終活事始め。親子でゆるっと育てるエンディングノート

終活事始め。親子でゆるっと育てるエンディングノート

はじめに:最初のページで止まらないために 

エンディングノートを渡してみたけれど、なかなか書き始めてくれない。
最初のページで止まったまま─そんな悩みを抱えるご家族も多いのではないでしょうか。

でも、もし「一緒に書いてみようか」と声をかけてみたら?
幼いころ、夏休みの宿題を手伝ってもらったような感覚で、親子で少しずつ進めていく。

その時間は将来への安心だけでなく、絆を深めるきっかけになるかもしれません。

目次

なぜ書けない? 高齢の親がエンディングノートに向き合えない理由

なぜ書けない? 高齢の親がエンディングノートに向き合えない理由  エンディングノートは「書いておけば安心」と言われる一方で、いざ手に取ってもなかなか進まないことがあります。特に高齢の親世代にとっては、次のような理由から筆が止まってしまうことが多いようです。

📌書き出しの壁「どこから?」「どこまで?」がわからない
作文や日記の書き出しに、何を書こうかと悩んで時間が過ぎてしまった経験はありませんか? 白紙の用紙を前にして、言葉が出てこないあの感覚。エンディングノートも、それに少し似ています。

さらに、「どこまで書けばいいのか」「どこで終わりにしていいのか」がわからないという声もあります。まるでゴールの見えない宿題のように、始める前から気持ちが重くなってしまうのです。

特に高齢の方にとっては、「間違えてはいけない」「ちゃんと書かなくては」と思うほど、筆が重くなってしまうものです。

📌深刻さと現実味のなさ、両方の心理で筆が止まる
エンディングノートに向き合うとき、多くの方がこうした気持ちを抱きます。
中には、「いざというときのために」と言われても、どこか現実味がなく、ピンとこない方もいます。
逆に、書こうとすると急に“死”を突きつけられたような気がして、深刻になりすぎてしまう方もいます。

たとえば、あなた自身が「自分のエンディングノートを書いてみてください」と言われたら、どう感じるでしょうか。「まだ早いよ」と思うかもしれませんし、「何を書けばいいの?」と戸惑うかもしれません。

あるいは、「そんなこと考えたくない」と、そっとノートを閉じたくなるかもしれません。
親世代にとっても、それは同じなのです。

📌読んでほしいけど、見られるのはこわい─揺れる気持ちが邪魔をする
エンディングノートを書こうとすると、「これ、本当に誰かが読んでくれるのかな?」という不安がよぎることがあります。せっかく時間をかけて書いても、誰にも見てもらえなかったら? そんな思いが、手を止める原因になることも。

でも実は、逆の気持ちもあるのです。

「読んでほしいけれど、見られるのはちょっと恥ずかしい」
「本音を書いたら、どう思われるだろう」

そんな裏腹な感情が、心の奥に潜んでいることもあります。

たとえば、日記を書く行為を思い出してみてください。
誰かに読んでもらいたい気持ちと、「これは見ないでほしい」という気持ちが、同時に存在していたことはありませんか? 

「誰かのために」と思いながらも、「自分の気持ちをさらけ出すのはこわい」と感じるのは、自然なことです。こうした心理的なハードルは、決して本人の「やる気の問題」ではありません。

だからこそ、無理に促すのではなく、親の気持ちに寄り添いながら、少しずつ一緒に進めていくことが大切です。では、実際に親子で取り組むと、どんな変化が生まれるのでしょうか。

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Word版・PDF版の両方をご用意しています。

親子で取り組むと、こんな変化が生まれる─“つまずき方”に合わせた3つのアプローチ

親子で取り組むと、こんな変化が生まれる─“つまずき方”に合わせた3つのアプローチ

エンディングノートが進まない理由は人それぞれ。でも、親の“つまずき方”に合わせて関わり方を変えることで、少しずつ前に進むことができます。

ここでは、前述で挙げた3つの心理的ハードルに対応するアプローチをご紹介します。

💡「どこから?どこまで?」がわからない──話すのは好きだけど書くのは苦手な親
おすすめ:インタビュー風にリードする
「書くのは面倒」「字がうまく書けない」と感じている親には、会話形式で進めるのがおすすめです。
「昔好きだった食べ物は?」「どんな仕事をしてたの?」と聞きながら、子どもが記入することで、スムーズに進められます。親の新しい一面も知ることもあるでしょう。
話すことが得意な親にとっては、ノートが“記録”ではなく“対話”になることで、安心して参加できるようになります。

💡深刻さと現実味のなさ──照れ屋で自分のことは後回しにしがちな親へ
おすすめ:子どもが先に書いて見せる
「まだ元気だし」「そんな話はしたくない」と避けてしまう親には、子どもが先に書いて見せるのが効果的です。たとえば「好きな食べ物から書いてみたよ」と見せると、「じゃあ私も」と気楽に始められることがあります。困難なことも前向きに考える親ほど、本音を口にしないこともあるでしょう。だからこそ、“見本”ではなく“交換日記”のように次を促すやりとりが、自然な流れをつくります。

💡読んでほしいけど、見られるのはちょっと…──なんでも一人でやるタイプの親へ
おすすめ:「一緒に書こうか」で安心感を育てる
「誰かに見られるのは恥ずかしい」「途中を見せたくない」と感じる親には、コツコツ共有するスタイルが向いています。「一緒にやろうか」と声をかけることで、書くことが“義務”ではなく“共有の時間”に変わり、心の負担が軽くなります。
一人で抱え込むタイプの親にとって、「ひとりじゃない」という感覚が、最初の一歩を後押ししてくれるのです。

それぞれの方法は、ノートの中身以上に、親子の関係性そのものをやわらかくしてくれます。次の章では、実際にどう始めればよいか、楽しく・少しずつ持続するヒントをお届けします。

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書き始めは、気楽に・一緒に。親子で進めるエンディングノート

書き始めは、気楽に・一緒に。親子で進めるエンディングノート エンディングノートは、完璧に書こうとすると重たく感じてしまいます。

一般的にエンディングノートにある医療や財産、葬儀といった現実的な内容は把握や整理が難しく、一方で「好きな言葉」「大切な人へのメッセージ」など感情に関わる項目は言葉にするのが難しい…どちらも“見える化”には時間と労力がかかります。そういった二面性を持つエンディングノートをどうやって書き進めていくのか悩みますよね。

ここでは、弊所が推奨するエンディングノートの内容から抜粋してご紹介します。

まず「私に関すること」「メッセージ」について考えてみましょう。

📝「好きな言葉」「座右の銘」「尊敬する人」など価値観を示す項目
→ 「愛読書は?」「なりたかった職業は?」など答えやすい質問から始めると、だんだん絞られてきます。

📝「趣味」「特技」「思い出の映画や音楽」など話題にしやすい項目
→「私にとってのおふくろの味って肉じゃがかも」「手作りのバッグ、学校でほめられた」など、子ども自身の思い出も含めて語ってみましょう。
→ 時系列で思い出しにくい場合は、「あの頃流行っていた歌」「当時の流行語」「家族で見たテレビ番組」などをきっかけにすると、記憶が結びつきやすくなります。

📝「大切なひとへのメッセージ」など、感謝や思い出を綴る項目
→ 子どもから感謝の気持ちを手紙にして「あとで読んでね」と渡すのも素敵です。袋とじ風にノートに残しておくと、親がノートを開きたくなるきっかけにもなります。
→ 親が一人で静かに書きたいときにも向いています。

📝「大切なひとへのメッセージ」など、感謝や思い出を綴る項目
→ 写真整理と相性抜群です。アルバムをめくりながら「この景色はどこ?」「一緒に写っているこの人とは今も連絡とってる?」「この服、素敵。ブランドものなの?」などと聞くことで、親の好みや交友関係を知ることができます。

エンディングノートは、すべてを一人で書く必要はありません。
親が一人で書く部分、子どもが先に書いて見せる部分、そして一緒に話しながら埋めていく部分、そんなふうに“役割分担”することで、無理なく進めていくことができます。特に医療や葬儀、財産などの現実的な項目については一緒に取り組んで、親子で認識合わせをしておいたほうがよいでしょう。

📝医療の項目
→ おくすり手帳や保険証、マイナンバーの臓器提供の意思など、大切な情報は置き場所を把握しておくと安心です。

📝葬儀の項目
→ 葬儀費用を積み立てている場合もあるので確認を。
→ お墓参りや法事の場は、埋葬や宗教観について自然に話せる貴重なきっかけになります。「このお墓って、いつごろ建てたの?」「うちって何宗だったっけ?お経っていつも同じ?」など“確認”ではなく“興味”として聞くのがポイントです。

📝財産の項目
→ 使っていない口座やクレジットカード、通信費などは定期的に見直しを。
→ 親に代わって定期購入しているものがあれば、銀行の家族カード作成を検討してもよいでしょう。

どうしても書いてもらえないという場合でも、焦らなくて大丈夫です。
LINEのやりとりや日常の会話をメモして、“記録”に変えるのも手です。「この内容、ノートに書いておけば?」といえば、案外あっさり始めるかもしれません。

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まとめ:エンディングノートは工夫次第で楽しい習慣になる

清澤司法書士事務所のエンディングノートは、PDFでダウンロードできる形式なので、何度でも印刷して書き直すことができます。

一発勝負ではありません。まずはふせんに書いて貼ってみる、気になる項目だけ先に埋めてみる、そんな気楽なスタートで十分です。

最初から“完成させる”ことを目指すのではなく、“今の気持ちを残しておく”ことが大切なのです。「昔、 “夏休みの宿題”を手伝ってもらったときみたいで懐かしいね」などと親子で少しずつ、気楽に進めていきましょう。

そうして書き終えたノートは、ただの記録ではなく、大切な人の “分身”になるかもしれません。まずは清澤司法書士事務所のエンディングノートから始めてみませんか?

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当事務所では、初回相談無料・不動産売却まで一括対応しております。終活や相続、不動産のこと、どこから手をつければいいか迷っている方も、どうぞお気軽にご相談ください。 あなたの状況に合わせて、無理なく進められる方法をご提案いたします。

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