相続が発生すると、あらゆる財産を法定相続人で協議して分けることになります。相続財産の中には、売却ができず管理の手間や費用がかかるものなど引き継ぎたくないものなどマイナスの財産もあるでしょう。財産を引き継いだ者は管理をする義務が生じますので、誰が相続するかでトラブルになるケースもあります。
近年、問題となっているのが空き家です。空き家となった親が住んでいた価値のない地方の実家を相続することでメリットよりも負担が大きいため、相続したくないと考える人も多いでしょう。特に特定空き家に指定された場合は税金の負担も増えるなどデメリットも大きいです。
当記事では特定空き家を相続した際の対処法や注意点についてポイントをおさえて解説します。
目次
- 特定空き家とは
- 特定空き家を相続するデメリット
- 空き家を相続する際の分割
- 相続放棄をする際の注意点
- 他の財産も取得することはできない
- 他の相続人とトラブルになる可能性がある
- 不明点は専門家に相談を
特定空き家とは
特定空き家とは空き家の中では特に問題があると認定された空き家のことで、空き家が増加したことで定められた法律です。
自治体の調査により、適切に管理されておらず現に老朽化した建物の倒壊の危険や衛星上などの大きな問題があると判断された場合に認定されます。
ただし、いきなり、家を空けているからといって特定空き家に認定されるわけではなく、調査の後、所有者に対し行政指導が行われ、倒壊の危険がある場合は解体などの指導があり、従わなかった場合に特定空き家に認定されます。
特定空き家に認定されると、固定資産税が最大6倍になる他、改善命令に従わないと、罰金が課されるケースもありますので財産を引き継ぐことで負担が重くなります。。
特定空き家を相続するデメリット
特定空き家を相続することで、空き家の管理の手間や固定資産税を支払うなど金銭的なコストもあります。
空き家を放棄することでコストを下げることができます。
また、空き家を持ち続けることで管理責任が発生し、放火による火災など犯罪に巻き込まれ、近隣住民に迷惑をかけるリスクもあります。放置をしていると知らない人に占有される可能性もゼロではありません。何かあった時に周囲に迷惑をかけて責任を負うのは財産を受けた相続人ですが放棄することで財産を取得することはありませんので、リスクも回避することが可能です。
空き家を相続する際の分割
次に空き家を相続する際の分割の方法について考えてみましょう。
空き家を相続する際はまず、誰が相続するかを決める必要があります。特定空き家となっている場合は他人に損害を与えて損害賠償を請求されるリスクもあります。亡くなった人が所有していた土地が田舎にある場合は売却した際の価格も大きくないため、引き継ぎたくないと考える人も多いでしょう。
遺産分割の話し合いで、誰が相続するかを決まらない場合、弁護士を交えての話し合いとなるケースもあります。場合によっては、家庭裁判所での調停、審判に進む事例もあります。
話し合いがまとまらない場合、共有で相続することを検討するケースもあります。しかし、共有で登記をし、権利を複数人で持つことになると、相続した後の固定資産税の支払いや物件を手放す際に意見があわず、対立する可能性があります。相続が発生した時は平等に分けることができるのですが、共有にすることで公開する人も多いので、よく検討してから決めるようにしましょう。
生前の対策として遺言を作成していれば、相続人が判断する必要はありませんが、相続が発生した後に話し合いをする場合は、誰が相続するかを決めることが重要です。
相続放棄をする際の注意点
特定空き家を相続したくない場合、相続放棄の制度を利用することも選択肢の一つとなります。相続放棄をする際はどのような点に注意をすれば良いのでしょうか。具体的に解説します。
他の財産も取得することはできない
空き家を放棄した場合、他の資産も一切取得することはできません。そのため、相続放棄をする際は預貯金や株式、土地・建物などの不動産、金などの現物資産等、他の財産も一覧にして放棄をしても問題がないかよく検討してから判断する必要があります。
相続放棄の期限は被相続人の死亡の翌日から3か月と相続発生後の時間はありません。短い期間で判断する必要がありますので、すぐに検討を始める必要があります。
他の相続人とトラブルになる可能性がある
相続放棄をすることで、他の相続人や親族に特定空き家を相続する負担が大きくなってしまいます。状況によっては自分が放棄をすることで民法上の後順位の親族に相続権が移る場合があります。
相続放棄は単独で行うことができますが、自分が放棄をしたことは必ず他の相続人に伝えることも大切です。
早めに連絡を入れておかないと、期限を過ぎて放棄ができない状態となってしまい、トラブルになり、関係が悪化する可能性があります。
子どもや兄弟姉妹、甥姪など法定相続人となる可能性がある親族が全員放棄をした場合は、最終的に国庫に帰属することになります。
財産を処分すると単純承認したとみなされる
相続放棄には相続開始の翌日から3ヶ月という期限がありますが、3か月以内であっても遺産を処分した場合は、相続放棄をすることができなくなります。相続放棄の判断をする前に安易に処分や換金を行わないようにしましょう。
不明点は専門家に相談を
空き家を相続した場合、財産を取得せずに相続放棄をすると言う選択肢もあります。
しかし、上記の通り相続放棄には注意点も多くありますので慎重に判断する必要があります。
相続は人生で何度も経験することではありませんので、知識がなく手続きや書類の準備に不安があるのは当然です。相続発生後は戸籍の収集や不動産の登記、金融機関の名義変更など、行うべき手続きはたくさんあり、大変な作業です。
自分で相続手続きを進めることが難しい場合は負担を軽減するために司法書士や税理士、弁護士などの専門家に依頼することをおすすめします。専門家に依頼することで確実に手続きを進めることができるでしょう。
当事務所では相続に関するあらゆるお悩みを解決するためサポートしております。初回の相談は無料で対応しておりますので、お電話やメールなどでお気軽にご連絡ください。















