第三者への相続分譲渡と登記の進め方

「相続分を友人に譲りたい」と言われたら?

父が亡くなり、実家の相続について兄弟で話し合いを始めたときのことです。
相続人は子ども3人。遺産は実家の土地と建物でした。

話し合いの途中で、長男Aが突然こう切り出します。
「俺は相続分はいらない。その代わり、昔から世話になっている友人のXに譲りたい」

次男Bと三男Cは戸惑いました。
「相続人でもない人に名義を変えられるの?」
「相続登記って、どう進めればいいの?」

この疑問は、相続の現場では決して珍しいものではありません。実は「第三者への相続分譲渡」は法律上可能ですが、登記の進め方には少し注意が必要です。

目次

相続人でない人へ「直接」相続登記はできない

まず知っておきたいのは、相続人ではない第三者に対して、いきなり「相続」を原因とした名義変更はできないというルールです。

相続登記とは、亡くなった方の財産を法律上の相続人に移す手続きです。そのため、どれほど本人が「友人に渡したい」と望んでも、亡くなった父から直接Xへ「相続」を原因とする登記をすることはできません。
この点は誤解されやすい部分です。

「本人が譲りたいと言っているのだから、そのまま手続きできるはず」と思ってしまうのは自然ですが、法律の仕組みは少し違います。

手続きは「二段階」で進める

では、Aが友人Xに相続分を渡したい場合、どうすればよいのでしょうか。
正しい方法は、次のような順序になります。

まず、相続人であるA・B・Cの名義で相続登記を行います。つまり、亡くなった父の不動産をいったん相続人の共有名義にするのです。

そのうえで、Aの持分をXへ移転する登記を行います。このときの原因は「売買」「贈与」「相続分の譲渡」など、実態に合わせて決めることになります。

つまり、「相続による名義変更 → 第三者への持分移転」という二段階の手続きが必要になるのです。

これはAだけが譲る場合に限らず、兄弟全員が「まとめてXに渡したい」と考えている場合でも同じです。どのケースでも、まず相続人への名義変更を経るという順序は変わりません。

相続登記は「先送り」ができない時代に

ここで注意したいのが、2024年4月から始まった相続登記の義務化です。
相続を知った日から3年以内に登記を申請しなければならず、正当な理由なく放置すると過料の対象になる可能性があります。

「いずれ手続きしよう」とそのままにしておくことが、以前より難しくなりました。
第三者に相続分を譲る予定がある場合でも、まず相続登記を行う必要がある点は変わりません。むしろ、義務化によって早めの整理が重要になっています。

「第三者に譲りたい」という相談は意外と多い

そもそも、なぜ第三者への相続分譲渡が起こるのでしょうか。

理由はさまざまです。相続放棄の期限を過ぎてしまった、兄弟と関わりたくない、不動産を引き取ってくれる人がいる、あるいはお世話になった人に渡したいという思い。相続の現場では、こうした事情を持つケースをよく見かけます。

「こんな事情は自分だけかもしれない」と感じている方でも、実は似た悩みを抱えている人は少なくありません。

まずは状況を整理することが第一歩

第三者への相続分譲渡は法律上認められていますが、登記には決まった順番があります。その順序を知らないまま進めようとすると、登記が受理されず、かえって手続きが長引くこともあります。

「友人に相続分を譲りたい」
「相続人同士の関係が複雑で話が進まない」
「自分のケースではどう進めるのが正しいのか知りたい」
そう感じている場合は、まず状況を整理することが大切です。

清澤司法書士事務所では、相続登記や相続分譲渡に関するご相談を初回無料で承っています。複雑に見える問題も、専門家と一緒に整理することで、進むべき道筋が見えてくることが少なくありません。

「こんな相談でもいいのだろうか」と思う段階でも大丈夫です。どうぞお気軽にご相談ください。

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