相続人になったら何をしたらいい?相続人の調査方法とは

親族が亡くなって自分が相続人になった時に何から手続きを始めるといいのかわからないという方も多いのではないでしょうか。相続手続きをする際に、重要なことは法律上の相続人を特定することです。当記事では相続人が分からない場合の確認方法や、連絡先が分からない場合の基本的な調査方法について下記に解説していきます。

目次

相続人の確定方法

故人の相続人となる親族は民法で定められており、続柄により、ルールが決められています。被相続人からみて配偶者は常に相続人となり、子どもが第一順位、親(両親または祖父母)が第二順位、兄弟姉妹が第三順位となります。

子が先に死亡している場合は孫が代襲相続人となり、兄弟姉妹が死亡している場合は甥・姪が代襲相続人となります。金融機関や不動産の登記など、名義変更の手続きを行う場合は生まれてから亡くなるまでの連続した戸籍謄本を収集する必要があります。よく似た言葉に戸籍抄本がありますが、戸籍抄本では相続人が確定できないため、戸籍謄本が必要となります。現在のコンピューター化した戸籍の前の古い戸籍を改正原戸籍と言いますが、出生から亡くなるまでの戸籍が必要ですので、古い書式の戸籍も必要となる場合が多いです。古い戸籍は読み方が難しいので時間がかかることも多いです。

戸籍は氏名や生年月日の他に相続人関係や相続人が誰であるかを証明することができるため、戸籍を提出し、相続人全員で協議していることを証明することができます。戸籍は本籍地にあり、結婚や離婚、などにより転籍や除籍、養子縁組等の理由で戸籍は変更されます。昔は本籍地の市区町村役場に郵送で書類を送付して集める必要がありましたが、今は最寄りの役場で発行を依頼して取得することが可能です。昔の戸籍は変わることがありませんので、相続が発生する前に準備しておくことも可能です。

相続人の数は相続税の計算にも利用します。相続税は基礎控除を差し引いた後、法定相続割合どおりに取得したものとして相続税の合計を算出し、取得割合に応じて按分するという方法で計算を行います。

基礎控除は3,000万円+法定相続人×600万円で計算を行います。そのため、相続人の人数を把握しないと相続税の計算ができないのです。基礎控除を超えない場合は、相続税の申告は必要ありません。相続税の申告が必要かどうかで、手続きを進めるうえで親族の負担が大きく異なりますので、預貯金や株式、不動産などの財産をまとめて一覧の表にして相続税がかかりそうかどうか早めに確認するようにしましょう。

相続人との連絡が取れない場合の対処方法

次に相続人の連絡先を調べる方法を解説します。

相続人同士の関係が希薄で、相続人同士でそれぞれの連絡先を知らないケースも多くあります。しかし、遺言がない場合は法定相続人全員で遺産分割の協議を行い、分割方法を確定する必要があります。

連絡先が分からない場合は戸籍謄本と戸籍の附票をとることで、相続人の住所を調べることができます。誰も連絡先を知らない場合はお手紙を書いて、連絡を取りたい旨を記載するとよいでしょう。

それでも相続放棄や相続財産を受け取る意思がある内容の返事がない場合は、弁護士等に依頼し交渉を行うことになります。それでも話し合いに応じない場合は家庭裁判所での調停や審判を行うこととなります。

連絡先を知らないからといって、相続人を探すこともせず、連絡をとらずに、手続きを進めると、その後で相続権があることを理由に財産の分割を請求される可能性があります。遺言書がある場合でも遺留分がある相続人からは遺留分に相当する金銭を請求される可能性があります。

専門家に手続きを依頼することも可能

相続手続きは戸籍の収集や金融機関の名義変更、法務局での不動産の登記、相続税の申告等さまざまな手続きを同時進行で行う必要があります。また、相続税は相続発生から10ヶ月以内に行う必要があり、期限も短く、仕事などで忙しい人は自分で作業をすることが難しいケースもあるでしょう。

そのようなケースでは税理士や司法書士など専門家に依頼して書類の作成などの対応を代行してもらうことで手続きをスムーズに進めることが可能です。遺された家族が誰も手続きをできない場合は、専門家に依頼することを検討してみてもよいでしょう。また、専門家に依頼することで、特例をしっかりと使えて節税になることもあります。

手続きを依頼する場合は相続の手続きの実績が豊富な事務所に相談するようにしましょう。多くの手続きを行っている事務所は経験も豊富ですし、他の士業を紹介するネットワークも持っているため、依頼するメリットが大きいです。初回の相談は無料で対応している事務所も多いのでまずは電話やメールなどで気軽に相談してみるとよいでしょう。

自分が亡くなった時の各種手続きが不安な場合は、遺言を作成し、執行を依頼することも可能です。執行とは遺言通りに手続きを実行する人のことで執行者をあらかじめ決めておくことで、短い期間で手続きを進めることができます。手数料はかかりますが、相続人に負担を掛けたくないという方は検討してみることをおすすめします。

ご家族にこの記事を教えたり、記事を保存したい場合、下のボタンで共有・保存できます。
Tweets by tokyo_souzoku