遺言書に書かれていたはずの財産がない場合はどう分ける?

最終更新日:2026年4月13日

財産が「ない・足りない」場合の正しい対応

遺言書があれば相続はスムーズに進む…そう思われがちですが、実際には「遺言どおりに分けられない」という場面も少なくありません。

たとえば、「遺言に書かれていた不動産がすでに売られていた」「指定された金額ほど現金が残っていなかった」といったケースです。

このような場合、遺言書は無効になるのでしょうか。それとも別の対応が必要なのでしょうか。当記事では遺言書通りに分けられない場合の対処法についてポイントをおさえて解説します。

目次

遺言書に書かれていた財産がなくなっていたら?

まず押さえておきたいのは、「財産がなくなっていても遺言書自体は無効にならない」という点です。ただし、書かれている内容がそのまま実行できないため、相続人同士で調整が必要になります。

たとえば、不動産が生前に売却されていた場合、その売却代金が残っていれば遺産として扱い、全体のバランスを見ながら分け方を考えます。

一方で、そのお金がすでに使われている場合は、残っている財産について改めて相続人全員で話し合うことになります。

「〇〇に1,000万円」と書いてあるのに足りない場合は?

この場合、「不足分を誰かが補う必要があるのか?」という疑問がよく出ます。結論として、不足分が自動的に補われることはありません。

実際に残っている範囲で遺言を実行するのが原則です。ただし、相続人全員が納得していれば、遺言と異なる分け方をすることも可能です。

ここで注意したいのは、相続人以外の人(受遺者)が関係している場合です。その方の同意も必要になります。

また、財産がない場合だけでなく、財産が増える場合や遺言に書かれていない財産があるケースも考えられます。

例えば、遺言書に記載がない不動産がある場合や遺言書作成後に購入したケースです。この場合は、遺言書とは別に指定がない財産について誰が相続するか話し合いを行う必要があります。

【参考コラム】
遺言に書いていない財産が出てきたらどうする?

財産内容が変わったら遺言の書き換えが必要

特定の財産を売却した場合や、費消により財産の内容が変わり、遺言どおりに分けることができなくなった場合は、遺言書の書き換えをした方がよいでしょう。

法律上は有効な遺言でも、財産内容が大きく変わってしまったことで、そのまま分けることに違和感を感じるケースも多くありますし、せっかく対策として遺言を書いたにもかかわらず、実際には遺言が書かれていることでかえって揉めてしまう可能性もあります。遺言書があっても、家庭裁判所での調停や審判が必要となる状況になることもあります。

遺言書の書き換えを行わないと指定通りに分けられないだけでなく、遺留分を侵害してしまうケースもあります。遺留分は配偶者や子ども等に認められた最低限の財産を相続する権利です。遺留分を侵害し、侵害された者が請求した場合は、遺言書のとおりに分けられなくなります。

遺言書は何度でも書き換えすることが可能です。自筆証書遺言は何度でも気軽に書き換えができますが、公正証書遺言は書き換えするために費用もかかります。しかし、遺言作成から時間が経過した時は財産の内容の変化や生前贈与により特別受益がないかなど、遺言の内容について問題ないか定期的に確認した方がよいでしょう。

また、近年は高齢化により、認知症などで書き換えができずに家族が困るケースも多くあります。親族が困らないように、早めに手続きを進めるようにしましょう。

2026年4月、パソコンやスマートフォンで作成できる「保管証書遺言(いわゆるデジタル遺言)」の導入を含む法改正案が閣議決定されました。将来的には見直しや更新がしやすくなることが期待されていますが、現時点ではまだ施行されておらず、今すぐ使える制度ではありません。現段階では、自筆証書遺言や公正証書遺言を活用するのが現実的です。

まとめ:確実な遺言書は専門家に相談を

遺言書があっても、「財産がない・足りない」という状況では、そのまま実行できないことがあります。その場合は、遺言の趣旨を踏まえつつ、相続人全員で調整することが基本になります。

そして何より重要なのは、遺言書を「最新の状態に保つこと」です。定期的な見直しが、将来のトラブルを防ぎます。

遺言の作成や相続財産の分割の手続きは非常に複雑で、知識や経験が少ない人が進める場合は対応が難しいケースもあるでしょう。相続手続きの流れが分からない場合は専門家に相談し、確認しながら進めることをおすすめします。

特に死亡時点の預金や不動産など遺産の額の合計が基礎控除を超えており、相続税の申告が必要な場合、相続発生から10カ月以内に申告が必要となります。基礎控除は3,000万円+法定相続人×600万円で計算を行いますが、東京などアクセスのよいエリアに自宅があるだけで超えるケースもあります。財産の評価や計算は正確に行う必要があります。万が一誤った申告をした場合、税務署の調査で指摘される可能性もあります。

金融機関の手続きも平日しかできないなどさまざまな理由で進まないケースがあります。相続手続きにお悩みの場合は専門家に相談するとよいでしょう。

清澤司法書士事務所では、相続に関するさまざまな問題を解決しております。初回の相談はサービスで無料で対応しておりますので、お電話やメール等でお気軽にご連絡ください。

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