目次
- 長期相続登記等未了土地とは
- 長期相続登記等未了土地は相続放棄できる?
- 相続放棄できない場合の対応方法
- 長期相続登記等未了土地の通知が届いたらやるべきこと
- 長期相続登記等未了土地と相続放棄に関するよくある質問
- まとめ
長期相続登記等未了土地とは、所有権の登記名義人が亡くなってから長期間相続登記が行われていない土地です。
長期間相続登記が行われていない土地では、相続人が増えたり所有者が不明になったりすることで、土地の管理や売却が難しくなるケースがあります。
そのため、「所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法」という法律に基づき、法務局の登記官が法定相続人を探索し、「長期間相続登記が未了である」という登記を行います。
そして、法定相続を促す通知などを送ります。
ある日突然「長期相続登記等未了土地」に関する通知が届き、不安になる方もいるでしょう。
「今から相続放棄をしたい」と思う方も珍しくありません。
結論から申し上げると、長期相続登記等未了土地でも相続放棄は可能です。
ただし、通知が届いた後では、必ず相続放棄ができるわけではありません。
相続放棄には期限があり、状況によっては認められないケースもあります。
この記事では、長期相続登記等未了土地の定義や通知が届く理由、相続放棄が可能な条件、注意点について分かりやすく解説します。
長期相続登記等未了土地とは
はじめに、長期相続登記等未了土地についてもう少し詳しく解説します。
2024年4月1日から相続登記の義務化が始まりましたので、長期相続登記等未了土地の通知が来た場合は、できるだけ早く相続登記を行う必要があります。
長期相続登記等未了土地の定義
長期相続登記等未了土地とは、土地の所有者である被相続人が亡くなった後も長期間にわたり相続登記(名義変更)が行われていない不動産の総称です。
相続登記がされないまま時間が経過すると、法定相続人が増え、現在の所有者が分かりにくくなります。
その結果、土地の利用や売却、管理が難しくなり、社会的な問題となっています。
そこで、2018年に施行された「所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法」が制定され、相続登記を促せるようになりました。
法務局から通知が届く理由
法務局では、長期間相続登記が行われていない土地について、登記簿や戸籍などを調査し、法定相続人と考えられる人へ通知を送付しています。
通知の目的は、相続登記を促すことで所有者不明土地の増加を防ぐことです。
そのため、通知が届いたからといって、相続人であることが確定したわけではありません。
例えば、父親が相続放棄をしたが、相続した方が登記の書き換えをしなかった結果、通知が来る場合もあるでしょう。
また、通知が届いたからといって必ず罰則がかせられるわけではないので、落ち着いて対処しましょう。
相続登記義務化との関係
2024年4月1日から相続登記が義務化されました。
相続によって不動産を取得したことを知った日から3年以内に相続登記を行うことが原則となっており、正当な理由なく期限を過ぎると過料の対象となる可能性があります。
通知が届いた場合は、まず内容を確認し、自分が対象となる土地の相続人であるかを確認することが大切です。
長期相続登記等未了土地は相続放棄できる?
長期相続登記等未了土地を相続する場合、相続税が発生する可能性があります。
「土地も管理できないので相続放棄をしたい」と考える方もいるでしょう。
ここでは、長期相続登記等未了土地は相続放棄できるかどうかを解説します。
相続放棄の手続きと期限
相続放棄とは、相続によって取得する財産や負債を一切引き継がない手続きです。
相続放棄をする場合は、原則として自己のために相続が開始したことを知った日から3か月以内に、家庭裁判所へ申述しなければなりません。
申述には申請書類のほか、戸籍謄本や住民票など必要書類を提出します。
そのため、被相続人が亡くなったことを知ったときから3か月以内であれば相続放棄は可能です。
相続放棄が認められるケース
通知が届いた時点で3か月を過ぎている場合でも、相続放棄が認められる可能性があります。
例えば、以下のような場合は相続放棄が認められる可能性があります。
- 被相続人と長年交流がなく、死亡を知らなかった
- 相続財産が存在することを通知で初めて知った
- 土地の存在を全く把握していなかった
ただし、家庭裁判所が個別の事情を判断するため、必ずしも相続放棄ができるとは限りません。
相続放棄が認められないケース
一方で、相続財産を処分したり、管理行為を超える利用をしたりした場合は、相続を承認したと判断される可能性があります。
また、相続開始を知っていたにもかかわらず長期間何も手続きを行わなかったケースでは、相続放棄が認められないこともあります。
通知が届いた後は、自己判断せず税理士をはじめとする専門家へ相談することが重要です。
相続放棄できない場合の対応方法
ここでは、長期相続登記等未了土地が相続放棄できない場合の対処法をご紹介します。
名義の変更を行えば、売却する、賃貸に出すといった活用も可能です。
相続登記(名義変更)を行う
相続放棄ができない場合は、相続登記による名義変更を行う必要があります。
登記には戸籍や住民票、遺産分割協議書などの書類を取得・作成し、法務局へ提出します。
自分でも可能ですが、司法書士など専門家に依頼すれば確実に登記の変更が可能です。
遺産分割協議を進める
相続人が複数いる場合は、遺産分割協議によって土地を誰が取得するか決めます。
協議内容がまとまれば、遺産分割協議書を作成し、その内容に基づいて相続登記を進めます。
なお、複数の法定相続人がいて誰か1人だけが土地を相続する場合、相続人全員の合意が必要です。
相続人申告登記を利用する
すぐに相続登記ができない場合は、相続人申告登記を利用する方法もあります。
相続人申告登記を行うことで、一定の条件のもと相続登記義務を履行したものとみなされます。
長期相続登記等未了土地の通知が届いたらやるべきこと
ここでは、長期相続登記等未了土地の通知が届いたらやるべきことをご紹介します。
通知内容を確認する
まずは通知に記載された土地や被相続人の情報を確認しましょう。
自分が対象となる法定相続人かどうかを確認することが第一歩です。
法定相続人でない場合は、特に何もする必要はありません。
対処が必要なのは以下のような場合です。
- 土地の相続人になっていることを通知で知った
- 被相続人が亡くなっていたことを通知が届いたことをきっかけに知った
- 相続人が複数いて話し合いが必要
必要書類を準備する
手続きを進める場合は、戸籍謄本や住民票などの証明書を取得します。
相続関係が複雑なケースでは、追加書類が必要になることもあります。
分からない場合は、税理士などの専門家に相談しましょう
専門家へ早めに相談する
相続放棄が可能かどうかは、家庭裁判所が個別事情を踏まえて判断します。
判断を誤ると相続放棄が認められなくなる可能性もあるため、通知が届いたら司法書士や弁護士などの専門家へ相談することをおすすめします。
無料相談を実施している事務所もあるため、不安がある場合は早めに利用するとよいでしょう。
なお、市役所などの自治体も無料相談を行っています。
長期相続登記等未了土地と相続放棄に関するよくある質問
ここでは、長期相続登記等未了土地と相続放棄に関するよくある質問をご紹介します。
Q. 通知が届いたら必ず相続放棄できますか?
A. いいえ。相続放棄には期限があり、通知が届いたことだけを理由に認められるわけではありません。
Q. 相続人全員が相続放棄した場合はどうなりますか?
A.相続権は次順位の相続人へ移ります。状況によっては相続財産清算人の選任が必要になるケースもあります。
Q. 通知を放置しても問題ありませんか?
A.放置すると相続登記義務への対応が遅れ、手続きがさらに複雑になる可能性があります。通知が届いたら内容を確認し、必要に応じて専門家へ相談しましょう。
まとめ
長期相続登記等未了土地とは、相続登記が長期間行われていない土地のことです。法務局から通知が届いても、必ず相続放棄ができるわけではなく、原則として相続放棄は相続開始を知った日から3か月以内に家庭裁判所へ申述する必要があります。
ただし、土地の存在や相続の開始を知らなかったなど、事情によっては相続放棄が認められる可能性もあります。一方で、相続財産を処分するなど一定の行為を行うと、相続放棄が認められないケースもあるため注意が必要です。
通知が届いた際は放置せず、まずは内容を確認したうえで、必要に応じて司法書士や弁護士などの専門家へ相談しましょう。
状況に応じて適切な対応を取ることで、相続手続きを円滑に進められます。















