遺言書が後から見つかった場合どうする?

相続が発生すると、故人の財産を法定相続人で協議を行い配分する必要があります。

遺言書があれば、基本的には遺言に従い配分することになりますが、場合によっては遺産の分割をした後に遺言が出てくることもあります。

遺産の分割が完了した後で遺言書が発見された場合、配分をやり直す必要はあるのでしょうか。当記事では遺言書が後から見つかった場合の対応方法について解説します。

目次

遺言が後から見つかった時の対応方法

遺言が後から見つかった場合でも、基本的には遺言を優先し、遺産の配分をすることになります。しかし、実際には遺産をすでに費消していたり、遺産として受け取った土地に建物を建てて実際に居住している事例などは簡単に明け渡すことはできないでしょう。

後から見つかったケースでも相続人全員で合意をすることができれば、必ずしも遺言通りの方法で財産を分ける必要はありません。まずは生前に遺言が作成されていたことを相続人全員に伝え、遺産相続をやり直すかどうか確認するようにしましょう。

また、遺言書には公証役場で作成する公正証書遺言と、自宅で保管する自筆証書遺言があります。公正証書遺言の場合は作成時に法律上有効な遺言であることが確定しますが自筆証書遺言の場合は形式の不備により無効となるケースもありますので、法律上有効な遺言であるかどうか確認するようにしましょう。もし形式不備があり、民法上有効な遺言書ではなかった場合、効力はありません。そのため、相続人全員で再度話し合いを行い同意を得る必要はありません。

遺言が後から見つかった時に特に注意が必要なケース

遺言が後から見つかった場合、特に注意が必要なケースを紹介します。

遺言により非嫡出子の認知がされている場合

非嫡出子とは婚姻関係を結んでいない人との間に生まれた子で認知をしていない場合は生物学上の親子であっても戸籍上は他人となり、相続権は有しません。

しかし、遺言書によって認知をした場合、遺産相続をする権利を有するようになり、子どもですので遺留分を請求する権利もあります。遺言により認知をすることも可能ですが遺言書が発見されていなかった場合、子供の存在に気付かずに財産を既に配分してしまっている可能性があります。このようなケースでは認知された子が相続放棄をせず相続権を主張するとトラブルになる可能性が非常に高く、遺産分割をやり直す前に法律事務所などの専門家に相談をした方がよいでしょう。

遺言書により相続人の廃除がされている場合

相続廃除とは被相続人に対する虐待や重大な侮辱があった場合に、相続人として相続する権利を剥奪することです。相続廃除は遺言書によって意思表示をすることが認められており、遺言書に記載することができます。

廃除された親族が財産を相続している場合、遺産分割をやり直す必要がありますが、トラブルになる可能性が高く注意が必要です。

相続人以外の人に遺贈を行う内容の場合

遺言書を作成することで、相続人以外の人に財産を遺すことができます。第三者とは孫など相続人ではないものの親族のケースもあれば、友人など全く親族関係がない人に遺す内容となっている場合もあります。

第三者に相続財産を遺贈する内容となっている場合は再度話し合いをやり直す必要がありますが家族と遺贈される第三者の関係が良好ではない場合、時間がかかることも多いです。

相続でお悩みの場合は専門家に相談を

遺言書が後から見つかった場合、配分のやり直しが必要なこともあり、問題になることが多いです。トラブルになりそうな状況の時は自分で判断せず、知識と経験がある専門家に相談することをおすすめします。

できれば、遺言書の作成時に弁護士や税理士、司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。専門家に依頼することで遺言の内容を相談することもできますし、手続きを担う執行者を依頼することも可能となり、メリットが大きいです。

遺言が後から発見されて遺産分割をやり直さざるを得ないような状況を防ぎ、自分の意思をしっかりと伝えるためにも生前に専門家に相談のうえ遺言書の作成を進めるほうがよいでしょう。既に遺言書を作成している方も再度見直しをしてみてはいかがでしょうか。

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