最終更新日:2026年3月16日
「相続でもめたらしい」
そんな話を、親戚や知人から聞いたことはありませんか。
普段は仲の良い家族でも、相続の場面になると意見が食い違い、思いがけないトラブルになることがあります。親が元気なうちは実感がわかなくても、いざそのときが来ると「何から手をつければいいのかわからない」と戸惑う方は少なくありません。
実は、相続をめぐる状況はこの数十年で大きく変わっているといえます。昭和の時代の相続と、いまの相続では、同じ「遺産分割」という言葉を使っていても、その実態はまったく別物と言ってもいいほどです。
なぜ現代の相続はこんなに複雑になったのでしょうか。その背景を知ると、相続の問題がぐっと理解しやすくなります。
目次
昭和の相続は、まとまりやすかった?
昭和の時代、多くの家庭では三世代同居が珍しくありませんでした。親と子、そして孫までが同じ家で暮らし、日常の中で家族関係も財産の状況も自然と共有されていました。
財産の中心は自宅と預貯金で、内容も比較的シンプルです。そして「長男が家を継ぐ」という価値観が社会の中に広く根付いていました。もちろんすべての家庭がそうだったわけではありませんが、暗黙の了解のような形で役割が決まっていることが多かったのです。
親の介護も家族の中で行われることが多く、誰か一人に負担が集中するというよりは、家族の生活の中に自然と組み込まれていました。財産も人間関係も、ある意味で“見える状態”だったため、いざ相続の話になっても今より大きな混乱が起きにくかったのかもしれません。
現代の相続が複雑になった理由
一方、現代の相続を取り巻く環境は大きく変わりました。まず大きいのは、平均寿命がのびたことです。いわゆる「人生100年時代」といわれる現在では親の相続を、自分自身も高齢になってから経験する時代になっているのです。
さらに、家族の形も多様化しました。離婚や再婚、別居、長年会っていない兄弟など、「何年も顔を合わせていない相続人同士で遺産分割を話し合う」という状況も増えています。昔のように、日常的に顔を合わせていた家族とは違い、関係が希薄なまま重要な決断を迫られることも少なくありません。
財産の内容も複雑化しています。預貯金だけでなく、株式や投資信託、不動産、場合によっては海外資産など、多様な資産が存在します。そのため「そもそもどこに何があるのか」がわからないというケースも珍しくないでしょう。
さらに近年増えているのが、「実家を相続したくない」という問題です。地方で暮らしていた親の家を子どもが相続しても、すでに都会で生活基盤を築いている場合、その家に住む予定がないことも多いでしょう。老朽化した実家や売却が難しい土地は、財産というより管理の負担になってしまうことがあります。
親は「大切な家を残してあげたい」と思い、子どもは「受け取っても困る」と感じる。この価値観のすれ違いが、思わぬトラブルにつながることもあります。
また、介護の問題も現代の相続に影を落とています。長年にわたって親の面倒を見てきた子どもが、「何もしていない兄弟姉妹と同じ割合で分けるのは納得できない」と感じるのは自然なことです。こうした感情の積み重ねが、相続の場面で表面化することも少なくありません。
時代による相続ギャップ
| 昭和 | 現代 |
| 家族の合意が取りやすい | 相続人同士が疎遠で話し合いが難しい |
| 財産が単純 | 財産が多様で把握が困難 |
| 長男中心でまとまりやすい | 誰が何を継ぐかで対立しやすい |
| 葬儀・供養は地域の慣習に従い大規模傾向 | 家族葬・直葬・墓じまいなど縮小化が進む |
| 実家は“継ぐもの” | 実家は“使わない・負担になることもある” |
「昭和の常識」で考えると、つまずきやすい
こうして見てみると、昭和の相続が比較的まとまりやすかったのは、「家族が近くにいて、財産がシンプル、継ぐ人が自然に決まっていた」という環境があったからだとわかります。
しかし現代では、その前提が大きく変わりました。
それにもかかわらず、「うちは仲が良いから大丈夫」「相続の話はまだ早い」と、昭和の感覚のまま相続に向き合ってしまうと、思わぬところでつまずいてしまうことがあります。
普段は仲の良い家族でも、相続の場面で初めて知らされる財産があったり、長年の不満が表面化したりすることもあります。現代の相続は、何の準備もなく乗り越えるには少し複雑になりすぎているのかもしれません。
相続は「準備する時代」になっています
最近の終活ブームで、相続が起きてから慌てるのではなく、遺言書を作成したり、財産の一覧を整理したりすることで、家族が困らないようにしておきたいという意識が浸透しつつあります。
相続の準備は、決して特別な資産家だけのものではありません。むしろ、普通のご家庭こそ、少し準備しておくだけで将来のトラブルを防ぐことができます。
もし相続について気になることがあれば、専門家に相談してみるのも一つの方法です。
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