後悔しない遺言書のために確認したいポイント5つ

遺言書づくりで、つまずかないための基本とは

「遺言書、そろそろ作ったほうがいいのかな」「昔作ったけれど、このままで大丈夫だろうか」。こうした声を耳にする機会が、ここ数年でぐっと増えました。

書店には遺言書の解説書が並び、終活セミナーも盛んに開催され、遺言書はもはや"特別な人のもの"ではなくなっています。当事務所にも幅広い年代の方から遺言書作成のご相談が寄せられています。

関心は高まる一方で、「何を書けばいいのか」「作った遺言書は本当に有効なのか」と手が止まっている方も少なくありません。

ここでは、遺言書づくりで押さえておきたい重要なポイントを整理してお伝えします。

ポイント1:遺留分への配慮ができているか

遺言書は原則として自由に書けますが、配偶者・子ども・直系尊属(父母・祖父母など)には「遺留分」という最低限の取り分が法律で保障されています。なお、兄弟姉妹には遺留分がありません。

遺留分を侵害する内容の遺言書であっても、法的には有効です。しかし亡くなった後、侵害された相続人から「遺留分侵害額請求」を起こされると、受け取った側が金銭を支払わなければならない事態になります。近年、こうした請求をめぐるトラブルが増えているのが実情です。

不公平な分け方にせざるを得ない事情がある場合は、その理由を「付言事項」として遺言書に記しておくことで、家族間の感情的な対立を和らげる効果があります。また、代償金の準備や生命保険の活用など、トラブルを未然に防ぐ設計を専門家と一緒に考えておくことが重要です。

ポイント2:遺言執行者を指定しているか

遺言書に「誰が遺言を実行するか」を定めておくことは、手続きをスムーズに進めるうえで欠かせません。遺言執行者がいないと、不動産の名義変更や預貯金の解約といった手続きのたびに相続人全員の同意と協力が必要になり、手続きが進まないケースが多く見られます。

現代の遺産には、ネット銀行の口座や証券口座のほか、SNSアカウントやサブスクリプションサービスの解約など、デジタル資産・デジタル契約に関する死後対応も含まれます。これらの整理も、遺言執行者がいることでスムーズに進めることができます。

遺言執行者は信頼できる家族でも構いませんが、手続きの複雑さや中立性を考えると、司法書士などの専門家を指定しておくことも有効な選択肢です。

ポイント3:財産の洗い出しに漏れがないか

財産の種類が多様化した現代では、遺言書を作ったつもりでも、気づかないうちに財産が漏れているケースがあります。ネット銀行、証券アプリ、外貨預金、暗号資産(仮想通貨)、ポイント・マイルなど、「誰にも伝えていなかった」財産が相続後に発覚してトラブルになることもあります。

財産目録を作成しておくことが有効で、2019年1月13日以降、自筆証書遺言に添付する財産目録はパソコンで作成することができるようになっています。ただし、各ページへの署名・押印は必要です。また、遺言書本文に「その他の残余財産はすべて○○に相続させる」という包括条項を入れておくことで、個別に列挙していない財産の漏れを防ぐことができます。

ポイント4:遺言書の保管方法は適切か

せっかく作った遺言書が、亡くなった後に見つからなかった、あるいは偽造・改ざんされてしまったというケースも残念ながら存在します。保管方法は遺言書の有効活用において非常に重要なポイントです。

自筆証書遺言を選ぶ場合は、2020年7月10日から始まった「自筆証書遺言書保管制度」の利用をお勧めします。法務局に遺言書を預けることで、紛失・改ざんのリスクがなくなり、遺言者の死後には法務局が相続人に遺言書の保管を通知してくれます。また、法務局に保管された自筆証書遺言書は、通常必要となる家庭裁判所での検認手続きが不要になるため、相続手続きをスムーズに進めることができます。

一方、公正証書遺言では公証人が遺言者から告げられた内容を遺言書に記載するため、遺言者が手書きするのは署名部分だけで足り、内容についても公証人が法律的な有効性をチェックしてくれます。原本は公証役場で保管されるため、紛失の心配もありません。内容の確実性と安全性を優先したい方には、公正証書遺言が最も信頼性の高い選択肢です。なお、自筆証書遺言保管制度では形式面のチェックは受けられますが、遺言の内容についてはチェックされないため、内容面に不安がある場合は専門家への相談が必要です。

ポイント5:定期的に見直しているか

遺言書は、作った時点での状況を反映したものです。家族の状況や財産の内容は時間とともに変わります。子どもが結婚した、離婚した、財産が増えた、指定した受遺者が先に亡くなってしまったなど、遺言書の内容が実態とかけ離れていると、かえって混乱を招くことがあります。

また、遺言書には不動産や株式など価格が変動する財産が含まれる場合も多くあります。具体的な金額ではなく割合で指定しておくなど、状況の変化に対応できる設計にしておくことも大切です。数年に一度は内容を見直す機会を持つことをお勧めします。

「付言事項」で、気持ちを伝える

最後に、法律的な要件とは別に、遺言書をより温かいものにする工夫として「付言事項」があります。これは遺言書の末尾に添える個人的なメッセージで、法的な効力はありませんが、財産の分け方の理由、家族への感謝、介護してくれた方へのお礼などを記しておくことで、相続人の感情的な対立を和らげる大きな力になります。遺言書は書類でありながら、書いた人の人柄と想いが伝わる、最後のメッセージでもあります。

「自分で書いてみたけれど不安がある」「内容をより確実なものにしたい」「昔作った遺言書を見直したい」という方は、ぜひ清澤司法書士事務所にご相談ください。あなたの状況に合わせて、実例を交えながら丁寧にサポートします。初回のご相談は無料です。

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