目次
- 相続放棄すると借金は誰が払うのか【結論】
- 相続放棄をすると借金の支払義務はどうなるのか/a>
- 原則として借金を払わなくてよい理由
- 「誰も払わない」という状態はあり得るのか
- 相続放棄とは何か【借金との関係を整理】
- 相続放棄の基本的な仕組み
- 相続放棄をすると相続人でなかったことになる
- プラスの財産とマイナスの財産の扱い
- 相続放棄後に借金を払う可能性がある人
- 次の順位の相続人が支払義務を負うケース
- 相続放棄をしていない相続人がいる場合
- 連帯保証人・保証人になっている場合
- 生前に借金の一部を支払ってしまった場合か
- 法定相続人以外が連帯保証人・保証人になっている場合の注意点と対処法
- 相続放棄や遺産分割を「行う」前に確認すべきポイント
- 相続放棄と保証債務は別物である点に注意
- 保証人への請求が発生する典型的な流れ
- 事前に説明・相談しておくことの重要性
- 相続人全員が放棄した場合と清算人の関係
- 相続財産清算人の選任と裁判所手続き
- 保証人が取るべき現実的な対処法
- トラブルを回避するために最も重要なこと
- 相続放棄をすれば借金を払わなくてよい人
- 相続放棄が有効に成立している場合
- 相続財産に一切関与していない場合
- 保証人や連帯保証人でない場合
- 相続放棄したのに借金の請求が来る理由
- 債権者が相続放棄を把握していないケース
- 形式的に相続人と誤認されているケース
- 請求が来た場合にやってはいけない対応
- 相続放棄後に借金の請求が来たときの正しい対応
- まず確認すべきポイント
- 相続放棄申述受理通知書の使い方
- 債権者への適切な対応方法
- 自分で対応が難しい場合の相談先
- 相続放棄と借金でよくある誤解
- 相続放棄すれば家族全員が安心という誤解
- 放棄した人に請求が来たら必ず払うべきという誤解
- 期限を過ぎても相続放棄できるという誤解
- 相続放棄を検討する前に必ず確認すべきポイント
- 借金の総額と内容の調査
- 相続人の範囲と順位の確認
- 相続放棄の期限と注意点
- 他の選択肢(限定承認など)との比較
- 専門家に相談すべきタイミング
- 借金の全体像が分からない場合
- 債権者対応に不安がある場合
- 家族間で意見が分かれている場合
- まとめ|相続放棄と借金は「誰が払うか」を正しく理解することが重要
相続が発生し、被相続人の財産を引き継ぎたくないときに選択できるのが相続放棄です。相続放棄をすると一切の権利・義務を失います。
当記事では相続放棄の概要や注意点について解説します。
相続放棄すると借金は誰が払うのか【結論】
結論から言うと、相続放棄が適切に成立していれば、その人が借金を支払う義務はありません。
相続放棄をした人は、法律上「最初から相続人ではなかったもの」として扱われるため、被相続人(亡くなった人)の借金を引き継がないのが原則です。
ただし、相続放棄をしても状況によっては別の人が借金を払うことになるケースや、放棄したのに請求が来るケースもあります。
そのため、「相続放棄=借金問題が完全に消える」と単純に考えるのは危険です。
相続放棄をすると借金の支払義務はどうなるのか
相続放棄をすると、その人は被相続人の財産も借金も一切相続しないことになります。
つまり、
-
プラスの財産(預貯金・不動産など)
-
マイナスの財産(借金・ローン・未払金など)
の両方を引き継がないという扱いになります。
このため、相続放棄が認められた人には、原則として借金の支払義務は発生しません。
原則として借金を払わなくてよい理由
相続放棄をした人が借金を払わなくてよい理由は、民法上の扱いにあります。
相続放棄が家庭裁判所に受理されると、その人は初めから相続人でなかったものとみなされます。
相続人でない以上、
-
被相続人の権利を受け取ることも
-
義務(借金)を引き継ぐことも
ありません。
これが、相続放棄をすれば原則として借金を払わなくてよいとされる根拠です。
「誰も払わない」という状態はあり得るのか
場合によっては、誰も借金を払わない状態になることもあります。
例えば、
-
相続人全員が相続放棄をした
-
次の順位の相続人も全員相続放棄をした
-
保証人や連帯保証人もいない
というケースでは、借金を引き継ぐ人がいなくなります。
この場合、債権者(貸した側)は、相続財産の範囲内でしか回収できず、最終的に回収不能となることもあります。
ただし、だからといって相続放棄を安易に判断するのは危険で、手続きや順序を誤るとトラブルにつながります。
相続放棄とは何か【借金との関係を整理】
相続放棄とは、相続人が家庭裁判所に申述を行い、相続人としての立場そのものを放棄する手続きです。
単に「相続しません」と口頭で伝えたり、何もしなかったりするだけでは成立しません。
借金との関係では、「借金だけを放棄する」ということはできず、財産と借金をまとめて放棄する制度である点が重要です。
相続放棄の基本的な仕組み
相続放棄は、原則として相続があったことを知った日の翌日から3か月以内に家庭裁判所へ申述する必要があります。
この期限を過ぎると、原則として相続放棄はできなくなり、借金も含めて相続したとみなされる可能性があります。
相続放棄をすると相続人でなかったことになる
相続放棄が受理されると、その人は相続人としての地位を失い相続開始時点にさかのぼって最初から相続人ではなかった扱いになります。
この扱いがあるため、借金の支払義務も発生しないのが原則です。
プラスの財産とマイナスの財産の扱い
相続放棄では、
-
預貯金や不動産などのプラスの財産
-
借金やローンなどのマイナスの財産
を選り分けて相続することはできません。また、特定の財産のみ放棄することもできません。すべてを放棄するか、すべてを相続するかの選択になります。
相続放棄後に借金を払う可能性がある人
相続放棄をした本人が借金を払わなくても、別の人が支払義務を負うケースはあります。
次の順位の相続人が支払義務を負うケース
相続放棄をすると、その人は相続人から外れるため、以下の例のように次の順位の相続人に相続権が移ります。
-
子が全員相続放棄 → 親(直系尊属)へ
-
親も相続放棄 → 兄弟姉妹へ
次の順位の相続人が相続放棄をしなければ、その人が借金を含めて相続することになります。
相続放棄をしていない相続人がいる場合
複数の相続人がいる場合、一部の人だけが相続放棄することも可能です。
その場合、相続放棄をしていない相続人が、相続分に応じて借金を引き継ぐことになります。
連帯保証人・保証人になっている場合
相続放棄をしても、保証人・連帯保証人としての責任は消えません。
これは、保証人の立場が「相続」とは別の契約上の義務だからです。
被相続人の借金について保証人になっている場合は、相続放棄をしても返済義務が残る点に注意が必要です。
生前に借金の一部を支払ってしまった場合
被相続人の死亡後に、
-
借金を返済した
-
財産を処分した
などの行為をすると、相続を承認したと判断されるリスクがあります。
この場合、相続放棄が認められず、借金の支払義務が残る可能性があります。
法定相続人以外が連帯保証人・保証人になっている場合の注意点と対処法
被相続人が亡くなり、相続放棄を検討・実行する場面で特に注意が必要なのが、
法定相続人以外の第三者が連帯保証人・保証人になっているケースです。
この場合、相続放棄や遺産分割とは無関係に、
保証契約に基づく負債の支払義務が存続するため、事前の説明や相談を行わないと、
突然、金融機関から保証人に対して支払いの督促が行われ、深刻なトラブルに発展することがあります。
相続放棄や遺産分割を「行う」前に確認すべきポイント
相続放棄や遺産分割協議を行う前に、次の点を必ず確認しておく必要があります。
-
被相続人に借入やローンなどの負債が存在するか
-
その借入に連帯保証人・保証人が選任されているか
-
保証人が法定相続人か、第三者か
-
保証契約に関する書類が残っているか
これらを確認せずに相続放棄だけを進めると、
「相続放棄したから安心していたのに、保証人として請求を受けた」という事態が起こり得ます。
相続放棄と保証債務は別物である点に注意
相続放棄は、あくまで遺産(プラス・マイナスの財産)を相続しないという制度です。
一方で、連帯保証や保証は、生前に本人が締結した契約上の義務であり、遺産相続とは切り離して考えられます。
そのため、相続放棄をしても、保証人である限り、保証債務の支払義務は回避できません。
事前に説明・相談しておくことの重要性
トラブルを回避するためには、
-
相続放棄を検討している段階で
-
保証人に対して事前に事情を説明し
-
今後どのような請求が想定されるかを共有
しておくことが重要です。
保証人側も、突然の請求ではなく、
「いつ・どの期間で・どのような清算が想定されるのか」を把握できれば、
冷静な対処が可能になります。
相続人全員が放棄した場合と清算人の関係
法定相続人が全員相続放棄をした場合、
遺産は宙に浮いた状態となり、家庭裁判所により相続財産清算人が選任されることがあります。
清算人は、
-
遺産の管理
-
債権者への清算
-
残余財産の処理
を行う立場ですが、
保証人の債務まで肩代わりするものではありません。
この点も、保証人に誤解されやすいポイントです。
相続財産清算人の選任と裁判所手続き
相続財産清算人の選任は、
家庭裁判所へ申立てを行い、必要な戸籍謄本や提出書類を揃える必要があります。
ただし、
-
手続きに時間がかかる
-
費用負担が生じる
-
必ず選任されるとは限らない
といったデメリットもあります。
一方で、遺産の整理・清算の流れが明確になるというメリットもあるため、
状況に応じた判断が求められます。
保証人が取るべき現実的な対処法
保証人として請求を受けた場合の対処法としては、
-
契約内容を確認する
-
支払義務の範囲を整理する
-
金融機関と条件交渉を行う
-
必要に応じて専門家へ相談する
などが考えられます。
「相続人が放棄したから自分も払わなくてよい」という誤解は、
早い段階で修正しておく必要があります。
トラブルを回避するために最も重要なこと
最も重要なのは、
-
相続放棄は誰の負担を減らし
-
誰に影響が及ぶのか
を事前に整理することです。
特に、法定相続人以外が保証人になっている場合は、
説明不足そのものがトラブルの原因になります。
相続放棄・遺産分割・清算人の選任などを行う前に、
関係者全体を見渡した判断と対処を行うことが、
後悔を回避する最大のポイントと言えるでしょう。
相続放棄をすれば借金を払わなくてよい人
以下の条件を満たしていれば、原則として借金を払う必要はありません。
相続放棄が有効に成立している場合
家庭裁判所に申述し、相続放棄が正式に受理されていることが前提です。
単なる意思表示や書面だけでは不十分です。
相続財産に一切関与していない場合
相続財産の処分や使用などを行っていないことが重要です。
財産に手を付けていない場合、相続放棄の効力は維持されます。
保証人や連帯保証人でない場合
被相続人の借金について、保証人・連帯保証人になっていない場合は、相続放棄により借金の支払義務は発生しません。
相続放棄したのに借金の請求が来る理由
相続放棄をしても、実務上は借金の請求が来ることがあります。
これは、相続放棄が無効だからではなく、債権者側の事情や事務処理の問題であるケースが大半です。
債権者が相続放棄を把握していないケース
債権者は、相続放棄がなされた事実を自動的に把握できるわけではありません。
家庭裁判所が債権者へ通知する制度はないため、
-
相続人名簿や戸籍情報だけをもとに
-
形式的に相続人と思われる人へ
請求書を送ってくることがあります。
この場合、請求自体は事務的なものであり、支払義務があることを意味しません。
形式的に相続人と誤認されているケース
債権者が、
-
戸籍上の続柄
-
住民票上の同一世帯
-
過去の連絡履歴
などから、相続放棄した事実を知らずに相続人と誤認しているケースもあります。
特に、配偶者や同居していた家族は、相続放棄をしていても請求対象にされやすいため注意が必要です。
請求が来た場合にやってはいけない対応
相続放棄後に借金の請求が来た場合、次の行動は避けるべきです。
-
慌てて支払ってしまう
-
分割払いや支払猶予の相談をする
-
電話で安易に「払います」と答える
これらの行為は、相続を承認したと受け取られるリスクがあります。
請求が来たからといって、すぐに支払う必要はありません。
相続放棄後に借金の請求が来たときの正しい対応
請求が来た場合は、感情的にならず、事実関係を整理したうえで冷静に対応することが重要です。
まず確認すべきポイント
最初に確認すべきなのは、次の点です。
-
相続放棄が家庭裁判所に正式に受理されているか
-
相続放棄申述受理通知書を保管しているか
-
自分が保証人・連帯保証人ではないか
これらを整理すれば、支払義務の有無はほぼ判断できます。
相続放棄申述受理通知書の使い方
相続放棄が受理されると、家庭裁判所から
「相続放棄申述受理通知書」が交付されます。
この通知書のコピーを、書面で債権者へ送付することで、相続放棄をした事実を正式に伝えることができます。
多くの場合、これだけで請求は止まります。
債権者への適切な対応方法
債権者には、感情的なやり取りは避け、書面で事実を伝えるのが基本です。
-
相続放棄をしていること
-
家庭裁判所で受理されていること
-
支払義務がないこと
を簡潔に伝え、必要に応じて受理通知書の写しを添付します。
自分で対応が難しい場合の相談先
次のような場合は、専門家への相談を検討すべきです。
-
債権者が請求を止めない
-
法的な主張をしてくる
-
書面対応に不安がある
相談先としては、
-
弁護士
-
相続を扱う専門家
が考えられます。
早めに相談することで、不要なトラブルを防げます。
相続放棄と借金でよくある誤解
相続放棄については、誤解が非常に多く、それがトラブルの原因になります。
相続放棄すれば家族全員が安心という誤解
相続放棄は個人単位の手続きです。
ある人が相続放棄をしても、他の相続人が放棄しなければ、その人に借金が引き継がれる可能性があります。
放棄した人に請求が来たら必ず払うべきという誤解
請求が来た=支払義務がある、ではありません。
相続放棄が有効であれば、請求されても支払う必要はありません。
期限を過ぎても相続放棄できるという誤解
相続放棄には、原則として3か月の期限があります。
期限を過ぎると、原則として相続放棄は認められず、借金を相続した扱いになる可能性があります。
相続放棄を検討する前に必ず確認すべきポイント
相続放棄は慎重に判断する必要があります。
借金の総額と内容の調査
まずは、被相続人の借金について、
-
金融機関
-
消費者金融
-
保証債務
などを含め、全体像を把握することが重要です。
相続人の範囲と順位の確認
誰が相続人になるのか、順位まで含めて確認する必要があります。
自分が放棄した結果、誰に影響が及ぶのかを理解することが大切です。
相続放棄の期限と注意点
期限内に手続きしなければ、選択肢は大きく制限されます。
「もう少し様子を見てから」と考えている間に期限が過ぎるケースも少なくありません。
他の選択肢(限定承認など)との比較
相続放棄以外にも、限定承認という選択肢があります。限定承認はプラスの財産の範囲内で債務も引き継ぐ承継方法です。ただし、限定承認は単独で行うことはできず、相続人全員で行う必要があります。
状況によっては、限定承認の方が適している場合もあります。
専門家に相談すべきタイミング
借金の全体像が分からない場合
調査が難航する場合は、専門家に依頼することで効率的に把握できます。
債権者対応に不安がある場合
対応を誤ると、不利な状況になる可能性があります。
不安がある場合は、早めの相談が有効です。
家族間で意見が分かれている場合
相続放棄は、家族関係に大きな影響を与えることがあります。
第三者の専門家を交えることで、冷静な判断がしやすくなります。
まとめ|相続放棄と借金は「誰が払うか」を正しく理解することが重要
相続放棄をすれば、原則として借金を払う必要はありません。
しかし、制度を正しく理解していないと、
-
不要な支払い
-
家族間トラブル
-
債権者との紛争
につながるおそれがあります。
「誰が払うのか」「自分に支払義務があるのか」を冷静に整理し、必要に応じて専門家の力を借りることが、後悔しない相続への第一歩です。
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