最終更新日:2026年4月7日
親が高齢となって、現状認知症になって一人で生活できないほどではないものの、老後の財産管理に不安があるという方は多いのではないでしょうか。
そのような場合に活用すると良いのが任意後見制度です。当記事では任意後見制度のメリットや注意点についてポイントを抑えて解説します。
目次
- 任意後見制度とは
- 任意後見制度利用までの流れ
- 任意後見制度のメリット
- 任意後見制度の注意点
- 取消権・同意権がない
- 家庭裁判所に申し立てが必要
- 費用がかかる
- 相続発生後の対策にはならない
- 制度の概要を理解することが重要
任意後見制度とは
任意後見制度は民法で定められている制度で、自分の判断能力が低下したときに、誰に後見人を依頼するかをあらかじめ決めておく仕組みです。法定後見制度と任意後見制度は、いずれも判断能力が低下した際に後見人が法律行為をサポートする点は共通しています。
しかし、成年後見制度に代表される法定後見制度は、判断能力が低下した後に家庭裁判所が後見人を選任するのに対し、任意後見契約は本人が元気なうちに自分で契約を結ぶ点が大きな違いです。
任意後見人は司法書士や弁護士などの資格を有している必要はありません。未成年者など一部の人はなることができませんが、基本的には多くの人が任意後見人になることができます。
任意後見制度利用までの流れ
実際に任意後見制度を利用するまでの流れを解説します。
まず、事前に内容について打ち合わせをした後、公証役場で公正証書を作成し、将来任意後見人となる任意後見受任者と契約を結びます。
その後、状況が変化して判断能力が低下したときに、家庭裁判所へ任意後見監督人選任の申立てを行います。申立ては本人のほか、配偶者、四親等以内の親族、任意後見受任者が行うことが可能です。
申立てが受理されると、任意後見監督人が選任されます。任意後見監督人とは、任意後見人の事務を監督し、適切に業務が行われているかを確認する第三者です。任意後見が開始すると、任意後見人は任意後見事務報告書、財産目録、収支予定表を作成し、任意後見監督人に提出する必要があります。
後見が開始されると、任意後見人は本人に代わって財産管理の事務を行います。
任意後見制度のメリット
任意後見制度の最大のメリットは、自分が信頼できる人に、どのような支援をしてもらうかを事前に決めておけることです。認知症などで判断能力が低下してから法定後見制度を利用する場合、自分で後見人を選ぶことはできません。
後見人は預貯金や不動産などの財産管理を行う強い権限を持ちます。判断能力が低下した後も、信頼できる人に任せられるという点は大きな安心材料となるでしょう。
任意後見制度の注意点
任意後見制度の利用を検討する際にどのような点に注意をすればよいのでしょうか。具体的に確認しておきましょう。
取消権・同意権がない
任意後見人には取消権や同意権がありません。そのため、被後見人が不要な高額商品を購入してしまっても、任意後見人が契約を取り消したり、代金の返還を法的に請求したりすることはできません。
成年後見人(法定後見)には取消権・同意権が認められているため、この点は両制度の大きな違いです。
家庭裁判所に申し立てが必要
任意後見制度は本人が元気なうちに契約を結びますが、実際に後見を開始するには家庭裁判所での手続きが必要です。任意後見監督人が選任されるまでに1か月程度かかることもあり、手間や時間がかかる点はデメリットといえます。
費用がかかる
任意後見制度を利用するには、公正証書の作成費用、家庭裁判所への申立費用、任意後見人・任意後見監督人の報酬など、さまざまな費用が発生します。後見開始後は基本的に亡くなるまでサポートが続くため、費用負担には注意が必要です。
相続発生後の対策にはならない
任意後見制度はあくまで「生前の財産管理」を目的とした制度であり、相続発生後の遺産分割などを任意後見人が決めることはできません。相続対策としては不十分なため、遺言書の作成など別の対策が必要です。
制度の概要を理解することが重要
2024年の民法改正では、期間限定後見の導入や任意後見制度の段階的利用の整備など、後見制度全体の柔軟化が進みました。2026年時点では、期間限定後見の運用ルールが整備されつつあり、段階的な導入が進んでいます。また、相続登記義務化により、認知症の相続人がいる場合には任意後見人が相続登記を担う場面も増えています。後見人の財産管理に関する監督も引き続き強化されており、任意後見制度を利用する際には、最新の制度動向を踏まえて検討することが重要です。
こうした制度改正を踏まえても、任意後見制度は預貯金や不動産など財産の管理を信頼のおける人に依頼できる制度であり、認知症に備えたい多くの人にとって大きなメリットがあります。
ただし、取消権・同意権がないことや、手間や費用がかかることなど注意点もありますので、内容をよく理解したうえで契約を締結することが大切です。本人や親族の中に法律に詳しい人がいない場合は、司法書士や弁護士など専門家に相談しながら進めると安心でしょう。
当事務所では、任意後見制度や法定後見制度のサポートを行っており、皆様のお悩みに寄り添ったご提案が可能です。初回のご相談は無料で受け付けておりますので、どうぞお気軽にお電話やメール等でご連絡ください。















