最終更新日:2026年2月6日
相続にまつわる税金は「不動産」で大きく変わる
相続の税金は、亡くなった方がどんな不動産を持っていたか、また家族がどのような状況かによって大きく変わります。
特に自宅を相続する場合は、制度を知っているかどうかで、支払う税金が数百万円単位で変わることもあります。
ここでは、高齢化が進む日本で増えている「親が一人暮らしだったケース」を中心に、相続で使える特例や注意点を、具体例を交えてわかりやすく解説します。
Q.相談者Aさんの父親はすでに亡くなっており、母親が一人で実家に住んでいました。Aさん自身は別の家で暮らしており、母親は遺言を残さないまま亡くなりました。実家は築35年以上の古い家で、維持費もかかるため売却を考えています。相続税や売却で使える制度はあるのでしょうか。
相続税が大きく変わる「小規模宅地等の特例」とは
自宅や事業用の土地について、相続税の評価額を最大80%減らせる制度が「小規模宅地等の特例」です。
居住用宅地で対象になるのは、
① 配偶者
② 同居していた親族
③ 持ち家のない別居親族(子や孫など)
のいずれかに該当する場合です。
たとえば、夫が亡くなり、相続人が配偶者と別居の息子だけであれば、配偶者が自宅を相続することで、330㎡まで評価額を80%減らせます。
しかし、父がすでに亡くなり、母が一人暮らしをしていた場合は注意が必要です。別居している息子に持ち家があると、この特例は使えません。そのまま息子が自宅を相続すると、評価額が下がらず、相続税が高額になってしまいます。
そこで、息子の子ども(孫)が持ち家を持っていない場合には、孫を養子にする、または遺言で孫に遺贈することで③に該当し、特例を使える可能性が生まれます。
ただし、今回の事例では母親が遺言を残していなかったため、この特例を受けることはできませんでした。
相続した自宅を売るときは「耐震基準」に注意
今回の自宅は築35年以上で、旧耐震基準の建物でした。維持費の負担を考え、売却を検討していたAさんが使えたのが、2016年の税制改正で創設された特例です。
旧耐震基準の家を相続した場合、耐震改修をして売却する、または解体して更地で売却すると、譲渡所得から3,000万円の特別控除を受けられます。
期限内に売却できたため、Aさんはリフォーム後に転売し、約600万円の節税につながりました。
この制度の背景には、全国で増え続ける空き家問題があります。
2015年施行の「空き家対策特別措置法」では、危険な空き家を放置すると、固定資産税が最大6倍になる可能性もあります。将来、損をしないためにも、遺言と不動産の見直しは早めに行うことが大切です。
Q.個人事業主Bさんは、自宅兼工場(1億円)と預金(2,000万円)、合計1億2,000万円の財産を持っています。配偶者はすでに亡くなっており、相続人は長男と次男の2人です。長男は会社員、次男は工場で働いており、事業は次男が継ぐ予定です。Bさんは工場を次男に引き継がせたいと考えていますが、長男が納得するか心配です。
預金だけでは遺留分を補えないこともある
相続で見落とされがちなのが、事業を継がない家族への配慮です。
このケースでは、長男にも遺留分(最低限保障される取り分)があり、その金額は約3,000万円です。預金2,000万円をすべて長男に渡しても足りず、工場を売却すれば事業が続けられません。
そこで役立つのが「代償分割」です。
代償分割を使うときの注意点
代償分割とは、遺産を多く受け取った相続人が、他の相続人にお金(代償金)を支払う方法です。
ただし、遺産分割協議書に「代償分割である」と明記しないと、代償金が贈与とみなされ、贈与税がかかる可能性があります。
代償金の準備には生命保険を活用する方法もあります。
保険金は受取人固有の財産で、遺産分割の対象外となるため、次男を受取人にしておけば、長男への代償金に充てることができます。
なお、保険料を誰が負担するかによって課税関係が変わるため、加入方法には注意が必要です。
Q.相談者Cさんの父親は、大震災で津波にのまれ、生死不明のままです。震災から1年が経ち、実家は無人で傷みも激しく、売却を考えています。この場合、相続はどのように進めればよいのでしょうか。
生死不明の場合に必要となる家庭裁判所の手続き
震災や事故で家族が生死不明になった場合、相続を進めるには家庭裁判所で「失踪宣告」を申し立てる必要があります。
失踪宣告には次の2種類があります。
- 普通失踪
7年以上生死不明の場合に申し立てができ、6か月の公告期間を経て死亡とみなされます。 - 危難失踪
震災・事故・戦争など、生命の危険がある状況に遭遇し、1年以上生死不明の場合に適用されます。
公告期間は2か月以上で、災害に遭った時点で死亡したものとして扱われます。
失踪宣告が確定してはじめて、相続手続きを進めることができます。
その後、生存が確認された場合には、失踪宣告を取り消すことも可能です。
なお、失踪宣告が確定した後に、失踪宣告を受けた人が生きていることがわかった場合、本人や相続人などの利害関係者から請求があれば、家庭裁判所で失踪宣告を取り消すことができます。
まとめ:相続の不安は、早めの相談で大きく減らせます
相続や贈与は、家族構成や財産内容によって一つひとつ異なります。
「これってどうなるの?」という小さな疑問でも構いません。
清澤司法書士事務所では、お電話またはお問合せフォーム、LINEからご相談を受け付けています。
手続きが必要な場合は、事前に費用のお見積りをご案内し、ご納得いただいてから進めます。相談だけで費用が発生することはありませんので、安心してご連絡ください。
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