父親が亡くなった時に母親が認知症になっている場合の対応方法

相続が発生した時に相続人の中に意思能力がない人がいると手続きがスムーズにいかないことがあります。高齢化が進んでおり、特に多いのが亡くなった時に配偶者が認知症になっているケースです。

遺産分割をする場合は遺産分割協議書に署名・捺印をして手続きを進める必要があります。父親が亡くなった時には母親が認知症になっており、遺産分割の協議への参加や銀行の手続きを行うことが難しい状況となっているという人も多いのではないでしょうか。

当記事では法定相続人が認知症などで手続きができない場合の対策や注意点についてポイントをおさえて解説します。

目次

意思能力がない人がいる場合の対応方法

意思能力がない人がいる事例ではどのように対応したら良いでしょうか。具体的に確認しておきましょう。

生前に遺言書を作成しておく

配偶者など法定相続人に意思能力がない人がいる場合は、トラブルを回避するためにも事前に内容を検討して遺言書を作成しておくことをおすすめします。亡くなる前に遺言を書いておくことで自分が亡くなった時にスムーズに遺産分割の手続きを行うことが可能となり、相続人の負担を大きく軽減することができる有効な手段です。

終活など事前の準備の一環として実際に遺言を作成する人は増えていますが、遺言書は生前に作成しておく必要があり、すでに亡くなってしまった状況の場合、対応することができません。また、遺言書を書いていたとしても遺留分を侵害するような遺言の場合、遺留分を侵害された者が請求した場合、遺言どおりにわけることができません。

認知症の人がいる場合でも遺留分を侵害することはできませんので、基本的に遺留分を侵害するような遺言書とはならないように作成しましょう。遺言書は管理も重要です。自筆証書遺言を作成して自宅に保管する場合は、相続人に保管場所を伝えておくようにしましょう。

遺言書はあらかじめ執行者を選任しておくと便利です。執行者とは遺言のとおりに手続きを進める人のことで報酬を支払うことで司法書士等の専門家に代理で手続きを依頼することも可能です。

法定相続割合どおりに分割する

事前に遺言がなく、相続人の中に遺産分割について理解ができず意思表示ができない状態の場合でも、相続が発生した際に法定相続割合の額どおりに分割することは可能です。法定相続割合は民法で定められた制度で、相続人が配偶者と子供の場合は配偶者の法定相続分は2分の1となります。

法定相続割合どおりに分割することで、相続はスムーズに行うことができますが、不動産などを共有にすると後々、介護が必要となり施設に入り実家に住まなくなった場合でも本人の意思能力がない状態になると売却できないなどの問題が発生する可能性があります。

共有にすることで結果的にトラブルにつながる可能性もありますので、後々の関係や処分する場合のことも考慮して配分することが大切です。

成年後見制度を利用する

成年後見制度とは認知症等で意思能力が低下してしまい、自身で判断して法律行為を行うことが難しい場合、補助する人を決める制度です。

遺産の配分について協議することが難しい時には後見人が被後見人の代わりに分割協議に参加し、手続きも代わりに行います。成年後見人が代わりに遺産分割の話し合いに参加することになりますが、後見人は被後見人の利益のために判断します。そのため、基本的に相続放棄をするようなことはありません。

成年後見制度を利用する方法は家庭裁判所に申立てを行い、後見人を選任してもらう必要があります。他の法定相続人は利益相反の立場となりますので、成年後見人として遺産分割に参加することはできません。特別代理人を立てて対応する必要があります。

成年後見制度を利用して後見人を立てる場合は遺産の分割だけでなくあらゆる法律行為を後見人が代わりに行うことになります。司法書士等の専門家に依頼する場合は継続的に費用がかかるため、注意が必要です。

不明点がある場合は専門家に相談を

相続の手続きは複雑で知識がなく慣れていない人にとって、自分で金融機関の名義変更や土地・建物の登記などをすることは大変な作業です。相続発生後は財産をまとめた一覧の表を作成し、相続税の申告が必要かどうかも判断する必要があります。資産が多く、相続税の申告が必要な場合は被相続人の死亡から原則10ヶ月以内に申告を完了する必要があります。相続税の申告は計算方法も複雑で特例の条件なども確認する必要があり、期限に間に合わない方も多くいます。

特に父が亡くなったときに認知症などで母の意思能力が低下している例など、判断が難しい相続人がいる場合は、全員で合意形成をすることができず手続きに時間がかかりますので、注意が必要です。遺産分割が進まないと預金が凍結されたままになってしまいますので、高齢の配偶者が生活するための資金が引き出せずに困る可能性もあります。

家族で手続きを進めることが難しい場合は弁護士や司法書士等、実績のある専門家に支援を依頼すると安心して進めることができます。費用はかかりますが、確実に手続きができ、書類作成などの負担大きく軽減できるメリットは大きいでしょう。

清澤司法書士事務所では相続に関連する手続きのサポートをしております。初回のご相談は無料で対応しておりますので、電話やメール等でお気軽にご連絡ください。

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