最終更新日:2026年4月27日

1.まずは遺言にはどんなやり方があるのか?
遺言。一般には「ゆいごん」といいますが、法律用語では「いごん」と読みます。
読み方はさておき、ひとことで遺言と言ってもいろいろな種類(民法で定められているもの)があります。
①公正証書遺言 (民法 第969条)
②自筆証書遺言 (民法 第968条)
③秘密証書遺言 (民法 第970条)
④一般危急時遺言 (民法 第976条)
⑤難船危急時遺言 (民法 第979条)
⑥隔絶地遺言 (民法 第977条)
一般的に「遺言書」と言われた時のイメージは①~③で、④、⑤、⑥は、日常からは少々かけ離れた特殊なケースの「遺言」となります。(緊急時に略式で行われる方法です。「・・書」ではありません。)簡単に内容を下記に説明しますので、興味のある方はご一読ください。
・一般危急時遺言
遺言者が病気やその他の理由によって死亡の危機に瀕している場合に、特別な方法ですることができる遺言です。証人として3人以上の立ち会いがあれば、その1人に遺言の趣旨を口授して、緊急時遺言ができます。
・難船危急時遺言
遺言者が乗っている船舶が遭難などにより、遺言者本人について生命の危機が迫っている場合に緊急的に作成される遺言書をいいます。 この遺言を作成するためには、証人2人以上の立ち会いのもと、遺言者本人が口頭で遺言を行い、立ち会いの証人がその遺言者の趣旨を筆記し署名・押印することによって作成します。
・隔絶地遺言
伝染病により隔離された者の遺言と船舶中にある者の遺言。 一般隔絶地遺言と船舶隔絶地遺言がある。 一般隔絶地遺言は伝染病等のために隔離された人ができる遺言。 警察官1人と証人1人以上の立会いが必要です。
2.遺言書の作り方
①公正証書遺言
普通方式の遺言の一種ですが、証人立会いのもとに公証人(公証役場にいらっしゃる方です。)によって作成され、公証役場にて保管(保管期間は、おおよそ遺言者が120歳を迎えるくらいまで。また災害等に備え、原本と電磁的記録とを二重で保管します)するものあり、遺言の存在および内容の真正確保の点からみて最も安全確実とされています。ただし,相当の費用を要する点、また内容の秘密を保てない点が欠点です。なお偽造ないしは変造のおそれがないので、遺言執行に際し家庭裁判所の検認を必要としません。細かい条件は下記のとおりです。
(1)証人二人以上の立会いがあること。
(2)遺言者が遺言の趣旨を公証人に口授すること。
(3)公証人が、遺言者の口述を筆記し、これを遺言者及び証人に読み聞かせ、又は閲覧させること。
(4)遺言者及び証人が、筆記の正確なことを承認した後、各自これに署名し、印を押すこと。ただし、遺言者が署名することができない場合は、公証人がその事由を付記して、署名に代えることができる。
(5)公証人が、その証書は前各号に掲げる方式に従って作ったものである旨を付記して、これに署名し、印を押すこと。
以上の手順を経て作成されますので、最初に書いた通り「内容の秘密」は保てません。(少なくとも公証人及び証人には内容が分かってしまいます。)また、気軽に書き直しができないのも難点の一つです。
②自筆証書遺言
遺言者本人だけで作成できる、最も利用しやすい遺言書の方式です。
従来は、遺言の全文・日付・氏名をすべて遺言者が自筆する必要がありました。また、日付は「令和〇年〇月〇日」のように特定できる形で記載する必要があり、「〇月吉日」といった記載では無効となります。
その後、2018年(平成30年)の法改正により取扱いが一部緩和され、現在では財産目録については自筆でなくてもよいとされています。たとえば、パソコンで作成した一覧表や、不動産の登記事項証明書・通帳のコピーなどを別紙として添付することが可能です。
ただし、この場合には注意点があり、各ページごとに遺言者の署名・押印が必要です。この要件を満たさないと、せっかく作成した遺言が無効となるおそれがあります。
この改正により、すべてを手書きする負担が軽減され、作成のハードルは大きく下がりました。
なお、公正証書以外の遺言(自筆証書遺言・秘密証書遺言)を執行する際には、事前に家庭裁判所の検認を受ける必要が有ります。(検認を受けないと遺言の効力が発揮されません。)この検認制度に関しても新たな制度が新設され利用しやすくなります。
※検認制度に関する新設制度
現在は、作成した自筆証書遺言を法務局に保管してもらう制度を利用することができます。
遺言者本人が、住所地・本籍地・所有不動産の所在地を管轄する法務局に出向き、申請を行うことで利用できます(代理申請はできません)。申請時には本人確認が行われ、遺言書は画像データとして安全に保管されます。
この制度を利用するメリットは大きく、まず遺言書の紛失や改ざんのリスクを防げる点が挙げられます。また、遺言者は生前いつでも内容の閲覧や撤回が可能です。
さらに、遺言者の死亡後には、相続人や受遺者などの関係者が、遺言書の内容を証明する「遺言書情報証明書」の交付請求や原本の閲覧を行うことができます。
そして最も重要な点として、この保管制度を利用した自筆証書遺言については、家庭裁判所での検認が不要とされています。これにより、相続手続をスムーズに進めることが可能になります。
③秘密証書遺言
この方法だと、遺言書の内容や存在を秘密にすることができますが、現状あまり使われている事例を見ません。あまり、遺言の内容を秘密にしたいと思う必要性は少ないのかもしれません。遺言のやり方ですが、遺言者は署名(自筆)、押印した遺言書を封筒に入れて封印し、公証人に提出し、証人2人以上の立ち会いのもとで氏名・住所などを申述します。公証人が日付と遺言者の申述内容を封筒に記載し、公証人と証人が署名捺印する。遺言書は遺言者に返却され、公証役場には封筒の控えのみ保管されます。遺言を執行する際には家庭裁判所の検認を受ける必要があります。細かい作法は下記のとおりです。
(1)遺言者が、その証書に署名し、印を押すこと。
(2)遺言者が、その証書を封じ、証書に用いた印章をもってこれに封印すること。
(3)遺言者が、公証人一人及び証人二人以上の前に封書を提出して、自己の遺言書である旨並びにその筆者の氏名及び住所を申述すること。
(4)公証人が、その証書を提出した日付及び遺言者の申述を封紙に記載した後、遺言者及び証人とともにこれに署名し、印を押すこと。
なお、遺言書は何度でも作成(作り直し)が可能です。もちろん、複数の遺言書を作成した場合は、最後のものが最終的な遺言書となります。そのため、遺言書の作成日は明確な確定日付を記載する必要があります。(「〇月吉日」みたいな書き方では、遺言書が無効になります。)
3.遺言書の探し方
①最初は身の回り
今までの話とは逆に、相続人の立場から。実際に身近な人が亡くなった場合、遺言書を残しているかを確認するためにはどのようにすればいいでしょうか。
やはり、まずはお亡くなりになった方の身の回りを探すことになります。もし仮に、遺言書らしき書類が出てきた場合、封をされている場合は開けないほうがよいでしょう。特に相続人が複数いる場合、変な疑い(変造等)をかけられると厄介ですので、出てきたものは裁判所の検認の場で開封するのが正しいやり方となります。
では、出てきたものが単なるメモ書きに近いものや、お手紙の場合どうすればよいでしょうか。最終的に「遺言書」と判断されなくても、お亡くなりになった方の「気持ち」が書かれている場合があります。遺産分割協議をするにしても、何かの参考や考慮すべきポイントになる可能性がありますので、大切に保管しておく方がよろしいかと思います。
ご不明な点がありましたら、私どものような専門家にご相談頂いた方がよろしいかと考えます。
②公証役場の遺言検索
前項に書きました通り、公正証書遺言に関しては公証役場に保管されています。この遺言書に関しては、公証役場で保管の有無を検索できます。
実際に、お亡くなりになった方が保管を依頼した公証役場以外の場所でも、日本全国の保管されている遺言書を検索できるのでご安心ください。
検索ができるのは相続人(若しくはその代理人。我々司法書士もお客さまからの委任によって検索をすることが可能です。)その他利害関係人が可能です。
必要書類は、相続人が検索する場合は下記の3つです。
2 照会者が遺言者の相続人であることを証明する資料 戸籍謄本等
3 照会者の本人確認資料 免許証等
※ご自分で検索に行かれる際は、事前に公証役場へご確認ください。
尚、検索自体は無料です。
この記事の執筆・監修
清澤 晃(司法書士・宅地建物取引士)
清澤司法書士事務所の代表。
「相続」業務を得意とし、司法書士には珍しく相続不動産の売却まで手がけている。
また、精通した専門家の少ない家族信託についても相談・解決実績多数あり。















