遺言書が複数見つかったら?内容が食い違っている場合は?

最終更新日:2026年3月9日

相続の手続きを進めていると、思いがけない出来事に出会うことがあります。
タンスの奥から古い遺言書が出てきた、あるいは公正証書遺言があるのに、別の封筒からも遺言らしき書面が見つかった…そんなとき、多くの方が「いったいどれが本物なの?」と戸惑ってしまいます。

実は、遺言書が複数見つかること自体は、決して珍しいことではありません。
遺言書は一度書いたら終わりではなく、気持ちや家族関係、財産の状況が変わるたびに書き直すことができるものだからです。ただ、書き直したあとに古い遺言書が残ったままだと、相続の場面で家族が混乱してしまうことがあります。

この記事では、遺言書が複数見つかったときに知っておきたい基本ルールと、よくあるトラブルへの考え方をわかりやすくご紹介します。

目次

有効なのは「一番新しい遺言書」

遺言書が複数見つかった場合、原則として有効になるのは「日付が一番新しい遺言書」です。

遺言は、その人の「最終的な意思」を尊重する制度です。
そのため、後から書かれた遺言ほど、本人の新しい考えや気持ちが反映されていると考えられます。

たとえば、2015年に公証役場で作成した公正証書遺言と、2022年に自筆で書いた遺言書が見つかった場合、有効になるのは2022年の遺言書といえます。自筆か公正証書かといった作成方法よりも、「いつ作成されたものか」が重要な判断基準になります。

ここで注意したいのが、日付のない遺言書です。日付が書かれていないと、どちらが新しい遺言なのか判断できないため、無効と判断される可能性があります。
もし日付のない遺言書が見つかった場合は、専門家に確認することをおすすめします。

内容が食い違っていたらどうなる?

複数の遺言書が見つかると、内容が矛盾していることもあります。
たとえば、古い遺言では「自宅は長男に」と書かれているのに、新しい遺言では「自宅は次男に」と書かれている、というケースです。この場合も基本的な考え方は同じで、新しい遺言書の内容が優先されます。

ただし、すべてが単純に解決するとは限りません。新しい遺言書が一部の財産についてしか触れていない場合、残りの財産については古い遺言書を参考にすることもあります。

つまり、複数の遺言書を組み合わせて読み解く必要があるケースもあるのです。こうした判断は意外と複雑なため、専門家の視点で整理することが重要になります。

すでに古い遺言で手続きを進めていたら?

もう一つ、よくあるご相談があります。それは「古い遺言書をもとに手続きを進めていたのに、新しい遺言書が見つかった」というケースです。

「すでに名義変更をしてしまったのに、やり直しになるの?」と不安になる方も多いでしょう。
原則としては、新しい遺言書の内容が優先されます。

ただし、すでに不動産の名義変更や預金の解約が済んでいる場合、すべてを一律にやり直すわけではなく、状況に応じて対応を考える必要があります。

また、相続人全員が納得している場合には、「古い遺言書の内容で進める」という選択ができることもあります。
もし話し合いがまとまらない場合は、家庭裁判所での調停などの手続きに進むことになります。

見つかった遺言書が無効ということもある

遺言書が見つかったからといって、必ずしもそれが有効とは限りません。
特に自筆証書遺言では、形式上のミスで無効になるケースが少なくありません。
たとえば、次のような場合です。

  • 日付が書かれていない
  • 押印がない
  • 本人の筆跡ではない
  • 判断能力が低下していた時期に作成された可能性がある

また、改ざんの疑いがある場合も無効になる可能性があります。
「せっかく遺言書が見つかったのに、法律上は意味がなかった」という事態を避けるためにも、見つかった遺言書は一度専門家に確認してもらうことが大切です。

生前にできる一番のトラブル予防

遺言書が複数見つかると、相続人同士のトラブルにつながることがあります。

実は、その多くは生前のちょっとした工夫で防ぐことができます。一番シンプルで効果的なのは、遺言を書き直したら古いものを処分しておくことです。これだけでも、相続時の混乱を大きく減らすことができます。

さらに、公正証書遺言を利用したり、法務局の遺言書保管制度を活用したりすることで、形式ミスや紛失のリスクを防ぐこともできます。また、遺言執行者を専門家に指定しておくと、相続手続きがスムーズに進みやすくなります。

複数の遺言書が見つかったら、まず専門家へ

「どの遺言が有効なのか」
「手続きをやり直す必要があるのか」
「相続人同士でどこまで合意できるのか」
こうした判断は、法律の知識がないと意外と難しいものです。誤った対応が、後のトラブルにつながることもあります。

もし複数の遺言書が見つかった場合は、まず落ち着いて、司法書士や弁護士などの専門家に相談することをおすすめします。状況を整理したうえで、最適な対応方法を一緒に考えることができます。

清澤司法書士事務所では初回の相談は無料でいたしますので、気軽に電話やメール、LINEでお問い合わせください。

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