親などの相続が発生すると民法で定められた法定相続人は資産を引き継ぐことになります。生活保護を受給している人が相続人として遺産の相続をすると、生活保護が打ち切られると考える方も多いのではないでしょうか。
当記事では生活保護の基本的な仕組みと遺産相続の関係や注意点についてポイントを抑えて解説します。
目次
- 生活保護とは
- 遺産を相続すると生活保護が停止される?
- 相続放棄をすると生活保護は停止にならない?
- 遺産相続の手続きは専門家に相談を
生活保護とは
生活保護とは生活保護法という法律により受給資格が定められており、生活保護法には以下のように生活保護制度で支給が認められる条件について記載されています。
「保護は、生活に困窮する者が、その利用し得る資産、能力その他あらゆるものを、その最低限度の生活の維持のために活用することを要件として行われる。」
つまり生活保護受給者は自分や配偶者など扶養関係にある人が保有する預金などの資産や能力を活かして仕事をして生活することが難しい人のために保護する目的で設けられた制度です。そのため、収入がなくても資産があり、余裕がある人に生活保護の支給が実施されることはありません。
財産の額や収入がない人に対してケースワーカーとして担当する人が生活の自立に向けて支援を行うよう運営しています。支給される生活保護費は地域などによって異なります。
遺産を相続すると生活保護が停止される?
上記の通り、生活保護を受ける人はその人の資産や能力を活用しても最低限の生活ができないと判断された場合に支給されるもので、書類を提出して受給資格を得ることができます。
そのため、遺産相続や生前贈与によって多額の現金や預貯金や株式、東京や神奈川など都会にある価値の高い不動産などの各資産を相続した場合、要件を満たさず受給停止や減額となる事例もあります。
生活保護の受給者は相続財産を取得したケースでは速やかに福祉事務所に届け出ることが義務付けられています。少額の財産や処分が困難な田舎の不動産を引き継いだ場合は停止や減額とはならない可能性もありますが、いくらから停止となるなど、範囲や金額が明確に決められているわけではありません。財産を取得すると受給資格にも影響しますので、相続により取得した多額の資産が銀行口座に振り込まれていることが調査で発覚し問題となると不正受給となる恐れがあります。もし多額の財産を受け取っているにもかかわらず、それを隠して不正を行い継続して受給していることがバレたら、受け取ったお金を返すだけでなく、詐欺罪となり法的責任を問われる可能性があります。そのため、トラベルを避け、適切に手続きをするために、必ず自身で判断せず報告するようにしましょう。
相続放棄をすると生活保護は停止にならない?
生活保護が停止されるのであれば、相続放棄をした方が得という場合もあります。遺産分割の際に、協議には参加せず、法定相続人の権利と義務は放棄することも可能です。相続開始後に相続放棄を選択すると初めから相続人ではなかったこととなり、他の相続人で財産を法定相続分を基準に話し合うことになります。家の中にあるものでも財産の処分等の行為を行うと、単純承認した状態とみなされますので居住している自宅の中にあるものもなるべく処分しないように注意しましょう。
相続が発生する前に遺言書で財産を引き継ぐように書かれていた場合や遺留分がある場合でも放棄は可能です。ただし、自分が相続放棄をすることで、兄弟姉妹など他の親族の取得する割合が代わり、借金がある場合は返済する義務が生じ、迷惑がかかる可能性がありますので、トラブルを避けるために各相続人に事前に連絡してから放棄の手続きをするようにしましょう。
事情があり相続権を放棄をするとプラスの財産も引き継ぐ権利を失い、借金などマイナスの資産も引き継ぐことはなくなります。 状況によって相続放棄を希望するものは相続開始から原則3ヶ月以内に家庭裁判所に申し出て相続放棄をする必要があります。
生活保護を受けている人が相続放棄をした方が、メリットが大きいと考え、家庭裁判所に相続放棄の申請をすることは可能です。ただし、結論としては相続放棄をすれば必ず生活保護を受給し続けられるというわけではありません。条件を満たさなくなったことで生活保護が打ち切られ、受け取ることができなくなる可能性もあるでしょう。 わざわざ財産を受け取れる権利を放棄して生活費として生活保護を受けるということは趣旨にあわないからです。
遺産相続の手続きは専門家に相談を
相続が発生すると葬儀の準備だけでなく、様々な手続きを行う必要があります。
遺産相続の手続きは複雑であらゆることを考慮しながら銀行など金融機関の名義変更や土地や建物など不動産の登記などを進める必要があります。生活保護を受給している場合は福祉事務所に届け出の必要もあり、怠ると後々返還請求をされる恐れもあります。 親族の相続が発生し、知識がなく手続きが困難な場合は司法書士や弁護士などこの分野を得意とする専門家に相談し、安心して手続きを進めることをおすすめします。
当事務所では遺産相続に関連するあらゆるサポートを行っています。特に被相続人の財産の評価額の合計が基礎控除(3,000万円+法定相続人の数×600万円)を超えており、相続税の申告が必要な場合は亡くなったことを知った時から10ヶ月以内に申告を完了する必要がありますので注意が必要です。相続税の計算方法やさまざまな種類の財産の評価方法は国税庁が定めるとともにサイトにも掲載されていますが、慣れていない人にとっては簡単なものではありませんので、計算を自分でするか、業務として行っており、詳細がわかっている専門家に依頼するか早めに検討することが大切です。税金の計算を誤ると、追徴で課税される可能性がありますので、不安がある場合は専門家に依頼することをおすすめします。
まずは財産を一覧の表にして基礎控除を超えるか確認し、特例等の対象となるか確認しましょう。相続手続きにお悩みの方は当事務所で支援いたします。 初回の相談は無料で対応しておりますのでお電話やメール等でお気軽にご連絡ください。















