財産の使い込みが相続の時に発生したら?

相続が発生した時に相続人全員で遺産の分割について話し合いをすることになります。しかし、思ったより財産が少ないということもあるでしょう。親などが亡くなる前に認知症になっており、自分でお金を使える状況ではない場合、親族が使い込んでいる可能性もゼロではありません。

親族が使い込みをしていた場合、どのように対処をすればよいのでしょうか。対応方法や注意点について解説します。

目次

親族の使い込みが疑われる場合の対処方法

親族の使い込みが疑われる場合、どのように対処をすればよいのでしょうか。具体的に対処法を確認しておきましょう。

成年後見を立てる

親が存命の場合で、認知症などで判断能力が失われている場合は、まずは成年後見をたてて財産をしっかり管理することができる状態にすることが重要です。使い込んでいる可能性があるにも関わらずそのままにしておくと、更なる問題が発生する可能性があります。

このままにしておくとさらに遺産が減ってしまう可能性がありますので、まずはこれ以上使い込みができないように後見人を選任して管理をしっかりとしましょう。後見人は費用が掛かりますが司法書士や弁護士など専門家と契約して依頼することも可能です。

過去に使った分については、確認するための方法は、まずは本人同士で話し合いをするしかありません。ただし、介護などには思ったよりもお金がかかるものです。

高齢になると、積極的に旅行などのレジャーに使っていなくても、生活するために介護業者に高額の費用を払う必要があることや、入院などで費用が掛かることもあります。調査も不十分で使い込みを立証できない状態で、無断でお金を使い込んでいると決めつけてしまうと、疑われた者も気分を害して交渉にも応じてくれない可能性があります。慎重に確認してから話をするようにしましょう。

返還を主張する

実際に使い込んでいることが証明された場合、法的な手段で現金の返還や金銭での損害賠償を請求することができます。認知症の親等の財産を不正に使い込んだ場合、不正利得返還請求権という権利が認められています。また、親の財産を不正に引き出しをした場合は、不法行為として、他の親族から損害賠償を請求される可能性があります。

返還を主張しても相手方が応じてくれず、反論されてトラブルになった場合には弁護士を交えての話し合いが必要となります。

遺産分割で調整する

生前に親などの預金を使い込んでいた場合、その分、遺産分割で調整することも可能です。生前に使った分を差し引いて預貯金を分割したり、アクセスのよい地域に不動産がある場合は、不動産を相続することで調整できる場合もあります。場合によっては相続放棄をしてもらうという方法もあります。

生前に親のお金を利用していた場合は本人に合意を得て生前贈与を受けていたとしても特別受益として遺産の配分や遺留分にも考慮することになります。そのため、故人から生前に金銭的な援助を受けた場合はや贈与により遺留分を侵害された時、後で相続が発生した時に調整することができます。

自分が疑われないために気を付けるべきこと

家族で同居をしている場合、生活費などはあいまいになっていることが多く、使い込みをしていると疑われないために対策を行うことも重要です。他の親族から疑われないために、大きな買い物をした際は日々の生活費についてどれくらいの出費があるかについては金額がわかる領収書などの証拠を残すことで、使途不明金と思われないことが重要です。

また、介護等を行っており、遺産相続で差をつけたいと考えている場合は法的に有効な遺言を作成しておくことが重要です。意思能力が低下して、認知症の診断を受けてしまうと、遺言を作成することが難しくなります。自宅の土地・建物を特定の人に取得させたい場合など、民法で定められた法定相続分とは異なる分け方になる場合はトラブルになる可能性がありますので、財産の一覧を作成し、遺言書を作成して分け方を明確にしておくようにしましょう。

遺言を作成しておくことで、親が亡くなった後にスムーズに手続きができるため、作成するメリットは大きいです。書き方が分からない場合は、司法書士など専門家のサポートを受けて作成するようにしましょう。

相続のお悩みは専門家に相談を

相続に関するお悩みは個別性が高く、知識や経験がないとなかなか手続きが進まないことも多くあります。また、感情的な部分も影響しますので、話し合いの前に知識を入れていても、感情的な理由で協議がうまく進まないことも多くあります。

話し合いがうまくいかないと家庭裁判所での調停や審判が必要となることもあります。相続税の申告が必要な場合、相続発生の翌日から原則10ヶ月以内に申告が必要となりますが、遺産分割の協議や他の相続人との調整が長引くと間に合わなくなる可能性があります。

また、金融機関などは平日しか営業していないため、お仕事が忙しくて進まないケースも多いでしょう。

相続手続きについて、問題が発生している状況になった場合は、相続に関して実績のある専門家に相談することをおすすめします。弁護士や税理士、司法書士などに依頼することでスムーズに手続きを進めることが可能です。

法律事務所や税理士事務所では、初回の相談は無料で対応してくれることが多いので、まずはお気軽に電話やメールなどで相談してみるとよいでしょう。

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