被相続人の債務があると財産を差し押さえられる?債務を相続する際の注意点とは

相続が発生すると、相続人は法定相続分を基本として被相続人の相続財産を取得することになりますが、それぞれが相続するのは預金などプラスの財産だけでなく、借金等マイナスの財産も含みます。マイナスの財産を相続し、支払いを怠った場合、相続人の財産を差し押さえされる可能性もあります。

当記事では借金などマイナスの財産を相続する際の注意点について解説します。

目次

被相続人の債務が原因で相続人の財産が差し押さえられることがある

単純承認をした場合、被相続人の債務は法定相続人が債務として承継することになります。債権者は民法で定められている法定相続人に債務の返済を要求することが可能です。また、相続人が債務を返済しなかった場合、財産を差し押さえすることも可能です。被相続人の債務で相続人が元々保有していた財産まで差し押さえられることはないだろうと考える人もすくなくありませんが、債務を承継することで、相続人が借金をしたことと同じ状態となり、相続人が元々保有していた財産も差し押さえの対象となります。

相続税などの国税を滞納したまま亡くなった場合も、納税の義務を相続人が承継しますので、請求されることになります。相続人が税金を支払わなかった場合、相続人の財産の情報を確認して差押さえして徴収する可能性もあります。

被相続人の延滞債務がある場合の注意点

被相続人が税金の納付を長年おこなっており、滞納するなど延滞債務があり、積極財産が少ない場合は特に注意が必要です。

税金の滞納がある場合、通常督促を行ったうえで、支払いがなければ財産調査を行い、財産の差し押さえを行います。不動産など財産的に価値の高い資産がある場合は換価して、納税資金に充当することができます。

財産が無ければ、差し押さえることはできませんが、相続が発生し、延滞債務を支払う義務が相続人にうつったことで相続人の財産も差し押さえができるようになります。被相続人のところに差し押さえがなかったため、大丈夫だろうと思い相続すると、相続人がもともと保有していた財産を差し押さえられるということもあり得ます。仮に滞納している税金などがある場合は、相続人名義の財産を差押の上、処分してお金に代えて充当することが、法律的に認められているので特に注意する必要があります。

相続放棄・限定承認で差し押さえを免れることが可能

債務を引き継ぎたくない場合は相続放棄や限定承認を選択することも可能です。

相続放棄は単独でできる行為で相続発生から3ヶ月以内に家庭裁判所に相続放棄の申立てを行うことでマイナスの財産を承継することはなくなります。
ただし、相続放棄をすることで、プラスの財産を引き継ぐことはできなくなりますし、自分が放棄をすることで他の相続人で遺産分割をすることになり、負担が増えトラブルになり、関係が悪化する可能性もあります。そのため、相続放棄をする場合は他の相続人に連絡をした方が良いでしょう。

一方の限定承認はプラスの財産の範囲でマイナスの財産を負担すると言う方法です。財産がどれくらいあるかわからない場合やどうしても相続する権利を得たい土地や建物など特定の遺産がある場合に有効ですが、限定承認は相続人単独で行うことはできず、限定承認を行う時は相続人全員で合意する必要があります。

限定承認も期限は相続開始から3ヶ月で、単独で行うことができる相続放棄よりも時間がかかる場合が多いです。3カ月以上経過すると限定承認は認められませんので、早めに判断する必要があります。

被相続人に延滞債務があり、差し押さえをされそうな状況の場合でも、相続放棄や限定承認をすることで、もともと相続人が保有していた財産を差し押さえられることを防ぐことができますが、放棄や限定承認をすると変更することはできませんので、慎重に判断しましょう。

相続のお悩みは専門家に相談を

上記に解説の通り、債務や延滞債務がある場合は様々な問題が発生する可能性があり、お悩みがある場合は専門家に相談し、サポートを受けて検討した方がよいでしょう。

また、相続税は制度も複雑で、不明点がある場合や自分で申告手続きを完了させることが困難な場合は税金のプロである税理士に相談すると良いでしょう。

相続税の申告が必要な場合は、相続人に納税義務があり、相続発生から原則10ヶ月以内に行う必要があります。相続税の計算を行うためには財産の一覧の表を作成する必要がありますが、相続税法の制度に基づく財産の評価や特例の適用可否を確認することも慣れていない人にとっては簡単ではありません。

税のプロである税理士にも専門分野がありますので、相続税の申告を依頼する場合は相続税を専門に扱っている税理士に依頼することをおすすめします。知り合いに紹介してもらうことが難しい場合はホームページで検索してみると良いでしょう。

また、遺産の分割の協議をした後の金融機関の名義変更や不動産の登記などの手続きが難しい場合は司法書士に手続きを依頼するという方法もあります。相続が発生すると後でさまざまな問題が発生することがあり、第三者である司法書士に相談することも有効な方法の一つです。また、生前に遺言書を作成し、手続きを行う執行者に指定することで、死亡した後に業務として手続きを依頼することも可能です。専門家に自分の状況を伝え、遺言の内容を相談し、配分を決定することで、相続発生後の手続きもスムーズに進めることができるでしょう。

専門家と相談する際は、今の状況を説明するために資産や負債に関する資料を持っていくとスムーズに進めることができます。

清澤司法書士事務所では初回の相談は無料でいたしますので、気軽に電話やメールなどで問い合わせください。

ご家族にこの記事を教えたり、記事を保存したい場合、下のボタンで共有・保存できます。
Tweets by tokyo_souzoku