成年後見は親族が反対しても申立てできる?反対された場合の対処法を解説

成年後見制度を利用すれば、認知症などで判断ができなくなった際も本人の財産管理や生活を支援できます。
しかし、利用を検討しているものの、「親族が反対している」「兄弟姉妹と意見が合わない」といった問題に悩む人は少なくありません。
本人の財産管理や生活の保護を目的とする成年後見制度ですが、親族間で意見が対立して利用をあきらめてしまうケースもあります。

そこで本記事では、成年後見は親族が反対していても申立てできるのかや、親族が反対する理由や対処法について解説します。

目次

成年後見は親族が反対していても申立てできる

成年後見制度は、認知症や知的障害、精神障害などにより判断能力が低下した本人を保護するための制度です。
結論からいえば、成年後見の申立ては親族が反対していても可能です。
成年後見制度の利用にあたり、親族全員の同意を得る必要はありません。

家庭裁判所は、本人の利益や保護の必要性を重視して判断します。
そのため、一部の親族が反対している場合でも、本人に成年後見人が必要であると判断されれば成年後見開始の審判が行われます。

ただし、親族の反対が強いケースでは、後見人候補者として申立てを行った親族が選任されない可能性があるため、注意が必要です。
ですから、親族が判断しているというだけで成年後見制度をあきらめる必要はありません。

親族が成年後見に反対する主な理由

親族が成年後見制度に反対する理由はさまざまです。
ここでは、実例をもとに親族が成年後見に反対する主な理由をご紹介します。

後見人の財産管理に不安があるため

成年後見人には本人の財産を管理する権限が与えられます。
そのため、親族の中には「財産が適切に管理されるのか」「不正利用されないか」と不安を感じる人も多いです。
特に不動産や預貯金が多い場合は、財産管理をめぐる問題が発生しやすくなります。
特に、弁護士などの専門家が後見人になれば、財産をどうにかされるのではと不安になる方もいるでしょう。

相続への影響を心配しているため

親族が反対する理由として多いのが相続問題です。
成年後見制度は本人の利益を守る制度であり、相続対策のために利用するものではありません。
しかし、相続人の中には将来の相続に影響すると考え、反対するケースがあります。
特に、遺言書の作成や生前の財産管理について意見が割れている場合は強く反対される場合もあるでしょう。

後見人候補者に不信感があるため

申立てを行う親族が後見人候補者になっている場合、他の家族から反対されることがあります。
「特定の親族だけに財産管理を任せたくない」と考える人がいる場合は、特に強い反対にあうケースも珍しくありません。
このようなケースでは、家庭裁判所が第三者の専門家を成年後見人に選任することがあります。

親族の反対が成年後見手続きに与える影響

親族の反対があっても成年後見制度の利用は可能ですが、手続きに影響する場合があります。
ここでは、主な影響を抜粋してご紹介します。

親族後見人が選任されにくくなる

親族間で対立がある場合、家庭裁判所は中立性を重視します。
家庭裁判所は本人保護の観点から総合的に判断するため、後見人候補者がいる場合でも必ず選任されるとは限りません。
そのため、申立て時に後見人候補者として親族を記載していても、弁護士や司法書士などの専門家が成年後見人に選任されるケースがあります。
専門家が後見人になった場合、親族が後見人になった場合と比べて対応の柔軟性に欠け、不満が出ることもあるでしょう。
どちらのほうがデメリットが大きいか比較検討することが大切です。

手続きが長引く場合がある

親族から意見書が提出されたり、家庭裁判所が追加調査を行ったりすることで審理期間が長くなることがあります。
特に財産が多い場合や家族間の対立が大きい場合は、慎重な判断が求められるため注意が必要です。

親族が反対している場合の対処法

成年後見制度の利用を円滑に進めるためには、適切な対応が重要です。
ここでは、親族が反対している場合の対処法をご紹介します。

反対理由を確認する

まずは親族がなぜ反対しているのかを確認しましょう。
制度への誤解や情報不足が原因で反対しているケースもあります。
成年後見制度の内容や必要性を丁寧に説明することで解決できる場合もあるため、まずは理由を聞くことが大切です。
必要ならば、弁護士や司法書士などの専門家から説明を受ける場を整えましょう。

客観的な資料を準備する

認知症などにより本人の判断能力が低下している場合は、医師の診断書や介護認定資料などを準備しましょう。
客観的な情報を示すことで、成年後見制度の必要性を説明しやすくなります。

専門家へ相談する

親族間の話し合いが難しい場合は、弁護士や司法書士などの専門家へ相談するのがおすすめです。
法律相談を利用することで、適切な手続き方法や対応方法についてアドバイスを受けられます。
事務所によっては無料相談を実施している場合もあります。

成年後見で親族が反対している場合によくある質問

ここでは、成年後見で親族が反対している場合によくある質問をご紹介します。

Q.親族全員の同意は必要ですか

A.成年後見の申立てに親族全員の同意は必要ありません。
家庭裁判所が本人の状況を確認し、成年後見開始の必要性を判断します。

Q. 認知症の本人が拒否している場合はどうなりますか

A.認知症などにより判断能力が低下している場合は、本人が拒否していても成年後見開始が認められる可能性があります。
ただし、本人の意思も重要な判断材料となるため、家庭裁判所が個別に検討します。

Q. 親族以外が成年後見人になることはありますか

A.もちろんあります。
親族間で対立があるケースや財産管理が複雑なケースでは、弁護士や司法書士など第三者の専門家が成年後見人として就任することがあります。

Q.成年後見と家族信託はどちらがよいですか

A.家族信託は財産管理を目的とした仕組みであり、成年後見制度とは役割が異なります。
本人の判断能力が低下している場合は成年後見制度が必要になるケースもあるため、状況に応じて専門家へ相談するとよいでしょう。

Q. 成年後見と任意後見の違いは何ですか

A. 成年後見(法定後見)は、認知症などにより本人の判断能力が低下した後に、家庭裁判所が後見人を選任する制度です。
一方、任意後見は判断能力が十分にあるうちに、将来に備えて自分で後見人を選び契約しておく制度です。
すでに判断能力が低下している場合は任意後見を利用できないため、成年後見制度の利用を検討する必要があります。

まとめ

成年後見制度は親族が反対していても申立てが可能です。家庭裁判所は本人の利益や保護の必要性を重視して判断するため、親族全員の同意は求められません。
ただし、親族間の対立がある場合は親族後見人が選任されにくくなり、弁護士や司法書士などの第三者が成年後見人として選ばれることがあります。親族から反対された場合は、反対理由を確認したうえで、必要に応じて専門家へ相談しながら手続きを進めましょう。

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