最終更新日:2026年3月27日
甥・姪が相続人になるケース、何から始めればいい?
「叔父が亡くなり、自分が相続人だと言われたけれど、何をすればいいのかわからない」
こういったケースは、決して珍しいものではありません。特に、子どものいない叔父・叔母の相続では、甥や姪が相続人になることがあります。
ただし、一般的な親子間の相続よりも手続きが複雑になりやすいのが特徴です。なぜ複雑になるのか、そして何から手をつければよいのかを、疑問に答える形で整理していきます。
目次
なぜ甥・姪が相続人になるのか
まず最初に多くの方が感じる疑問が、「なぜ自分が相続人になるのか」という点です。
法律では、相続人になれる順番があらかじめ決められています。配偶者は常に相続人となり、それに加えて優先順位が定められています。
子どもや孫がいない場合、次は父母などの直系尊属へ、それもいない場合は兄弟姉妹へと相続権が移ります。ここで重要なのが「代襲相続」です。
もし兄弟姉妹(つまり甥・姪から見た親)がすでに亡くなっている場合、その子どもである甥や姪が相続人として権利を引き継ぎます。これが、甥・姪が相続人になる理由です。
ただし注意点として、代襲相続が認められるのは甥・姪までです。甥・姪がすでに亡くなっている場合、その子どもには相続権は引き継がれません。この点は、親子間の相続と異なる重要なポイントです。
手続きが複雑になるのはなぜか
実際に手続きを進めようとすると、「思った以上に大変だ」と感じる方が多いのもこの相続の特徴です。
その理由は大きく三つあります。
まず、戸籍収集の範囲が広くなることです。相続人を確定するには、亡くなった方に子どもがいないことや、父母がすでに亡くなっていること、さらに兄弟姉妹の構成やその子ども(甥・姪)まで、順を追って証明しなければなりません。結果として、複数世代にわたる戸籍を集める必要があり、手間と時間がかかります。
次に、相続人の数が増えやすい点です。兄弟姉妹が多く、それぞれに子どもがいる場合、相続人は一気に増えます。全員で話し合いを行う必要があるため、連絡先の特定から始めるケースも少なくありません。
さらに、関係性の問題もあります。「名前は知っているが、ほとんど会ったことがない」という相手と遺産分割を話し合うのは、心理的な負担も大きくなります。こうした事情が重なり、手続きが進みにくくなるのです。
戸籍収集はどう進める?制度のポイント
では、実務上どこから始めればよいのでしょうか。多くの場合、最初のハードルになるのが戸籍の収集です。
2024年3月からは「戸籍の広域交付制度」が始まり、本籍地以外の市区町村でも戸籍証明書などを取得できるようになりました。これにより、複数の役所を回る負担は軽減されています。
ただし、この制度には重要な制限があります。広域交付で取得できるのは、本人や配偶者、直系の親族(父母や子どもなど)の戸籍に限られます。兄弟姉妹や叔父・叔母、甥・姪といった関係の戸籍は対象外です。
そのため、叔父・叔母の戸籍や、亡くなった兄弟姉妹の戸籍については、これまでどおり本籍地の役所へ個別に請求する必要があります。
また、広域交付は窓口での本人申請が原則で、郵送や代理人による請求はできません。顔写真付きの本人確認書類も必要です。
実務では、本人が取得できる戸籍は自分で集め、それ以外の戸籍は司法書士などの専門家が職務上請求で取り寄せる、という形で進めることが多くなります。
疎遠な相続人がいる場合はどうするか
「相続人の中に連絡先がわからない人がいる」
このような状況も珍しくありません。遺言書がない場合、遺産分割は相続人全員で合意する必要があります。一人でも欠けると手続きは進められません。
このような場合、司法書士は戸籍や住民票などをもとに相続人の所在を調査し、丁寧な文面で通知を送ることで、手続きを進めるサポートが可能です。突然の連絡でもトラブルにならないよう配慮しながら、中立的な立場で調整を行います。
ただし、相続人同士で意見が対立し、交渉が必要になった場合は、司法書士では対応できません。その場合は弁護士に依頼する必要があります。この役割の違いも理解しておくと安心です。
まとめ:迷ったら、まず全体像を整理する
叔父・叔母の相続は、戸籍の範囲が広く、相続人も増えやすく、関係性も複雑になりがちな相続です。そのため、「何から始めればいいのかわからない」と感じるのは自然なことです。
だからこそ重要なのは、最初に全体像を整理することです。誰が相続人なのか、どのような財産があるのか、どこまで自分で対応できるのかを明確にすることで、手続きの見通しが立ちやすくなります。
清澤司法書士事務所では、戸籍収集から相続人調査、遺産分割協議書の作成、不動産の名義変更まで一貫して対応しています。「自分が相続人かどうかもわからない」という段階でも問題ありません。まずは状況整理から相談してみることが、結果的に時間と負担の軽減につながります。
この記事の執筆・監修
清澤 晃(司法書士・宅地建物取引士)
清澤司法書士事務所の代表。
「相続」業務を得意とし、司法書士には珍しく相続不動産の売却まで手がけている。
また、精通した専門家の少ない家族信託についても相談・解決実績多数あり。















