最終更新日:2026年4月27日
相続による不動産の名義変更を長い間放置してしまえば、月日が流れるにつれて手続きはみるみる複雑になり手続き費用も加算していきます。子や孫、その下の世代に苦労をかけないよう早めに手続きをしましょう。

ずっと相続登記をしていない、祖父名義の相続登記はどうすればよいの?
これまで相続登記には期限がなく、祖父名義のままになっている不動産(土地・建物)が放置されているケースは少なくありませんでした。特に地方の不動産や利用予定のない別荘など、いわゆる「負動産」で多く見られる傾向がありました。
しかし、この点については大きな制度変更があります。2024年(令和6年)4月1日から、相続登記は義務化されました。
具体的には、相続によって不動産を取得したことを知った日から3年以内に相続登記を申請しなければならないとされており、正当な理由なくこれを怠った場合には、過料(10万円以下)の対象となる可能性があります。
また、この義務化は過去の相続にも適用されます。すでに発生している相続についても、2027年(令和9年)3月31日までに登記を行う必要があるため、長年放置している場合でも「まだ大丈夫」とは言えない状況になっています。
このまま放置し続けると、相続人が世代をまたいで増え、誰が相続人なのかを確定するだけでも大きな負担になります。戸籍の収集や関係図の作成に時間がかかるだけでなく、遺産分割協議の当事者が増えることで、話し合い自体がまとまらないケースも現実に起きています。
その結果、不動産を売却したい、賃貸に出したいと考えても、名義が整理されていないため手続きが進められないという問題が生じます。
さらに注意すべき点として、名義変更をしていなくても、固定資産税の納税義務や、管理不全による事故等の責任は相続人に及ぶとされています。名義を放置しても責任だけは残る、という状態です。
~事例~
(1)祖父の死亡後、不動産の名義変更の手続きをしないまま、②父が死亡しました。これを「数次相続」といいます。
この場合、条件によっては、直接、孫へ相続登記することが可能です
(1)祖父の死亡(第一次相続)
(2)父の死亡(第二次相続)

この場合、祖父の相続についての遺産分割協議は、祖父の相続人全員で行う必要があります。たとえば祖父の相続人が父とおじであった場合でも、父が亡くなっているため、父の相続人(母・子A・子Bなど)が父の地位を引き継ぎ、結果として当事者が増えることになります。
本来であれば祖父の相続は父とおじの2人で協議すれば足りたところ、数次相続が発生したことで関係者が増え、手続きが複雑化します。
なお、条件が整えば、祖父から孫へ直接名義変更を行う(いわゆる中間省略的な登記申請)ことが可能な場合もありますが、遺産分割の内容や相続関係によって可否が分かれるため、個別判断が必要です。
相続登記は「いつかやればよい手続き」ではなく、現在は期限とペナルティのある義務に変わっています。加えて、放置すればするほど関係者が増え、解決のハードルは確実に上がります。
祖父名義のままの不動産がある場合には、まずは相続関係の整理から着手し、できるだけ早い段階で名義変更を進めることが重要です。
この記事の執筆・監修
清澤 晃(司法書士・宅地建物取引士)
清澤司法書士事務所の代表。
「相続」業務を得意とし、司法書士には珍しく相続不動産の売却まで手がけている。
また、精通した専門家の少ない家族信託についても相談・解決実績多数あり。















