相続による不動産の名義変更を長い間放置してしまえば、月日が流れるにつれて手続きはみるみる複雑になり手続き費用も加算していきます。子や孫、その下の世代に苦労をかけないよう早めに手続きをしましょう。
ずっと相続登記をしていない、祖父名義の相続登記はどうすればよいの?
相続登記には期限がありませんので、未だに祖父名義の不動産(土地、家)があるという方は、とても多いです。(都市部の価値のある不動産ではなく、田舎や辺境の地、使わなくなった別荘などいわゆる「負動産」に多い。)
このまま放置し続けると、相続人はどんどん増え、だれが相続人か特定することも大変です。特定できても遺産分割協議がまとまるまで、莫大な手間や時間がかかったり、協議がまとまらない事態さえあり得ます。
そうすると、不動産(土地、家)を売却・賃貸などしたくてもできないといったデメリットばかりです。
なお、名義変更をしていない場合であっても、固定資産税の税負担やその放置不動産でおきてしまった事故などの管理者責任は相続人にあります。
早めの手続きをお勧めいたします。
~事例~
(1)祖父の死亡後、不動産の名義変更の手続きをしないまま、②父が死亡しました。これを「数次相続」といいます。
この場合、条件によっては、直接、孫へ相続登記することが可能です
(1)祖父の死亡(第一次相続)
(2)父の死亡(第二次相続)
この場合、祖父の相続に関する遺産分割協議は、祖父の相続人の全員でしていなければなりません。つまりおじと父の相続人である母・子A・子Bの計4名で協議をします。
本来、祖父の相続に関する遺産分割協議は父とおじの2名でよかったところ、当事者が増えてしまいました。
数次相続が発生してしまうと、相続関係が複雑になり遺産分割協議が困難になることもあります。
不動産の名義変更はほったらかしにせず早めの手続きをおすすめいたします。
この記事の執筆・監修
清澤 晃(司法書士・宅地建物取引士)
清澤司法書士事務所の代表。
「相続」業務を得意とし、司法書士には珍しく相続不動産の売却まで手がけている。
また、精通した専門家の少ない家族信託についても相談・解決実績多数あり。