最終更新日:2026年3月18日
知らないと損をする「時効」と手続きの全体像
「相続は、いつまでに何をすればいいのか」
これは相談の場で最も多い質問のひとつです。
相続には複数の期限があり、それぞれ起算点も内容も異なります。期限を過ぎると、権利を失ったり、余計な税金を支払うことになったりと、取り返しのつかない不利益が生じることもあります。
そこで本記事では、相続で特に重要な期限を「3か月・4か月・10か月・1年・3年・5年・10年」という数字(期間)で整理し、実務上の注意点とともに解説します。
目次
- 【3か月】相続放棄の期限(最重要)
- 【4か月】準確定申告の期限
- 【10か月】相続税の申告・納税期限
- 【1年】遺留分侵害額請求の期限
- 【3年】相続登記の義務化
- 【5年】相続税の還付請求(更正の請求)
- 【10年】遺産分割と権利主張の最終期限
- 覚え方にコツはある?
- 期限を知ることが「損しない相続」につながる
【3か月】相続放棄の期限(最重要)
相続で最初に意識すべき期限が、「3か月」です。
相続放棄や限定承認は、相続の開始を知った日から3か月以内に家庭裁判所へ申述する必要があります。
この期間内に何も手続きをしないと、原則として「単純承認」となり、借金などの負債も含めてすべて相続したことになります。
なお、財産調査が間に合わない場合は、家庭裁判所に申し立てることでこの期間を延長できる場合があります。「間に合わないかもしれない」と感じた時点で、早めに対応することが重要です。
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【4か月】準確定申告の期限
亡くなった方に所得があった場合には、死亡を知った日の翌日から4か月以内に「準確定申告」を行う必要があります。
個人事業主や不動産収入があった場合だけでなく、医療費控除や還付申告が必要なケースも含まれます。通常の確定申告と異なり、相続人全員の連名で申告する点にも注意が必要です。
この期限は延長が難しく、遅れると延滞税などの負担が生じる可能性があります。
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【10か月】相続税の申告・納税期限
相続税の申告と納税は、相続開始を知った日の翌日から10か月以内です。
一見長く感じますが、遺産の調査、不動産評価、遺産分割協議、申告書作成までを考えると、実務上は決して余裕のある期間ではありません。
遺産分割が間に合わない場合でも申告自体は可能ですが、小規模宅地等の特例や配偶者控除が十分に使えず、一時的に多くの税金を納めることになる場合があります。早期の着手が重要です。
【1年】遺留分侵害額請求の期限
遺留分とは、配偶者や子どもなどに保障された最低限の取り分です。
この請求は、侵害を知った日から1年以内に行う必要があります。
起算点は「相続開始」ではなく、「遺留分が侵害されていると知ったとき」である点が重要です。遺言書を確認した日などが基準になります。
なお、請求後に相手が支払わない場合、金銭請求権として別途時効管理が必要になる点にも注意が必要です。
【3年】相続登記の義務化
2024年4月1日から、相続登記は義務となりました。
不動産を取得したことを知った日から3年以内に登記申請を行わなければなりません。
正当な理由なく放置すると、10万円以下の過料の対象となる可能性があります。
また、過去の相続も対象であり、2024年以前に発生した相続については、2027年3月31日までに登記を行う必要があります。
遺産分割がまとまらない場合でも、「相続人申告登記」によって義務を一時的に果たすことが可能です。
【5年】相続税の還付請求(更正の請求)
相続税を払いすぎていた場合、申告期限から5年以内であれば「更正の請求」により還付を受けることができます。
具体的には、申告から最大で約5年10か月の間に見直しが可能です。小規模宅地等の特例の適用漏れや土地評価の誤りなどにより、数百万円単位で還付されるケースもあります。
重要なのは、税務署が自動的に教えてくれるわけではない点です。自ら見直しを行わなければ、そのまま時効を迎えてしまいます。
【10年】遺産分割と権利主張の最終期限
相続における「10年」は、複数の重要な意味を持つ期限です。
まず、遺留分侵害額請求は、侵害を知らなくても相続開始から10年で消滅します。1年の短期時効との二重構造となっており、いずれか早い方で権利が失われます。
さらに、2023年の民法改正により、相続開始から10年を経過すると、特別受益や寄与分の主張が原則としてできなくなりました。これにより、長期間放置された相続は、原則として法定相続分での分割に収れんします。
「まだ話し合いがまとまっていない」という状態が続いている場合、この10年の経過によって本来の取り分が変わる可能性があるため注意が必要です。
覚え方にコツはある?
相続の期限は多岐にわたりますが、最初に動く期限(3か月・4か月・10か月)と、権利や義務に関する期限(1年・3年・5年・10年)に分けて覚えると整理しやすくなります。
特に「3か月(放棄)」と「10か月(税金)」は、実務上の影響が大きいため、優先して意識しておくべき数字です。
期限を知ることが「損しない相続」につながる
相続は、期限を知っているかどうかで結果が大きく変わります。知らなかったという理由で権利を失ったり、不要な税負担を抱えたりするケースは決して少なくありません。
「自分は何から手をつけるべきか」「まだ間に合うのか」と迷った時点で、すでに時間は動き始めています。早めに状況を整理し、適切な順序で手続きを進めることが重要です。
清澤司法書士事務所では、相続手続き全般について初回無料でご相談を承っています。期限が迫っている場合でも対応可能ですので、どうぞお気軽にご相談ください。















