相続が発生すると被削図億人が保有していたすべての財産について、相続人は遺産分割の話し合いを行い、分割する必要があります。
財産の中には金融資産、土地・建物などの不動産、金などの現物資産など生前に保有していたあらゆる資産が含まれますので、まずは一覧にするとよいでしょう。財産の中に銀行や証券会社などで購入した投資信託がある場合はどのように手続きを行えばよいのでしょうか。
当記事では投資信託を保有していた場合の手続き方法や注意点についてポイントをおさえて解説します。
目次
- 投資信託の手続き方法
- 投資信託を放置した場合はどうなる?
- 投資信託を相続する場合の注意点
- しばらくは解約ができない
- どのような投資信託かを把握する必要がある
- 金融機関を移管することも可能
- 遺言書に記載がない場合がある
- 不明点がある場合は専門家に相談を
投資信託の手続き方法
投資信託を保有している場合の相続手続きは、購入した銀行や証券会社など金融機関で所定の書類をもらい、提出するか、遺産分割協議書を金融機関に提出し、分割することになります。
投資信託を相続する際は売却して現金で分けるか、投資信託のまま名義変更を行い、引き継ぐかを選択することができます。
金融機関で手続きする場合は出生から亡くなるまでの連続した戸籍謄本や印鑑証明書が必要となります。戸籍謄本は最寄りの市区町村役場で取得することができます。改製原戸籍については変わることがありませんので、相続発生前に取得した者でも利用することができます。
投資信託を放置した場合はどうなる?
投資信託は通帳などに記載されていないため、財産があることに気づかずに、そのまま放置してしまうこともあります。このような場合、投資信託の基準価格は日々変動しますので、死亡した時点の価格と気づいた時の価格が大きく異なる可能性があります。
遺産分割や相続税の申告のための相続財産としてはあくまで亡くなった時点の価格となります。相続税については申告漏れとならないように注意する必要があります。
投資信託を相続する場合の注意点
投資信託を相続する場合、どのような点に注意をすればよいのでしょうか。具体的に確認しておきましょう。
しばらくは解約ができない
投資信託は日々変動するものですので、相場情報に注意して売却などの対応が必要となる場合があります。しかし、相続発生後は口座が凍結され、しばらく遺産のついて換金することができません。投資信託についても同様で相場が急変し、解約したい場合でも遺産分割協議が成立し、分割の手続きを進めるか、遺言がある場合でも遺言の内容が執行され、相続人に名義が移るまでは解約することができません。
どのような投資信託かを把握する必要がある
投資信託は株式や債券などで運用する金融商品ですが、中身はさまざまでリスクの大きいものから小さいものまであります。被相続人が生前に金融機関で紹介されて購入しているケースが多いと思いますが、相続する際は内容についてしっかりと情報を得て、中身を理解して保有するようにしましょう。
投資信託はいつでも金融機関に請求して売却して現金化することができる商品が多いので、相場が大きく下落する可能性がある局面では、売却して現金化することも可能です。
金融機関を移管することも可能
親等が使っていた金融機関の口座で投資信託を購入していた場合、必ずしも自分にとって便利な金融機関とは限らないでしょう。口座を開設して、取引を始めても近くに支店がないと不便に感じる人も多いでしょう。
投資信託は解約せずに移管することも可能ですので、普段自分が利用している金融機関に移管することを検討してみてもよいでしょう。普段から自分が利用している金融機関に移管してまとめることでスムーズに残高の確認や取引を行うことが可能です。
ただし、自分が利用したい金融機関でその投資信託の取り扱いがない場合は移管できない可能性がありますので、事前に金融機関に確認しておきましょう。
遺言書に記載がない場合がある
近年は相続の対策で事前に自筆証書遺言や公正証書遺言などの遺言書を作成する人が増えています。
遺言書で財産の分け方が明確に記されている場合でも、「●●銀行の預金は子供Aに遺す」などと書かれており、投資信託をどのように分ければいいか明確に記載がないケースがあります。「その他の財産は子供Aに遺す」などの記載があればよいのですが、全く記載がない財産がある場合は、法律上、遺言でわけることができません。
その部分については相続放棄をした人を除く相続人全員で遺産分割協議を行って、合意したうえで分ける必要があります。
遺言を書く際は家族の話し合いで問題とならないように、明確に財産が記載するようにしましょう。
不明点がある場合は専門家に相談を
相続は人生で何度も経験するものではありませんので知識が無いことは当然です。他の相続人とのトラブルや、複雑な財産があり、手続きが前に進められないケースも多いでしょう。
相続が発生し、手続きや税金の計算にお困りの場合は司法書士や税理士など相続に詳しい専門家にアドバイスをもらい、手続きを進めるようにしましょう。専門家に依頼することで、費用はかかりますが、手続きが難しい状態の場合でもスムーズに進められるというメリットがあります。
初回の相談無料で応じてくれる司法書士事務所、税理士事務所も多くあります。まずは気軽に電話やメールで相談してみるとよいでしょう。
特に相続税の申告が必要な場合は原則、相続開始から10ヶ月以内に申告書の提出と納付を完了させることが必要です。相続税の申告は、財産の評価や特例の適用有無などを確認する必要があり、時間がかかります。特に複数の不動産がある場合や、相続人関係が複雑な場合は時間がかかるケースが多いです。
そのため、遺産相続が発生したら早めに手続きを進めるようにしましょう。