目次
- 借地に建つ家は相続できるのか
- 借地権とは何か
- 借地権は相続財産として引き継がれる
- 地主の承諾がなくても相続できる理由
- 借地に建つ家を相続したときの主な手続き
- 建物の相続登記を行う
- 遺産分割で借地権付き建物の取得者を決める
- 地主へ相続の連絡をしておく
- 借地に建つ家を相続した場合の地主との関係
- 相続自体に地主の承諾は必要ない
- 地代の支払い義務は相続人に引き継がれる
- 借地契約の更新や条件変更
- 借地に建つ家の相続で注意したいポイント
- 地代の滞納がある場合の扱い
- 建物の建て替えや増改築
- 借地権の譲渡には地主の承諾が必要
- 借地に建つ家を相続した後の選択肢
- そのまま住み続ける
- 借地権付き建物として売却する
- 相続放棄を検討するケース
- 借地に建つ家の相続でよくある質問(FAQ)
- 借地に建つ家の相続で地主への名義変更は必要ですか?
- 借地権付きの家は自由に売却できますか?
- 借地の家だけ相続放棄することはできますか?
- 借地に建つ家の相続で悩みやすい「底地」との関係
- 借地権の買い取りや処分を検討するケース
- 地主に借地権を買い取ってもらう
- 建物を解体して土地を返す
- 法定相続人以外が取得する場合の注意点
- 借地相続は早めに専門家に相談することも大切
借地に建つ家は相続できるのか
土地を借りてその上に家を建てている場合、その家は「借地権付き建物」と呼ばれます。
相続が発生した際、「借地に建つ家は相続できるのか」「地主の許可が必要なのか」と不安に思う人も少なくありません。
結論から言えば、借地に建つ家と借地権は基本的に相続することが可能です。
ただし、土地の所有者は地主であるため、通常の土地付き住宅とは異なる点もあります。
ここでは、借地に建つ家の相続の仕組みや手続き、地主との関係についてわかりやすく解説します。
借地権とは何か
借地権とは、土地の所有者(地主)から土地を借りて建物を建てる権利のことです。
一般的には、借地契約を結び、毎月または毎年「地代」を支払うことで土地を利用します。
借地権には主に次のような種類があります。
-
普通借地権
普通借地権の場合は契約更新が可能で、長期間土地を利用することができます。
一方、定期借地権は契約期間満了で終了することが原則です。
借地に建つ家を相続する場合は、建物と一緒に借地権も引き継ぐことになります。
借地権は相続財産として引き継がれる
借地権は、法律上「財産権」の一つとされており、相続財産に含まれます。
そのため、建物の所有者が亡くなった場合は、建物とともに借地権も相続人に引き継がれます。
つまり、
-
借地に建つ建物
-
土地を使用する借地権
この2つがセットで相続されることになります。
遺言書がある場合はその内容に従い、遺言書がない場合は相続人同士で遺産分割を行い、誰が借地権付き建物を取得するのかを決めます。
地主の承諾がなくても相続できる理由
借地に建つ家を相続する場合、地主の承諾は原則として必要ありません。
これは、相続が「権利の承継」であり、売買や譲渡とは異なるためです。
売却などの場合には地主の承諾が必要になるケースがありますが、相続の場合は法律上当然に権利が引き継がれます。
そのため、相続(法定相続人への承継)地主の許可は不要であり、名義書換料(承諾料)も支払い義務はありません。
ただし、後のトラブルを避けるためにも、相続が発生したことは地主に連絡しておくことが望ましいでしょう。
借地に建つ家を相続したときの主な手続き
借地に建つ家を相続した場合でも、基本的な相続手続きの流れは通常の不動産と大きく変わりません。
ただし、地主との関係もあるため、いくつか注意点があります。
ここでは、主な手続きを確認しておきましょう。
建物の相続登記を行う
借地に建つ家を相続した場合は、建物の相続登記(名義変更)を行う必要があります。
相続登記とは、亡くなった人の名義になっている不動産を相続人の名義に変更する手続きです。
2024年からは相続登記が義務化されており、相続を知ってから3年以内に登記を行う必要があります。
主な必要書類には次のようなものがあります。
登記は法務局で行うことができ、司法書士などの専門家に依頼することも可能です。
遺産分割で借地権付き建物の取得者を決める
相続人が複数いる場合は、誰が借地権付き建物を取得するのかを遺産分割で決める必要があります。
主な分け方には次のような方法があります。
-
1人の相続人が取得する
-
売却して代金を分ける
-
共有名義にする
ただし、借地に建つ家を共有名義にすると、後の売却や建て替えの際に全員の同意が必要になり、トラブルになることもあります。
そのため、借地権付き建物はできるだけ1人が取得する形にすることが多いと言われています。
地主へ相続の連絡をしておく
相続自体に地主の承諾は必要ありませんが、相続が発生したことを地主へ連絡しておくことが一般的です。
連絡しておくことで、
-
地代の支払先の確認
-
借地契約の確認
-
今後の契約更新の相談
などをスムーズに進めることができます。
地主へは『相続により権利を承継した』旨を通知するに留め、新たな契約書の作成や書き換えには慎重になる必要があります。
安易に新契約を結ぶと、旧法(借地法)の有利な条件を失うリスクがあるためです。
借地に建つ家を相続した場合の地主との関係
借地に建つ家を相続した場合、土地の所有者はあくまで地主です。
そのため、相続後も地主との契約関係は続くことになります。
ここでは、相続後の地主との関係について確認しておきましょう。
相続自体に地主の承諾は必要ない
先ほど説明した通り、借地権は相続によって自動的に引き継がれます。
そのため、相続する際に地主の承諾を得る必要はありません。
ただし、
-
借地権を売却する
-
第三者に譲渡する
-
建物を建て替える
などの場合には、地主の承諾が必要になるケースがあります。
地代の支払い義務は相続人に引き継がれる
借地契約がある場合、土地を利用する対価として地代を支払う必要があります。
相続が発生した場合、この地代の支払い義務も相続人に引き継がれます。
そのため、
-
支払方法
-
支払先
-
地代の金額
などを地主と確認しておくことが重要です。
もし地代を滞納してしまうと、契約解除などのトラブルに発展する可能性もあるため注意が必要です。
借地契約の更新や条件変更
借地契約には契約期間が定められていることが多く、契約期間が満了すると更新が必要になります。
普通借地権の場合、原則として更新が認められることが多いですが、
-
更新料の支払い
-
地代の見直し
などが行われることもあります。
また、相続後に建物の建て替えや売却を検討する場合には、地主との協議が必要になることもあります。
借地に建つ家を相続した場合は、借地契約の内容をしっかり確認しておくことが重要です。
借地に建つ家の相続で注意したいポイント
借地に建つ家を相続する場合、建物の相続手続きだけでなく、土地を借りているという点でいくつか注意しておきたいポイントがあります。
特に、地代の支払い状況や建物の建て替え、借地権の取り扱いなどは、後のトラブルにつながる可能性もあるため事前に確認しておくことが重要です。
ここでは、借地に建つ家を相続する際に知っておきたい主な注意点を解説します。
地代の滞納がある場合の扱い
借地契約では、土地を利用する対価として地主に地代を支払う義務があります。
もし被相続人が生前に地代を滞納していた場合、その支払い義務も相続人に引き継がれる可能性があります。
そのため、相続が発生した際には次の点を確認しておくことが重要です。
-
地代の支払い状況
-
未払いの地代があるかどうか
-
借地契約の内容
長期間地代を滞納している場合、契約解除の問題が生じる可能性もあります。
相続後にトラブルを防ぐためにも、地主と状況を確認し、必要であれば支払い方法について相談することが望ましいでしょう。
建物の建て替えや増改築
借地に建つ家の場合、建物の建て替えや大規模な増改築を行う際には地主の承諾が必要になることが一般的です。
これは、土地の所有者が地主であるため、土地の利用方法が大きく変わる可能性があるからです。
例えば次のようなケースです。
-
古くなった家を建て替える
-
二世帯住宅に建て替える
-
大規模なリフォームを行う
借地契約の内容によっては、建て替えの際に承諾料が必要になることもあります。
そのため、相続した後に建て替えを検討している場合は、事前に借地契約の内容を確認しておくことが大切です。
借地権の譲渡には地主の承諾が必要
借地権を第三者に売却する場合は地主の承諾が必要です。また、第三者への売却だけでなく、法定相続人以外への『遺贈』(遺言で特定の友人に譲るなど)の場合も、地主の承諾と承諾料が必要になる点に注意してください。
これは、土地の利用者が変わることになるためです。
また、地主の承諾を得る際には、
-
承諾料(譲渡承諾料)
-
契約条件の確認
などが必要になることがあります。
ただし、正当な理由があるにもかかわらず地主が承諾しない場合には、裁判所に許可を求めることができる制度もあります。
借地権付き建物を売却する際は、不動産会社や専門家に相談することが多いでしょう。
建つ家を相続した後の選択肢
借地に建つ家を相続した場合、必ずしもその家に住み続けなければならないわけではありません。
状況によっては、売却や相続放棄などを検討することもあります。
ここでは、相続後の主な選択肢を紹介します。
そのまま住み続ける
借地に建つ家を相続した場合、そのまま住み続けることが最も一般的なケースです。
この場合は、
-
地代を引き続き支払う
-
借地契約の内容を守る
という形で、これまでと同じように土地を利用することになります。
借地権は長期間利用できることが多いため、居住用としてそのまま利用する人も少なくありません。
借地権付き建物として売却する
借地に建つ家は、借地権付き建物として売却することも可能です。
借地権付きの不動産は、
-
土地を購入する必要がない
-
価格が比較的安い
といった理由から、一定の需要があります。
ただし、先ほど説明した通り、借地権の譲渡には地主の承諾が必要になることが多いため、売却を検討する場合は地主との協議が必要になることがあります。
相続放棄を検討するケース
借地に建つ家の状況によっては、相続放棄を検討するケースもあります。
例えば次のような場合です。
-
建物が老朽化している
-
地代の負担が大きい
-
建物の価値がほとんどない
このような場合、相続しても維持費や管理の負担だけが残る可能性があります。
相続放棄をすると、借地権付き建物を含めてすべての遺産を相続しないことになります。
相続放棄には期限があり、相続開始を知ってから3か月以内に家庭裁判所で手続きを行う必要があります。
借地に建つ家の相続でよくある質問(FAQ)
借地に建つ家の相続については、地主との関係や借地権の扱いなど、一般の不動産とは異なる点が多くあります。
ここでは、よくある質問を紹介します。
借地に建つ家の相続で地主への名義変更は必要ですか?
相続によって借地権が引き継がれる場合、地主の承諾を得て名義変更を行う必要は基本的にありません。
ただし、相続人が変わったことを地主に伝えておくことで、
-
地代の支払い
-
契約内容の確認
などを円滑に進めることができます。
そのため、実務上は地主に相続の連絡をしておくことが一般的です。
借地権付きの家は自由に売却できますか?
借地権付き建物は売却することが可能ですが、借地権の譲渡になるため地主の承諾が必要になるケースが多いです。
また、地主に対して承諾料を支払う必要がある場合もあります。
借地権付き建物の売却を検討する場合は、不動産会社や専門家に相談することでスムーズに進めることができます。
借地の家だけ相続放棄することはできますか?
相続放棄は、特定の財産だけを選んで放棄することはできません。
そのため、
-
借地に建つ家だけ放棄する
-
他の財産だけ相続する
ということはできません。
相続放棄をする場合は、借地権付き建物を含めてすべての遺産を相続しないことになります。
借地に建つ家の相続で悩んでいる場合は、早めに司法書士や弁護士などの専門家に相談することが大切です。
借地に建つ家の相続で悩みやすい「底地」との関係
借地に建つ家の相続では、建物を自分が所有していても、土地は地主が所有しているという点が大きな特徴です。
このとき地主が持っている土地の権利は「底地」と呼ばれます。
借地権付きの不動産は、
-
建物(相続人が所有)
-
借地権(土地を借りる権利)
-
底地(地主の土地所有権)
という関係で成り立っています。
そのため、相続した後に
-
建物を売却する
-
借地契約を更新する
-
土地を買い取る
といった場面では、地主との調整が必要になることがあります。
借地権付きの不動産は一般の不動産とは異なり、底地との関係を理解しておくことが重要です。
借地権の買い取りや処分を検討するケース
借地に建つ家を相続したものの、
-
自分は住む予定がない
-
建物が古く管理が難しい
-
地代の負担が大きい
といった理由で、処分を検討する人も少なくありません。
そのような場合には、次のような方法が考えられます。
地主に借地権を買い取ってもらう
借地権は、地主に買い取ってもらう形で解決することもあります。
この場合、借地権の価格は地域の相場や土地の条件によって変わります。
一般的には
-
借地権割合
-
土地価格
-
契約期間の残り
などをもとに評価されます。
ただし、必ずしも地主が買い取りに応じるとは限らないため、交渉が難しいケースもあります。
建物を解体して土地を返す
建物が老朽化している場合は、建物を解体して土地を地主に返すという方法もあります。
借地契約が終了する際、建物を取り壊して更地にする義務(原状回復義務)があるのが一般的ですが、『建物買取請求権』を行使できる場合もあります。
ただし、
-
解体費用
-
残存価値
-
地主との合意
などを考慮する必要があり、実務では判断が難しいこともあります。
法定相続人以外が取得する場合の注意点
借地権は通常、法定相続人が相続する場合には地主の承諾は不要です。
しかし、遺言などによって法定相続人以外の人が取得する場合には、地主の承諾が必要になることがあります。
この場合、地主から
-
承諾料の請求
-
契約条件の確認
などが求められることがあります。
承諾料の相場は、借地権価格の約10%程度とされることが多いですが、実際の金額は個別の事情によって変わります。
借地相続は早めに専門家に相談することも大切
借地に建つ家の相続は、
-
底地との関係
-
地主との交渉
-
借地契約の内容
-
売却や処分の方法
など、通常の不動産相続以外にも確認すべき点が多くあります。
また、相続人が複数いる場合は、それぞれの意見がまとまらず、
-
売却するか
-
住み続けるか
-
地主に買い取ってもらうか
といった判断で悩みが生じることもあります。
借地権付きの不動産は権利関係が複雑なため、早めに司法書士や弁護士などの専門家へ気軽に相談することで、スムーズに解決できるケースも多いでしょう。
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