相続登記のやり直しは可能?

相続が開始すると相続財産の一覧を作成し、民法で定められた法定相続人全員で遺産の分割について話し合いを行います。財産の一覧を作成したうえで遺産分割協議書を作成し、金融機関の名義変更や法務局で不動産の登記を行います。
しかし、遺産分割協議をやり直し、一度登記した不動産の登記を登記し直したい場合どのように対応すれば良いのでしょうか。当記事は相続登記のやり直しについて解説します。

目次

相続登記のやり直しは可能?

相続による不動産登記のやり直しをすることは可能です。相続登記とは所有権などの権利を相続により取得したことを示すことが目的です。相続登記をする際には戸籍謄本や印鑑証明書なども添付のうえで法務局へ提出し、相続が原因で誰から誰へ権利が移ったのかが記されます。

手順としては、いったん土地や建物などの登記の抹消の申請を行います。抹消をした上で次に所有権の登記を改めて行うことになります。これにより、再度所有権が移転したことを示し、新たに権利を持っている人の名前に記載が変更されることになります。持分を共有としていたものを一人にすることも可能です。

相続登記をやり直す理由

相続登記をやり直すことになる事例とはどのようなケースがあるのでしょうか。具体的に確認しておきましょう。

相続登記が無効となる事例

相続登記が無効となるケースとは錯誤などにより、相続人が正しい判断をすることができなかったことが問題となったケースです。

錯誤などにより、正しい判断ができていなかった場合、遺産分割協議は成立しなかったものとしてやり直すことになり、不動産登記もやり直すことがあります。

再度遺産分割協議をやり直す事例

相続人全員で合意して、遺産分割協議書を作成しても、やはりやり直したいと考えることになるケースもあるでしょう。

遺産分割協議は相続放棄をした人を除き、法定相続人全員が合意すれば、やり直しを行うことが可能です。その場合は遺産分割協議書も再度作成し、相続人全員が署名・押印をやり直すことになります。

相続登記をやり直す場合の注意点

相続登記をやり直す際にはどのような点に注意すれば良いのでしょうか。具体的に確認しておきましょう。

登記費用がかかる

不動産の登記には評価額に応じて登録免許税などの費用がかかります。また書類の作成などの登記手続きを司法書士など専門家に依頼する場合は手数料もかかります。

ただし、購入した際にかかる不動産取得税は、親などが亡くなって相続により取得した際にはかかることはありません。

贈与税がかかる

一度相続登記を行なったものを再度所有権移転登記を行うと、売却しているわけではなく、所有者が移ることになり税務上は生前贈与したものとみなされる場合があります。アクセスがよく評価額が高い不動産を無償で譲渡した場合の贈与税は税率も高く、税金の負担が大きいので注意しましょう。

先に抹消をすると登記ができない場合がある

相続登記をやり直す場合、先に抹消の手続きを行います。その後に再度相続登記を行うことになりますが、権利を主張され関係が悪化しトラブルとなり遺産分割協議が成立しないケースでは再度の名義変更をすることができなくなってしまいます。
特に高齢の相続人がいる場合は体調不良や認知症などで話し合いに参加できない状態となる可能性もありますので注意が必要です。

不明点は専門家に相談を

相続に関する手続きは複雑で、親族の中に知識や経験がある人がいない場合がほとんどでしょう。。相続税の計算も複雑で被相続人が持っている財産によっては思わぬ費用がかかる例も多いので、ひとつひとつ制度を確認することが重要です。
特に相続税の申告が必要な場合、被相続人が死亡した翌日から原則10ヶ月以内と短い期間に申告書の作成、納付の手続きを完了させる必要があります。特例の適用可否などを判断する必要があり、簡単なことではありません。

不明点がある場合は税理士事務所や司法書士事務所など相続に強い専門家に相談し、手続きの方法を確認しながら進めるようにしましょう。報酬を支払うことにはなりますが、サポートをを受けることで、スムーズに手続きを進めることができます。

初回の相談は無料で対応してくれる事務所も多くあります。まずはお電話やメール等でお気軽に問い合わせしてみるとよいでしょう。

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