相続放棄をめぐる誤解とは

最終更新日:2026年3月18日

「相続は財産を受け取るもの」という常識が変わりつつある

近年、相続放棄に関する相談は確実に増えています。借金を抱えたまま亡くなるケースだけでなく、管理が難しい空き家や山林といったいわゆる「負動産」の問題、さらには親族間のトラブルに関わりたくないという心理的な理由から、相続そのものを避けたいと考える方も少なくありません。

かつて相続といえば、「財産を受け取る手続き」というイメージが一般的でした。しかし現在では、相続が必ずしも利益だけをもたらすものとは限らないことが広く知られるようになり、「負担を引き継がないための選択肢」として相続放棄を検討する人が増えています。

その一方で、制度の仕組みが十分に理解されないまま判断してしまい、思わぬトラブルにつながるケースも少なくありません。ここでは、相続放棄をめぐって特に誤解されやすいポイントについて整理していきます。

子どもが放棄すれば配偶者がすべて相続するしかない?

相続放棄についてよくある誤解の一つが、「子どもが相続放棄をすれば、残りの財産はすべて配偶者が相続する」というものです。これは一部の状況では当てはまるものの、相続放棄の仕組みを正確に表しているとは言えません。

相続放棄をした人は、法律上「最初から相続人ではなかったもの」として扱われます。そのため、子ども全員が放棄すれば配偶者が単独の相続人になるケースは確かにあります。しかし、配偶者も相続放棄をした場合には、相続権は次の順位へと移ります。

具体的には、第二順位である父母などの直系尊属が相続人となり、さらに父母もすでに亡くなっている場合や放棄した場合には、第三順位の兄弟姉妹へと相続権が移ります。

つまり、誰も財産を受け取らない状態にするためには、第一順位から第三順位まで、該当するすべての相続人が相続放棄を行う必要があります。

「子どもだけ放棄すれば終わり」と考えてしまうと、結果として親や兄弟姉妹が思いがけず相続の当事者になってしまう可能性があるのです。

戸籍をたどると「知らない相続人」が現れることもある

相続放棄を検討する際にまず重要になるのは、相続関係を正確に把握することです。そのためには、被相続人の出生から死亡までの戸籍をたどり、法律上の相続人を確認する必要があります。

戸籍を丁寧に調査していくと、長年連絡を取っていなかった親族や、存在を知らなかった親族が相続人として現れることは珍しくありません。実務でも、疎遠になっていた兄弟姉妹や、その子どもたちが相続人になるケースはよく見られます。

また、誰かが相続放棄をした場合でも、役所が次の順位の相続人に対して「あなたが相続人になりました」と通知してくれる制度はありません。そのため、義務ではありませんが、放棄をした際には次順位の方にその事実を伝えておくことが望ましいとされています。このような一言の連絡が、後々の混乱やトラブルを防ぐことにつながるからです。

突然「あなたが相続人です」と言われたら

実務の現場では、疎遠だった親族から突然連絡を受け、「自分が相続人になったらしい」「亡くなった人に借金があるらしい」と戸惑うケースも少なくありません。会ったこともない親族の借金を背負うことになるのではないかと不安になるのは、自然な反応です。

ただし、相続人になったからといって、必ず相続放棄をしなければならないわけではありません。相続財産の内容を確認したうえで、相続するか放棄するかを判断することができます。

もっとも、相続財産の中に借金などの負債が含まれている場合には注意が必要です。相続を選択すれば、その返済義務も相続分に応じて引き継ぐことになります。負債が財産を上回る場合には、相続放棄をしないことで本来避けられたはずの返済を続けることになりかねません。まずは財産と負債の全体像を把握することが重要です。

相続放棄には「3か月」という期限がある

相続放棄には期限があり、「相続の開始を知ってから3か月以内」に家庭裁判所へ申述を行う必要があります。これを「熟慮期間」といいます。

しかし、突然相続人になった方にとって、財産や負債の状況を調査し、必要書類を集めて家庭裁判所で手続きを行うまでの3か月は、決して長い期間とは言えません。仕事や日常生活を送りながら準備を進めることを考えると、あっという間に過ぎてしまうこともあります。

もし期限内に調査が間に合わない場合には、家庭裁判所に申し立てをすることで熟慮期間の延長が認められることがあります。この手続きは特別なものではなく、実務でも広く利用されています。期限が迫っていると感じたときは、焦って判断するのではなく、早めに専門家へ相談することが大切です。

参考:相続放棄の手続き|3カ月過ぎてもできる可能性があります >>

相続放棄を検討するなら早めの相談を

相続関係の調査や財産の把握は、慣れていない方にとって想像以上に手間と時間がかかります。戸籍の収集や財産調査を自力で進めるうちに、期限が迫ってしまうケースも少なくありません。

「どこから手をつければいいかわからない」という段階であっても、早めに専門家へ相談することで、手続きの遅れや誤った判断を防ぐことができます。

清澤司法書士事務所では、相続放棄に関するご相談を初回無料で承っています。期限が迫っている場合でも対応可能ですので、まずはお気軽にご相談ください。

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