最終更新日:2026年4月10日
相続土地国庫帰属制度をわかりやすく解説
親から土地を相続したものの、「遠方で管理できない」「草刈りや境界確認が不安」「正直、この土地はいらない」と感じていませんか。こうした悩みを背景に創設されたのが「相続土地国庫帰属制度」です。
ここでは、「そもそもどんな制度なのか」「自分も使えるのか」といった疑問に自然に答える形で、制度の全体像と注意点をわかりやすく整理します。
目次
- なぜ相続土地国庫帰属制度が生まれたのか
- この制度で何ができるのか
- 自分の土地も対象になる?
- 承認されにくい土地とは?
- 費用やデメリットも理解しておきたい
- どんな人に向いている制度?
- まとめ :「持ち続けるしかない」を変える選択肢
なぜ相続土地国庫帰属制度が生まれたのか
相続した土地が放置され、所有者がわからなくなる「所有者不明土地問題」は、全国で深刻化しています。
相続登記がされないまま世代を重ねると、所有者の特定に膨大な時間と手間がかかり、公共事業や災害復旧の妨げになることもあります。また、管理されない土地は、雑草の繁茂や倒木などにより、近隣トラブルの原因にもなります。
こうした問題を背景に、2023年4月から「相続土地国庫帰属制度」がスタートしました。相続した土地を一定の条件のもとで国に引き渡せるようにし、管理負担の軽減と問題の予防を同時に図る制度です。
この制度で何ができるのか
この制度を利用すると、相続した土地の所有権を国に移し、自分で管理する必要がなくなります。固定資産税の負担もなくなるため、「使い道のない土地を持ち続ける不安」から解放されます。
ただし、「どんな土地でも引き取ってもらえる制度」ではありません。国が管理することに支障がない土地だけが対象となり、審査に通らなければ利用できません。
また、一度国に引き渡した土地は、後から取り戻すことはできません。
制度のイメージとしては、「相続放棄とは異なり、土地だけを選んで手放せる仕組み」と理解すると整理しやすいでしょう。
自分の土地も対象になる?
対象となるのは、相続や遺贈によって取得した土地です。宅地・農地・山林といった種類は問いません。
ただし、重要なのは「国が管理しやすい状態かどうか」です。
たとえば、境界が明確であるか、第三者の権利が複雑に絡んでいないか、危険な状態ではないかといった点が審査で重視されます。
つまり、「申請は幅広く可能だが、承認されるかどうかは土地の状態次第」と理解しておくことが大切です。
承認されにくい土地とは?
実際の運用では、すべての土地がスムーズに承認されるわけではありません。
特に注意が必要なのが山林です。面積が広い、傾斜が急、倒木のリスクがあるといった場合、国の管理負担が大きくなるため、審査は厳しくなります。
また、境界が不明確な土地や、他人の権利(通行権や賃借権など)が関係している土地も、承認されにくい傾向があります。
ただし、「山林だから不可」というように一律で判断されるわけではありません。あくまで個別の状態によって判断されるため、事前の確認が重要になります。
費用やデメリットも理解しておきたい
制度には明確なメリットがある一方で、見落としがちなポイントもあります。
国庫帰属制度を利用するときは、まず申請段階で「審査手数料」が必要になります。これは土地1筆につき1万4,000円で、審査の結果が承認でも不承認でも返金されません。
そして、審査に通って国が土地を引き取ることを承認した場合には、もう一つ「負担金」という費用を納める必要があります。負担金とは、国がその土地を今後管理していくために必要となる費用を、あらかじめ相続人が負担するという考え方で、法律上は「国が10年間管理するために必要な標準的な費用」を基準に算定されています。
金額は土地の種類によって異なります。宅地や農地は原則20万円と定められていますが、森林の場合は面積に応じて計算されるため、広い山林では金額が大きくなることがあります。特に山林は管理に手間がかかるため、宅地より高額になる傾向があります。
負担金は「承認された場合にだけ必要になる費用」であり、申請しただけでは発生しません。ただし、審査に通らない可能性もあるため、申請手数料と合わせて、事前に費用の見通しを立てておくことが大切です。また、一度国に引き渡した土地は取り戻すことができないため、費用面だけでなく、家族の意向や将来の利用可能性も含めて慎重に判断する必要があります。
【参考サイト】
法務省「相続土地国庫帰属制度の負担金」
※負担金額の自動計算シート(Excelファイル)掲載
どんな人に向いている制度?
この制度は、すべての人に必要というわけではありませんが、次のような悩みを持つ方には現実的な選択肢になります。
遠方にある土地を管理できず困っている場合や、山林・農地を持て余している場合、将来の世代に負担を残したくないと考えている場合には、特に検討価値があります。
また、「預貯金などは相続したいが、土地だけは不要」というケースにも適しています。
まとめ :「持ち続けるしかない」を変える選択肢
相続した土地は、「使わなくても持ち続けるしかない」と思われがちでした。
しかし、相続土地国庫帰属制度の登場によって、「手放す」という現実的な選択肢が生まれています。
もっとも、実際に利用できるかどうかは、土地の状態や費用、将来設計などを踏まえて慎重に判断する必要があります。
「自分の土地でも使えるのか」と感じた段階で、一度専門家に相談してみることが、後悔のない判断につながります。
清澤司法書士事務所では、株式会社中野リーガルホームの不動産売却部門も備えており、相続から売却・活用・手放し方まで一貫してサポートしています。国庫帰属制度を含めた選択肢の整理についても、ご相談ください。初回相談は無料です。















