相続が発生するとあらゆる相続財産について遺産分割の協議のうえ名義変更の手続きを行う必要があります。しかし、稀ではありますが、財産の配分をやり直したいという場合があります。
故人が所有していた不動産の所有者を変更するための登記等、名義変更を完了した後に再度遺産分割協議をやり直す場合どのような手続きを行えばよいのでしょうか。当記事では手続きの方法や注意点について具体的に解説します。
目次
遺産分割協議のやり直しが必要なケース
遺産分割には時効や期限がありませんので、再度遺産分割をすることができます。被相続人が亡くなってから遺産の配分がいったん終わった後に遺産分割協議をやり直す必要があるケースとはどのような場合があるのでしょうか。再度遺産分割協議を行う事例について紹介します。
財産が後から見つかった場合
遺産相続の時に調査をしても相続人が気づいていない財産が、その後で見つかって遺産分割協議を再度やり直す必要が生じるケースがあります。昔は相続発生時の登記が義務化されていなかったため、被相続人が持ち分を持つ不動産が登記されておらず、兄弟で共同で所有している持ち分に気づかないケースも多くあります。
新たに見つかった財産のみ再度話し合いのうえ取得する者を決めることもできますし、財産の全体について再度配分を検討することも可能です。
再度配分する場合も全員で合意の上で再度遺産分割協議書を作成し、署名・押印する必要があります。
遺言書が後から見つかった場合
相続が発生する前に作成された遺言書が遺産分割の後で見つかって相続人で協議して合意した内容と異なる配分であった場合は配分方法を変更することができます。ただし、既に成立している遺産分割で特に配分に問題がなく、当初の配分で相続人全員で合意できるのであれば、結果として必ずしも遺言通りに名義変更をする必要はありません。
一方で遺言によって新たに戸籍に記載されていなかった非嫡出子が子供として認知された例では、認知された人は法定相続分の財産を取得する権利を有します。また遺留分もあり、請求される可能性があります。そのため、相続放棄がされない限り原則、親族で集まって再度遺産の分割について再度話し合いをすることになります。様々な理由によりあらためて話し合いが必要なケースは関係が悪化することも多く時間がかかることが多く、弁護士などを交えた話し合いとなることも多くあります。
不動産登記を再度やり直すことも可能
遺産の分割について再度話し合いを行って全員で合意できた場合、再度、法務局で土地・建物の不動産の登記をやり直すことが可能です。手続きとしては相続が原因で行った所有権移転登記を先に抹消し、再度名義変更の登記をすることになります。戸籍謄本はそのまま使うことができますが、印鑑証明は期限がありますので再度取得する必要があります。
ただし、不動産登記の際に必要な登録免許税などの費用は再度かかるなどデメリットもあります。
また、状態によっては取得した財産を売却や贈与したものとみなされ、贈与税や所得税などの税金を負担する必要が生じる可能性がありますので注意しましょう。
不明点がある場合は司法書士など専門家に相談を
不動産登記に不明点がある場合は司法書士に相談して手続きを進めるようにしましょう。特に今回の記事で解説したような登記のやり直しが必要なケースでは通常の手続きよりも複雑な手続きや添付する書面の準備が必要になります。自分で対応することが難しい場合は司法書士に手続きのサポートを依頼することを検討しましょう。
また、遺産の配分によって相続税の修正申告を行い、税金を納める必要が生じるケースがあります。修正申告が必要となる場合は相続税の計算を行うために相続税や贈与税関連の手続きに詳しい税理士に相談するようにしましょう。税理士に申告を依頼する際は財産の内容がわかるように一覧の表を作成しておくと便利です。税理士に支払う料金も被相続人名義の課税対象財産によって決まることが多いので、財産の一覧を持っていくことで費用についても確認することが可能です。
登記や税金の申告は司法書士や税理士など各分野の専門家に相談することをおすすめします。初回の相談はサービスで無料で対応しているケースが多いのでまずは電話やメールで気軽に問い合わせてみると良いでしょう。