発表した「令和2年度税制改正大綱」。

資産に関わる税金に関していえば、不動産関連の税金の軽減延長が増えました。

それでは、具体的に何が延長されたのか、制度化されたのかを見ていきましょう。(2019年12月12日時点での内容であり、以降変更される場合があります。また、制度利用には、一部条件、法律改正・施行が条件となっているものがあります)

空地空家に対する課税徴収の措置(制度化)

市区町村は、登記上の所有者が死亡していて、相続登記がされていなくても、実際に所有しているとみなされるものに対し、固定資産税の申告などをさせることができる。

また、所有者が明らかにならない場合は、実際の使用者を所有者として固定資産税を課することができる。

農地に係る納税猶予制度(法改正前提)(制度拡充)

農地等に係る相続税・贈与税の納税猶予制度について、特例適用農地等の範囲に、三大都市圏の特定市の市街化区域内に所在する農地で、地区計画農地保全条例(仮称)による制限を受ける一定の区域内に所在するものを加える。

医業継続に係る納税猶予制度(法改正前提)(延長)

医業継続に係る相続税・贈与税の納税猶予制度等を3年延長する。

保存登記や抵当権設定の登録免許税の軽減措置(延長)

下記特定の不動産に関して、登録免許税の軽減措置を2年延長する。

  • 住宅用家屋:所有権保存登記・所有権移転登記・抵当権設定
  • 特定認定長期優良住宅:所有権保存登記
  • 認定低炭素住宅:所有権保存登記
  • 特定の増改築がされた住宅用家屋:所有権移転登記

住宅に係る固定資産税の減額措置(延長)

次の住宅に係る固定資産税の減額措置を2年延長する。

  • 新築住宅
  • 新築の認定長期優良住宅
  • 耐震改修された住宅
  • バリアフリー改修を行った住宅
  • 省エネ改修を行った住宅

不動産取得税の減額措置(延長)

下記住宅・土地に係る不動産取得税の減額措置を2年延長する。

  • 新築の認定長期優良住宅
  • 新築住宅特例適用住宅用土地

賃借対照表・損益計算書の添付(制度軟化)

相続税・贈与税における下記の届出書等について、賃借対照表・損益計算書の添付を要しないこととする。

  • 非上場株式などについての相続税・贈与税の納税猶予における継続届出書など
  • 担保が保証人(法人)の保証である場合における延納申請書
  • 非上場株式を物納する場合における物納申請書

国外財産に関する制度(制度軟化)

  • 相続直後の国外財産調書等への記載を柔軟化(令和2年分以後)
  • 国外財産調書の提出がない場合の過少申告加算税などの加重措置の見直し

NISAに対しての措置(延長・制度拡充)

  • つみたてNISAの非課税措置の勘定設定期間を5年延長
  • 一般NISAの勘定設定期間終了に合わせ、特定非課税累積投資契約(仮称)に係る非課税措置を創設

相続の対象となる財産と対象にならない財産の違いとは?

父の葬儀費用を父の貯金から支払いました。葬儀費用は、相続の対象となる財産なのでしょうか。何が相続の対象となる財産なのかを教えてください。
相続財産に含まれるものには、預貯金や不動産、負債などがあります。
葬儀費用は例外的に相続人全員の合意があれば、相続財産からマイナスできます。
ただし、葬儀に必要ないものは葬儀費用に該当しないので注意しましょう。

原則として、相続財産に含まれるのは、以下の条件を満たすものです。

  • 被相続人が亡くなった瞬間に被相続人が所有している財産などの権利義務(負債も含む)
  • 被相続人の一身専属的な権利義務ではない権利や義務、地位など

葬儀費用は、通常は被相続人が亡くなった後に発生するため、相続財産には含まれません。しかし、葬儀を行うことは社会通念上当然のことと考えられています。相続人全員の合意があれば、葬儀費用は例外的に相続財産に含まれ、相続財産からマイナスすることが認められています。

二つめの「一身専属的」とは、その人以外に替えがきかない権利や義務のことです。たとえば、被相続人が所有している預貯金や不動産は、相続財産の対象です。預貯金や不動産は誰でも所有することができるため、一身専属的とはいえないからです。

一方、被相続人が学校の教師をしていた場合、「教師」という地位は相続されません。これは、「教師」という地位は、替えがきかないからです。配偶者としての地位、親権者としての地位なども同様です。

また、受取人が決められている財産は受取人固有の財産となるため、相続財産とはいえません。たとえば、妻を受取人として指定している被相続人の生命保険金がこれにあたります。

しかし、被相続人が相続人を受取人として指定した保険金は、民法上では相続財産になりませんが、相続税を計算するときに財産として含まれます。

こうした民法と税法の違いにも留意しながら、相続財産に含まれるものと含まれないものを選別していくことが重要です。

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