目次
- 投資信託は「死亡後すぐに止まる」わけではない
- 被相続人が亡くなった後の投資信託の扱い
- 死亡後も基準価額は日々変動する
- 相続人が知らなくても運用は続く理由
- 「投資信託 死亡 放置」が危険と言われる理由
- 名義が被相続人のままでは売却・解約できない
- 価格変動リスクを相続人がコントロールできない
- 相続人同士のトラブルに発展しやすい
- 投資信託を放置したまま相続すると起こりやすい問題
- 相続税評価と実際の売却額がズレる
- 分配金の扱いが複雑になる
- 遺産分割協議が進まなくなるケース
- 死亡後の投資信託と相続税の基本関係
- 相続税評価額はいつの時点で決まるのか
- 評価後に値下がり・値上がりした場合の考え方
- 申告期限までに注意すべきポイント
- 投資信託を相続したら最初にやるべきこと
- 取引金融機関への死亡連絡
- 残高・銘柄・分配金の確認
- 遺言書の有無を確認する重要性
- 投資信託は「すぐ売るべき」か「持ち続けるべき」か
- すぐに売却した方がよいケース
- 保有を検討してもよいケース
- 感情ではなく数字で判断する必要性
- 投資信託を放置しないために生前からできる対策
- 相続人に資産内容を伝えておく
- 遺言書で投資信託の扱いを明確にする
- 金融資産の一覧表を作成しておく
- 判断に迷ったら専門家に相談すべき理由
- 相続税と運用判断は切り離して考える必要がある
- 税理士・司法書士の役割の違い
- 早めの相談が「損を防ぐ」最大のポイント
- 投資信託の名義変更・移管手続きで押さえるべきポイント
- 証券会社での手続きと必要書類
- 口座移管の流れと注意点
- 遺言書や遺産分割の考え方
- まとめ|投資信託は「死亡後の放置」が最大のリスク
- 放置は安全策ではない
- 正しい知識と早めの行動が相続の損失を防ぐ
近年は金融機関で投資信託等で運用する人が増えており、投資信託を相続する人も増えています。当記事では投資信託の相続税評価について解説します。
投資信託は「死亡後すぐに止まる」わけではない
被相続人が亡くなった後の投資信託の扱い
投資信託は、被相続人が亡くなったからといって自動的に解約されたり、運用が止まったりするものではありません。
金融機関が死亡の事実を把握するまでは、生前と同じ状態で口座が維持され、投資信託もそのまま保有され続けます。
そのため、相続人が何も手続きをしないまま時間が経過するケースも少なくありません。
死亡後も基準価額は日々変動する
投資信託の基準価額は、株式や債券などの運用資産の価格に応じて毎日変動します。
これは被相続人の死亡後であっても変わりません。
つまり、相続開始後も市場環境によって
-
大きく値上がりすることもあれば
-
急落する可能性もある
という状態が続きます。
相続人が知らなくても運用は続く理由
投資信託は「口座単位」で管理されており、死亡の情報が金融機関に正式に伝わらない限り、運用停止の処理は行われません。
金融機関が相続開始を知るのは、相続人からの連絡があって初めてです。
そのため、
「知らないうちに価格が大きく変動していた」
という事態も珍しくありません。
「投資信託 死亡 放置」が危険と言われる理由
名義が被相続人のままでは売却・解約できない
投資信託は、名義人が被相続人のままでは原則として売却や解約ができません。
相続人が「今すぐ売りたい」と思っても、相続手続きが完了するまでは手を出せないのが実情です。
結果として、価格が下落しても何もできず、損失が拡大する可能性があります。
価格変動リスクを相続人がコントロールできない
放置している間も、相続人は価格変動リスクを一方的に負い続けることになります。
しかし、売却や運用方針の変更はできないため、リスク管理が一切できません。
これは、現金や預貯金にはない、投資信託特有のリスクです。
相続人同士のトラブルに発展しやすい
投資信託は遺産分割協議が整うまでは共有状態となりますが、「評価額が日々変わる財産」であり、誰がいつ引き継ぐのか、どの時点の価額で分けるのかを巡って、相続人同士の意見が対立しやすくなります。
放置期間が長いほど、不公平感や不満が生じやすく、遺産分割トラブルの原因になりがちです。
投資信託を放置したまま相続すると起こりやすい問題
相続税評価と実際の売却額がズレる
相続税は、原則として「相続開始日の評価額」で計算されます。
しかし、実際に売却するのが数か月後になると、その時点の価格は大きく変わっている可能性があります。
結果として、
-
税金は高い評価額で払ったのに
-
実際の売却額は大きく下がっていた
という事態も起こり得ます。
分配金の扱いが複雑になる
死亡後に発生した分配金については、相続財産に含めるのか相続人の所得になるのかといった判断に迷う人も多いと思いますが、相続発生後の分配金は相続人の所得となります。相続発生前に分配金の支払いが確定し、まだ未払いの分については未収分配金として相続税の対象となります。
放置していると、分配金の帰属関係が分かりにくくなり、税務処理が複雑化します。
遺産分割協議が進まなくなるケース
投資信託は現金のように単純に分けにくく、
-
誰が引き継ぐか
-
売却して分けるか
を決める必要があります。
価格変動があることで話し合いが長引き、遺産分割協議が停滞するケースも少なくありません。
死亡後の投資信託と相続税の基本関係
相続税評価額はいつの時点で決まるのか
投資信託の相続税評価額は、原則として被相続人が亡くなった日の基準価額をもとにその日に解約した場合に差し引かれるべき所得税や信託財産留保額を差し引いた金額で算定されます。
金融機関や商品によって評価方法が異なる場合もあるため、確認が必要です。
評価後に値下がり・値上がりした場合の考え方
相続税評価後に価格が変動しても、原則として税額は変わりません。
そのため、評価後に値下がりすると「税金だけが高い」という不利な状況になる可能性があります。
逆に相続後に値上がりした場合、被相続人が購入した時の取得価額を引き継いで利益に対しては譲渡所得税の対象になる点に注意が必要です。
申告期限までに注意すべきポイント
相続税の申告期限は、原則として相続開始から10か月以内です。
この期限までに、
-
評価
-
遺産分割
-
手続き
を進める必要があり、投資信託を放置している余裕はありません。
投資信託を相続したら最初にやるべきこと
取引金融機関への死亡連絡
まず行うべきは、取引金融機関への死亡連絡です。
これにより口座が凍結され、相続手続きが正式に開始されます。
残高・銘柄・分配金の確認
次に、
-
投資信託の残高
-
銘柄の内容
-
分配金の有無
を正確に把握します。
これが遺産分割や税務判断の基礎資料になります。
遺言書の有無を確認する重要性
遺言書がある場合、投資信託の承継方法が指定されていることもあります。
自己判断で進める前に、必ず遺言書の有無を確認することが重要です。
投資信託は「すぐ売るべき」か「持ち続けるべき」か
投資信託を相続した場合、多くの方が
「とりあえず売った方がいいのか」
「そのまま持っていても問題ないのか」
と悩みます。
結論から言うと、一律の正解はなく、状況によって判断が分かれます。
重要なのは「放置」ではなく、「意図をもって判断する」ことです。
すぐに売却した方がよいケース
次のような場合は、早期の売却を検討した方が安全なケースが多いです。
-
相続人に投資経験がほとんどない
-
値動きの大きい株式型・海外型ファンドである
-
相続税の納税資金を確保する必要がある
-
遺産分割を早く終わらせたい
-
相続人同士で運用方針の合意が取れない
投資信託は価格変動があるため、
「よく分からないまま持ち続ける」
こと自体がリスクになります。
保有を検討してもよいケース
一方で、次のような場合は、すぐに売らず保有を検討する余地もあります。
-
相続人自身に投資経験があり、商品内容を理解している
-
長期・分散型の比較的安定したファンドである
-
すぐに現金化する必要がない
-
相続人全員が保有継続に同意している
この場合でも、「何となく持つ」のではなく、
今後の運用目的や期間を明確にした上で判断することが大切です。
感情ではなく数字で判断する必要性
相続では、
「亡くなった親が持っていたから」
「売るのは申し訳ない気がする」
といった感情が判断を左右しがちです。
しかし、投資信託は感情で持つものではありません。
-
リスク
-
期待リターン
-
税金
-
自分の資産状況
これらを数字で整理して判断することが、結果的に損を防ぐ近道になります。
投資信託を放置しないために生前からできる対策
「死亡後に慌てない」ためには、生前の備えが非常に重要です。
相続人に資産内容を伝えておく
投資信託を含む金融資産は、通帳のように目に見えにくいため、相続人が存在を知らないケースも多くあります。
最低限、
-
どの金融機関に
-
どのような投資信託があるのか
を伝えておくだけでも、相続後の混乱を大きく減らせます。
遺言書で投資信託の扱いを明確にする
遺言書があれば、
-
誰が投資信託を引き継ぐのか
-
売却するのか、保有するのか
といった方針を明確にできます。
価格変動のある財産ほど、遺言による指定の効果は大きく、相続人同士のトラブル防止にもつながります。
金融資産の一覧表を作成しておく
投資信託・株式・預貯金などを一覧にした「資産リスト」を作っておくと、
相続人が全体像を把握しやすくなります。
完璧なものである必要はなく、
-
金融機関名
-
種類
-
大まかな残高
だけでも十分です。
判断に迷ったら専門家に相談すべき理由
投資信託の相続は、
「税金」と「運用」の判断が絡み合うため、自己判断で進めると失敗しやすい分野です。
相続税と運用判断は切り離して考える必要がある
相続税の計算と、
「売るか・持つか」という投資判断は、本来別の問題です。
税金だけを理由に不利な運用を選んでしまったり、
逆に運用を優先して税務リスクを見落としたりするケースもあります。
専門家に相談することで、両者を整理して考えることができます。
税理士・司法書士の役割の違い
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税理士:相続税の計算、評価、申告のサポート
-
司法書士:相続手続き全般、遺産分割、遺言書の対応
投資信託の相続では、両方の視点が必要になる場面も多く、適切な専門家選びが重要です。
早めの相談が「損を防ぐ」最大のポイント
相続は、
「期限がある」
「後戻りできない判断が多い」
という特徴があります。
迷った段階で早めに相談することが、結果的に
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税金の損
-
価格変動による損
-
相続人同士のトラブル
を防ぐ最大のポイントになります。
投資信託の名義変更・移管手続きで押さえるべきポイント
投資信託を相続する際には、死亡後に名義変更(移管)の手続きを証券会社で行う必要があります。被相続人名義の投資信託は、そのままでは売却や配当の受取ができず、相続人の口座へ移管することで初めて手続きが完了します。
証券会社での手続きと必要書類
名義変更の手続きには、各証券会社が指定する書類が必要です。
たとえば、被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本や、相続人全員の印鑑証明、遺言書または遺産分割協議書などが求められることが一般的です。これらの書類がそろわないと、手続きが進まず、相続税申告期限に間に合わない可能性もあります。
金融機関に連絡する際には、事前に必要な書類一覧を確認し、スムーズに準備を進めることが重要です。証券会社によっては、特定の書式や追加の証明書が必要な場合もありますので、必ず事前に窓口で確認しておきましょう。
口座移管の流れと注意点
名義変更が進むと、被相続人の投資信託は相続人名義の証券口座へ移管されます。これによって、ようやく売却や継続保有が可能になります。移管後は、相続人が単独で資産の管理や運用判断を行えるようになります。
なお、被相続人と別の証券会社で口座を持っている場合、まずは被相続人の証券会社で相続手続きを完了させ、その後に他の証券会社へ再度移管するという手続きが必要になる場合があります。手続きが複雑になることもあるため、予めどの証券会社で対応可能かを確認しておくと安心です。
遺言書や遺産分割の考え方
遺言書がある場合は、投資信託の承継方法を指定しておくことで、相続手続きがよりスムーズになります。遺産に金融資産が含まれている場合は、遺言書や遺産分割協議書で明確に取り扱いを定めておくことで、相続人同士のトラブルを避けやすくなります。
まとめ|投資信託は「死亡後の放置」が最大のリスク
放置は安全策ではない
投資信託を「何もしないまま放置する」ことは、
安全でも中立でもありません。
相続人が気づかない間も、
リスクと価格変動だけは確実に進行しています。
正しい知識と早めの行動が相続の損失を防ぐ
投資信託の相続で最も大切なのは、
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正しい知識を持つこと
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早めに動くこと
この2点です。
「知らなかった」「後回しにした」ことによる損失を防ぐためにも、
投資信託は死亡後に放置しないことを強く意識しましょう。















