生活保護を受けている親族が亡くなった場合、相続人は 借金・原状回復費・不正受給の返還請求 など、思わぬ負担を背負う可能性があります。ただし、相続放棄を適切に行えば、これらの負担を避けることも可能です。
この記事では、生活保護受給者が亡くなった際に起こりやすい相続トラブルや、相続放棄の注意点を法律に基づいてわかりやすく解説します。
目次
借金があるケースが多い
生活保護を受けている人は、生活困窮の背景から借金を抱えているケースも多くあります。被相続人に借金があると、相続放棄をしない限り相続人が借金を返済する義務を負うことになります。プラスの遺産よりも、債務の方が多い状態の場合、相続人にとっては負担になってしまいます。
そのため、生活保護受給者の親族が亡くなった場合は、借金の有無を必ず確認することが重要です。借金が多く支払いの負担が大きい場合は放棄をすることを検討しても良いでしょう。
賃貸物件で孤独死の場合、費用を請求される可能性がある
賃貸物件に住んでいる人が孤独死した場合、特殊清掃が必要となる可能性もあります。特殊清掃などでかかった費用は相続人に請求される可能性があります。
賃貸物件で亡くなった場合、事故物件となり物件の価値も大きく下落する可能性があるため、相続人は貸主から原状回復費や家賃の滞納分などさまざまな請求をされることがあります。ただし、相続放棄をすれば支払い義務は免れます。
生活保護で支給された金額の返還を要求される可能性がある
生活保護費は原則返還義務はありません。生活保護は生活保護法により定められている制度で一般的に、生活に困窮している人が最低限度の生活が維持できるように経済的な支援をするために支給されているものです。収入や保有する預貯金などの資産等の要件があり、提出を求められています。
申告について確認され、保護を受けていたにも関わらず虚偽や不正受給が発覚した場合などでは、相続人に今までに受給した金額を返還するよう求められる可能性があります。
生活保護にかかった費用の返還を回避するためには相続放棄をする必要があります。
相続放棄をする場合の注意点
相続放棄をする場合、家庭裁判所で申立ての手続を行います。相続放棄を検討する際に、理解しておくべき注意点について解説します。
単純承認をすると放棄はできなくなる
相続放棄の期限は3カ月と定められており、3カ月経過すると相続放棄をすることはできなくなります。また、期限内であっても手続きの流れで、放棄をする前に遺品・財産を売却や処分したり預金を引き出したりした場合、単純放棄とみなされて相続放棄ができなくなりますので注意が必要です。
遺言書がある場合でも相続放棄は可能ですので、相続が開始した時点で借金の額が不明な場合は安易に財産を処分しないようにしましょう。
他の相続人とトラブルになる可能性がある
相続放棄をすると自分の相続権は消滅しますが、多額の借金などがあった場合は他の相続人がその負担を追うことになります。
自分が放棄を選択することで子どもから孫への代襲は起こりませんが、次の順位の相続人に相続権が移ることもあります。
連絡をせずに放棄をすることで、兄弟姉妹や甥・姪など他の親族に負担がかかるとトラブルになる可能性がありますので、親族関係を確認し、問題が起きる可能性がある場合は事前に連絡した後で相続放棄の手続きをするようにしましょう。
全ての財産を取得することができなくなる
子どもであっても相続放棄をした遺族は、相続権を失います。被相続人が保有する現金や不動産、家財など被相続人のすべての財産を受けることができません。そのため、被相続人名義の家に家族で住んでいる状況の場合は退去し、引っ越しが必要となる事例もあります。
相続放棄をする前に預金や株式、土地・建物など財産を一覧の表にまとめて財産の価値をよく確認してから慎重に結論を出す必要があります。財産の額がわからず、3カ月以内に準備することが難しい場合は限定承認という方法もあります。限定承認はプラスの財産の範囲内で債務の返済をするという制度で、財産の総額が把握できていないときに有効な手段です。
ただし、相続放棄は単独で行うことができますが、限定承認はすべての相続人で合意して行う必要があります。多数の相続人がいる場合は、合意できない可能性がありますので早めに相談するようにしましょう。
限定承認も3カ月以内に手続きを行う必要がありますので、限定承認を検討する場合は他の相続人とも早めに相談するようにしましょう。
相続手続きの不明点は専門家に相談を
相続に関するお悩みは、金融機関の名義変更や不動産の登記など手続き関係や遺産分割の協議など多岐にわたります。相続手続きは親族の死亡した後、3カ月以内の相続放棄や原則10カ月以内の相続税の申告など期限があるものも多く、迅速に手続きを進める必要があります。
所有する財産の評価額の合計が基礎控除以下であれば、相続税の申告は不要ですが、もし必要な場合、税金の計算や特例を利用する場合は添付書類の準備など時間がかかりますので期限内に行うことは簡単ではありません。
自分で手続きを進める余裕がない場合は、弁護士や司法書士、税理士など相続に関連する知識がある専門家に相談することをおすすめします。専門家に手続きを依頼することで費用はかかりますが、安心して確実に手続きを進めることができます。
どの専門家に依頼するべきか判断がつかない場合は、清澤司法書士事務所の無料相談をご利用ください。状況を整理し手続きも可能ですし、ケースによって他の専門家と連携して対応することができます。ぜひお気軽にお電話やメール、LINEなどでご連絡ください。
この記事の監修
清澤 晃(司法書士・宅地建物取引士)
清澤司法書士事務所/中野リーガルホームの代表。
「相続」業務を得意とし、司法書士には珍しく相続不動産の売却まで手がけている。
また、精通した専門家の少ない家族信託についても相談・解決実績多数あり。















