相続用語集:成年後見制度

認知症、知的障害、精神障害などの理由により自分で法的な判断(遺産分割協議など)をすることが難しい方を支援するための制度。

家庭裁判所が選任した成年後見人等が、本人に代わって財産管理や契約行為を行う。制度には「法定後見」と「任意後見」の2種類がある。

法定後見制度

本人の判断能力の程度に応じて、「後見」「保佐」「補助」の3類型に分かれる。

  • 後見:判断能力が常に欠けている状態(成年後見人が選任される)
  • 保佐:判断能力が著しく不十分な状態(保佐人が選任される)
  • 補助:判断能力が不十分な状態(補助人が選任される)

任意後見制度

判断能力があるうちに、将来に備えてあらかじめ後見人を選び、契約しておく制度。本人の意思を尊重できる点が特徴。

相続における注意点

相続人の中に判断能力が不十分な方がいる場合、その方が遺産分割協議に参加するには成年後見人等の選任が必要となる。後見人等がいない状態で行った遺産分割協議は無効となるため、相続手続きを進める前に家庭裁判所への申立てが必要。

また、成年後見人と本人が同じ相続の当事者である場合(例:親の相続で子が親の後見人になっているケース)は、利益相反となるため、家庭裁判所に「特別代理人」の選任を申し立てる必要がある。

2024年4月から「成年後見制度利用促進法」の改正法が施行され、本人の意思決定支援がより重視されるようになった。後見人等は、本人の意思をできる限り尊重し、本人らしい生活を送れるよう支援することが求められている。

また、不動産の売却や大きな財産処分については、家庭裁判所の許可が必要となるケースが多く、手続きには時間がかかることがある。相続不動産の売却を検討する場合は、早めの準備が重要となる。

読み方:せいねんこうけんせいど

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