空き家問題にご注意

目次

空き家が増加している理由

空き家の取得原因の大部分が「相続」です。相続したが利用予定がなく、どうした良いかわからない、解体費用をかけたくないなどの理由により手つかずのまま放置してしまう人が増え、空き家は増加します。また、少子化の進行で両親の遺産が子ども1人に集中することも珍しくなく、中には、祖父母の家に、両親の家と、複数の相続した空き家を持つ相続人も増えてきています。

空き家が起こす問題

空き家はさまざまな問題を引き起こします。

<空き家を放置することで発生する問題>

(1)固定資産税の問題

(2)管理の問題

(3)犯罪に巻き込まれる可能性

(1)固定資産税の問題

空き家であっても固定資産税の支払義務は生じます。「住宅が建っていること」を条件に、「住宅用地の特例措置」が適用され固定資産税の負担は一部軽減されるものの、一定の税金を納めなくてはなりません。

※「住宅用地の特例措置」・・・具体的には、住宅用地の敷地面積20平方メートルまでの部分については土地の評価額を6分の1とし、20平方メートルを超える部分については3分の1として固定資産税を計算します。適用条件が「住宅が建っていること」なので、空き家を解体してしまうとこの特例が適用されなくなり、税金が高くなってしまいます。

しかし、今回の法改正により、空き家の管理状態によっては「特定空き家」に指定されてしまい、この指定がされると「住宅用地の特例措置」が受けられなくなり、固定資産税が数倍に跳ね上がりますのでご注意ください。

※「特定空き家」について

(2)管理の問題

家は人が住まなくなるとすぐに傷みます。特に木造の戸建て住宅は腐食しやすく、あっという間に傷んでしまいます。また、管理・手入れがされていない庭は荒れ放題となり、倒木が隣家に被害を及ぼしてしまうこともあります。その場合は、賠償責任が発生する可能性もあり非常に危険な状態です。このような状況にならないために、管理を続けるには、現地に定期的に通い、風を通すなど時間とお金が必要です。

(3)犯罪に巻き込まれるリスク

空き家に住み着く者がでてきたり、放火されてしまったケースもあります。管理不行き届きであるとして損害賠償の訴訟を起こされたケースもあり大変危険です。

空き家問題を解決するために

空き家の発生を抑えて活用を促す「空家対策特別措置法」などの改正案が成立しました。

内容は、管理状態が悪い空き家(=「特定空き家」)について、改善勧告に従わない場合は税優遇の対象から除外するというもので、空き家が発生しないよう対策を強化する目的です。

また、「特定空き家」だけでなく、その予備軍となる「管理不全空き家」も除外対象に加えることとなりました。空き家が放置される前に所有者に適切な管理を求め、早めに建物の解体や処分をしてもらうよう促すことで、防災や衛生面などで周囲に悪影響が及ぶことを防ごうというものです。

https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk3_000138.html 国土交通省HP

建物を取り壊し「空き地」にすれば、建物の腐食や倒壊などのリスクは回避できますが、更地にすると「住宅用地の特例措置」が受けられなくなるため、固定資産税はそれまでの数倍に上がります。「住宅用地の特例措置」の軽減措置を受けるため、建物を取り壊すことなく放置していた方も多いと思います。しかし、今回の法改正により、税額軽減のため建物を取り壊さない場合でも、管理状態の悪い空き家は「住宅用地の特例措置」の対象から除外されてしまいますので、建物を残していても税額軽減にはあまり功を奏さないかもしれません。

相続土地国庫帰属制度の可能性と問題点

空き家問題を解決すべく、2023427日から「相続土地国庫帰属制度(=続した土地で、必要のないものを国に引き取ってもらえる制度)」がスタートしましたが、この制度を活用するには、いくつかの厳しい条件をクリアしなくてはならず、使い勝手の良い便利な制度とは言い難いです。

※「相続土地国庫帰属制度」について

専門家に相談しましょう

不動産に関する問題は複雑で負担も大きく、知識が足りないと税金面含めあらゆる面で損をしてしまうことがあります。どうしたらよいかわからないときは、放置せず早めに専門家に相談することをお勧めします。そのまま放置することはご自身のためにも、周辺地域のためにも避けていただきたいです。不動産法律に関しては司法書士、税金に関しては税理士、不動産売却に関しては不動産屋と、専門分野はそれぞれなので、どこに相談したら良いか迷ってしまうこともあるかと思います。清澤司法書士事務所は、宅建業を持っている司法書士事務所でございます。不動産・空き家の相談窓口は弊所をお選びください。面倒な手続きを一括でサポートします。司法書士であり、不動産屋なので多面からのアプロ―チ・提案を致します。

清澤司法書士事務所は相続・不動産売却に特化しており豊富な実績を有しております。
わからないことはぜひお気軽にご相談ください。

この記事の執筆・監修

清澤 晃(司法書士・宅地建物取引士)
清澤司法書士事務所の代表。
「相続」業務を得意とし、司法書士には珍しく相続不動産の売却まで手がけている。
また、精通した専門家の少ない家族信託についても相談・解決実績多数あり。

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